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7つのがんで保険適用!オプジーボの凄さと限界

森本毅郎 スタンバイ!

「オプジーボ」と言えば、ご存知の通り、今年のノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授が関わったとして、今、注目を集めている薬です。

オプジーボは、2014年に皮膚がんの一種で保険適用となり、本格活用が始まりました。そして2015年には、肺がんの多くでも保険適用となり、ある政治家がこれで治ったとか、いろいろ報じられて有名になりましこのあたりは、この番組でも少し触れたことがありますが、実は、オプジーボはその後、どんどん利用が広がっていて、今では7つのがんで保険適用となっているんです。今後はさらに利用が広がる見通しで、患者さんの期待は高まる一方だと思いますが、ただ、実際にはどんな治療なのか?副作用はどうなのか?意外と知られていないようです。

そこで、10月22日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、このオプジーボについて、最新の情報をお伝えします。

★オプジーボの仕組み

私たちの体に、ウイルスや細菌が入ってきた場合、普通は、免疫が働いて、ウイルスや細菌をやっつけてくれます。ところががんになるとがん細胞が勉強をして免疫のブレーキを踏んでしまうケースが出てきます。そのため、免疫が働かず、がん細胞が、思う存分、増えてしまう、というわけです。これを改善するのが、オプジーボ、というわけです。詳しく言うと「がん免疫療法」というもので、文字通り、がんを免疫の力で治す、仕組みです。オプジーボの力によって、がん細胞が免疫のブレーキを踏めないように邪魔をして、免疫が、アクセル全開でがんをやっつけるのを助ける、というシステムです。

★具体的にはどんな治療になるのか?

具体的には「点滴」です。オプジーボは、飲み薬ではなく、点滴の薬です。点滴する量は、患者さんの体重によって変わりますが、かかる時間は、1回に、おおよそ30分から60分程度です。治療は2週間が1サイクルとなっていて、1回点滴したら、そのあと13日間、間を空けて、そしてまた点滴、と繰り返していきます。

こうした治療を続けていくことで、がんが小さくなるとされ、これまで報告されている例では、5年生存率が1割と言われる、特殊な皮膚がんが、オプジーボの治療3年で、画像検査で見えないレベルまで小さくなったとか、肺がんが転移し、5センチほどの腫瘍が見つかった患者さんが、オプジーボの治験に参加したことで、腫瘍が見えないレベルまで小さくなった、そうです。

がんに対する点滴治療では、これまでは「抗がん剤」が中心でしたが、抗がん剤の場合、ある程度効果があっても、だんだん耐性ができてしまい、再びがんが増え始めてしまう、ということがあります。また抗がん剤の場合、よく知られているように、重い副作用があります。それに対して、オプジーボの場合は、効果的にがんを小さくし続け、また自然の免疫を使うので、副作用も小さい、というメリットがあります。

★どんながんで有効なのか?

最初にも触れましたが、現在は、保険適用が、7つのがんにまで広がってきました。

  1. 皮膚がんの一種で、メラニン色素関連ががんになる「メラノーマ」、10万人に2人程度と、数は少ないですが、かなり難病とされるがんです。
  2. 肺がんのほとんど、85%をしめると言われる「非小細胞肺がん」
  3. 腎臓にできるがんのほとんど、90%をしめるとされる「腎細胞がん」
  4. 悪性リンパ腫の10%程度と言われる「ホジキン・リンパ腫」
  5. 口や鼻、咽頭部など、頭から首の近辺にできるがんの「頭頸部がん」
  6. 肺を包んでいる胸膜にがんができる「悪性胸膜中皮腫」
  7. 「胃がん」、この7つです。

ただ、これらのがん患者さんなら、誰でもオプジーボが使える、というわけではありません。進行していて手術の対象にならない患者さん、再発してすでに薬物療法を受けたことのある患者さん、など、保険適用には制約があります。

また、適用外、とされてしまう患者さんもいます。当たり前ですが、オプジーボの治療でアレルギー反応を起こした患者さんは、ダメ。このほか、免疫の薬なので、自己免疫の疾患、関節リウマチや甲状腺機能異常症などにかかったことがある方も難しいとされています。

副作用についても、注意が必要です。確かに、オプジーボは、抗がん剤に比べると副作用は少なく、全体の10%程度です。ただ、0ではないので、そこも注意が必要となってきます。中には、生命に危険が及ぶケースもありますので注意が必要です。

★どのような副作用か?

オプジーボでの肺がんの治療で最も注意すべき副作用は間質性肺炎です。このほか、大腸炎、1型糖尿病、甲状腺機能障害、腎障害、肝機能障害などもあります。軽い症状でも放置しておくと、急に悪化することがあるので、素早い対応が重要です。そのため、治療を受けながら、体の状態をチェックする、チェック項目がまとまった日記をつけることが勧められています。少ないとはいえ、副作用に気を付けながらの治療が必要です。だから各診療科を越えたチーム医療が行われています。加えて、看護師、薬剤師などのチームも重要です。

★限界もあることに留意

オプジーボは、副作用への注意は必要ですが、これまで治らないとされていた、重いがん患者さんで効果が出ていることから期待が高まっています。がんが、見えないくらい小さくなった、治ったという報告もあるので期待するのも当然です。

ただ、現在は限界もあって、オプジーボで効果が出る患者さんは、全体の3割程度です。ここの数字も冷静に見ておく必要があります。今まで治療の選択肢がなかった、可能性が0だったのが、30%になったという意味では大きな進化ですが、100%治るというわけではないのです。

今後の課題は、効果が出る患者さんと、出ない患者さんの差は何か、分析することが重要です。これから、現在は保険適用外となっている、食道がんや大腸がんに保険が広がる可能性が高いので、より多くの人に、そして効果が上がるように、薬が使える仕組みが整うといいでしょう。

厳しい問題点も指摘しましたが、私が取材した腫瘍内科医によれば、効果が出る患者さんの場合は、オプジーボを使って、2、3か月もすると、見る見る元気になっていく、ということですので、より良いように、進化してほしいです。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181022080130

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