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「10年ぶりに復活! 伝説のソウルシンガー、アル・グリーンの影響を聴いてみよう」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「10年ぶりに復活! 伝説のソウルシンガー、アル・グリーンの影響を聴いてみよう」

【高橋芳朗】
本日のテーマはこちら! 「10年ぶりに復活! 伝説のソウルシンガー、アル・グリーンの影響を聴いてみよう」。

(アル・グリーン「Before The Next Teardrop Falls」が流れる)
Before the Next Teardrop Falls (Amazon Original)
【ジェーン・スー】
渋いところきましたねー。

【高橋芳朗】
半世紀以上のキャリアを誇る伝説のソウルシンガー、アル・グリーンが10年ぶりに新曲をリリースしました。いまうしろで流れているのが、その「Before The Next Teardrop Falls」。

【ジェーン・スー】
タイトルからして切ない!

【高橋芳朗】
カントリー歌手のフレディ・フェンダーが1975年にヒットさせた曲のカバーになります。そんなわけで、10年ぶりのカムバックを祝してのアル・グリーン特集。秋の夜長に聴く音楽としてはぴったりなのではないかと。

【ジェーン・スー】
してない失恋に涙しちゃうね。

【高橋芳朗】
そんなのばっかりですね、このコーナーは。

【ジェーン・スー】
ワシら精神が暇なんじゃ。

【高橋芳朗】
フフフフフ。今日はそんな沁みる名曲をたっぷりかけられると思いますよ。じゃあ、まずはアル・グリーンのプロフィールを簡単に紹介しますね。アル・グリーンは1946年生まれで現在72歳。アメリカ南部のアーカンソー州出身です。1967年にデビュー後、70年代にヒット曲を連発して一躍トップシンガーになりました。一般的にアル・グリーンというと、マーヴィン・ゲイやバリー・ホワイトなどと並ぶロマンティックなソウルミュージックの代名詞みたいなところがあると思います。ただ、マーヴィン・ゲイやバリー・ホワイトがベッドに引きずり込むようなエロいトーンで迫ってくるのに対し、アル・グリーンはもうちょっと……。

【ジェーン・スー】
センチメンタルな感じですね。

【高橋芳朗】
うん、もっと純粋なラブソング。

【ジェーン・スー】
恋人が帰った後のベッドに座って聴くようなね。

【高橋芳朗】
フフフフフ、プラトニックなラブソングを歌うシンガーですよね。

【ジェーン・スー】
そうですね。

【高橋芳朗】
あとアル・グリーンといえば、ジェーン・スーさんも大ファンだったアメリカのTVドラマ『アリー my LOVE』を思い出す方もいるかもしれません。主人公のアリー・マクビールが失恋して精神的に不安定になると彼女の前にアル・グリーンの幻影が現れるというお約束の展開があって。

【ジェーン・スー】
アハハハハ、そうそう!

【高橋芳朗】
そしてビー・ジーズの名曲カバー「How Can You Mend a Broken Heart」(傷ついた心はどうやって治せばいいの?)」を歌ってアリーを優しく癒すという。そういうシーンがありました。

【ジェーン・スー】
あー、思い出しますね。昨日のことのように……もう20年ぐらい前のことだけど。

【高橋芳朗】
もう20年も前なんだねー。で、そんなアル・グリーン。彼はジャンルを超えてのちのポップミュージックに絶大な影響を及ぼしているんです。それはアル・グリーンのボーカルスタイルはもちろんなんですけど、演奏も含めたアル・グリーン作品のサウンド全体にインスパイアされた曲がたくさんつくられていて。詳しく説明をすると、全盛期のアル・グリーンはアメリカ南部のテネシー州メンフィスに拠点を置いていた「Hi」 というレコードレーベルに所属していたんですね。この「Hi」はレーベルの専属のハウスバンドを雇っていて、ここから出る作品は基本的にすべてそのバンドが演奏をしているんです。このバンドが演奏するサウンドがすごく特徴的で、シンプルでいながら非常に味わい深い。なんというか、日本でいう侘び寂びを感じさせるようなサウンドなんです。そして、それがアル・グリーンの優しくて甘いボーカルと融け合うとあの芳醇なソウルミュージックが生み出されるというわけです。

そのアル・グリーンのボーカルと「Hi」のサウンドとのブレンドの最高傑作といえるのが、ウェディングソングの定番、1971年に全米1位になった「Let’s Stay Together」。映画『パルプ・フィクション』で流れていたことでもおなじみの名曲です。映画では人気アメコミを映画化した『ヘルボーイ』の挿入歌としても使われていました。ヘルボーイがアル・グリーンの大ファンという設定で、彼はアル・グリーンの同じアルバムをアナログとCDと8トラックで所有しているんですよね。

M1 Let’s Stay Together / Al Green

【ジェーン・スー】
最高か!

【高橋芳朗】
本当に最高。もういままで何度リピートしてきたかわからないぐらいだけど、何度聴いても最高です。

さて、ここからはいま聴いてもらったアル・グリーンの影響を受けた作品を紹介していきたいと思いますが、その前にちょっとお断りを。このコーナーではこうしたオマージュ作品との聴き比べ企画をよく行っていますが、これは別にパクリを糾弾しようだとか元ネタをひけらかすとか、そういう意図でやっているわけではありません。ポップミュージックは先達から受けた影響を自分のオリジナリティーを足して次の世代に受け継いでいくという、その繰り返しで進化/発展を遂げてきた背景があるんですね。その綿々と受け継がれるポップスの系譜の片鱗を、このコーナーを通じて少しでも体感してもらえたらと思っていて。

【ジェーン・スー】
ダーウィンの進化論ですよ。

【高橋芳朗】
そうそう。そういう意図でやっている企画なので、そのへんを踏まえて聴いていただけたらと思います。ではアル・グリーンのオマージュ作品、まずはR&B編からいってみたいと思います。アル・グリーンの影響が現代のヒップホップ世代のブラックミュージックにも継承されていることを証明する例として、90年代に大活躍したオークランド出身の3人組、トニー・トニー・トニー。

【ジェーン・スー】
おっ!

【高橋芳朗】
そう、ジェーン・スーさんも大好きなアーティストですよね。

【ジェーン・スー】
大好きです!

【高橋芳朗】
そのトニー・トニー・トニーの1996年の作品で「Thinking Of You」。トニー・トニー・トニーはもともと70年代のソウルミュージックに強くインスパイアされた音楽性で人気を博したグループなんですけど、ここではアル・グリーンのサウンドを見事現代に蘇らせています。

M2 Thinking Of You / Tony! Toni! Tone!

House of Music
【ジェーン・スー】
いい曲ですねー。

【高橋芳朗】
うん、これも名曲ですね。ではR&B編に続いてロック編。ロック編はローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズが1988年にリリースしたソロアルバム『Talk Is Cheap』から「Make No Mistake」を。ローリング・ストーンズ、キース・リチャーズといえばアル・グリーンよりもさらに長いキャリアを誇る現役最古参といえるようなロックバンド、もうレジェンド中のレジェンドなわけですが、そんなキースみたいなアーティストでもアル・グリーンの影響を受けているわけですよ。

【ジェーン・スー】
思わず影響受けちゃった?

【高橋芳朗】
そう、そんなところからもアル・グリーンの偉大さがよくわかるんじゃないかと思います。これはそんなレジェンドであるキース・リチャーズのなりきりアル・グリーンぶりが微笑ましい名演ですね。

M3 Make No Mistake / Keith Richards

Make No Mistake

【ジェーン・スー】
うん、なんか一生懸命がんばっていて微笑ましいって言っていた意味がよくわかりました。キースはアル・グリーンが本当に好きなんだね。

【高橋芳朗】
うん、キースがアル・グリーンの音楽に本気で入れ込んでいることがよくわかる曲だと思います。では最後、最後はJ-POP編としてウルフルズの「恋の涙」を。これは2007年の作品ですね。ウルフルズはボーカルのトータス松本さんがアル・グリーンの大ファンで、2003年のソロアルバム『Traveller』ではアル・グリーンの「Tired of Being Alone」をカバーしていたこともあるんですね。この「恋の涙」はアル・グリーンの影響をウルフルズ流に昇華したソウルバラード。アル・グリーンの影響を踏まえつつ、どちらかというと「Hi」のサウンドが色濃く出た曲です。トータス松本さん自身もインタビューでアル・グリーンや「Hi」からの影響を認めていました。

M4 恋の涙 / ウルフルズ

恋の涙
【高橋芳朗】
いいですねー。やっぱりどれもちょっと寂しいセンチメンタルな恋の歌になってくる。

【ジェーン・スー】
郷愁だよね。

【高橋芳朗】
冒頭でスーさんも言っていましたが、してもいない失恋に身を浸しながら秋の夜長に日本酒でも引っ掛けつつアル・グリーンを聴いてみるのも結構オツなのではないかと思いますよ。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

10/8(月)

(11:09) Got to Get You Into My Life / Ella Fitzgerald
(11:37) Eleanor Rigby / Aretha Franklin
(11:45) Ob-La-Di, Ob-La-Da / Arthur Conley
(12:16) Get Back / The Main Ingredient
(12:51) We Can Work it Out / Dionne Warwick

10/9(火)

(11:06) Obscurity Knocks / The Trash Can Sinatras
(11:21) Eskimo Kissing / Andy Pawlak
(11:34) American Eyes / The Lilac Time
(11:41) The Crying Scene / Aztec Camera
(12:14) Mobile Shack / Felt
(12:51) バスルームで髪を切る100の方法 / Flipper’s Guitar

10/10(水)

(11:05) Sir Duke 〜愛するデューク〜 / Stevie Wonder
(11:21) Brick House / Commodores
(11:34) Serpentine Fire / Earth Wind & Fire
(12:15) Ain’t No Half Steppin’ / Heatwave
(12:50) 愛の炎 / 吉田美奈子

10/11(木)

(11:03) You Make Me Feel Brand New / Inner Circle
(11:25) Help Me Make it Through the Night / John Holt
(11:38) Alone Again / The Now Generation
(12:16) People Make The World Go Round / The Chosen Few
(12:50) WHAT A BEAUTIFUL NIGHT / 堀込泰行

10/12(金)

(11:05) Forget Me Nots / Patrice Rushen
(12:11) Jump to It / Aretha Franklin