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乾癬は感染しない!10月29日は「世界乾癬(かんせん)デー」

森本毅郎 スタンバイ!

毎年10月29日は「世界乾癬デー」ですが、そもそも乾癬(かんせん)って聞いたことありますか?

乾癬は、皮膚や関節のある部分に炎症がおこるつらい病気で、以前この番組でも取り上げました。乾癬は、周囲の目が気になってしまい、まともな生活が送れなくなる人も多く、近年、国内で、患者さんが増加し続けている病気です。

こうした中、乾癬治療に新たな治療薬が続々と登場していて、去年には副作用の少ない、新たな飲み薬が、今年も新たな薬が保険適用になるなど、治療の選択肢が増えてきています。

そこで、10月29日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、この「乾癬」と最新治療について、お伝えしました。

★辛い「乾癬(かんせん)」の症状

まず、乾癬について説明します。乾癬(かんせん)の「かん」は乾燥の「乾」です。そして「せん」は、やまいだれの中に、新鮮の「鮮」が入った難しい漢字を書きますが、訓読みでは「たむし・ひぜん」と読み、この漢字だけで「皮膚病」という意味があります。

この乾癬の症状としては、皮膚が赤く盛り上がった発疹が出て、そこにカサカサした薄皮=ふけのような白い粉が付くような、症状が出ます。特に頭、ひじ、お尻、ひざなど、日光にあたらず、刺激を受けやすい部分で現れやすいのです。

ひどくなれば、体のあちこちに、発疹が目に見える形で現れますので、日常生活で、「周囲の目が気になる」と悩む患者さんも多い病気です。

また重症化すると、高熱、倦怠感、関節痛などを伴い、さらにひどいと、全身に膿をもった発疹が出る「膿疱(のうほう)性乾癬」と呼ばれるものもあり、難病にも指定されています。

★日本でも乾癬患者は増えている

そんな乾癬の推定患者数は、世界では1億2500万人もいます。

一方、日本では、30年程前は、5千人に届かない程度で、まだまだ少ない状況でした。しかし、今では、50万人から60万人と報告されていて、急激に増えた形です。

急増の原因ははっきりしていないのですが、食生活の変化などが指摘されています。いずれにしても、50〜60万人の方が悩んでいる、大変多い病気だということを知ってください。

★はっきりしない乾癬の原因

乾癬の患部では、皮膚の表面に角質が積み重なり、皮膚が厚くなっています。これは、皮膚のターンオーバー、つまり新陳代謝が異常に活発になり、通常のおよそ10倍の速さで皮膚がつくられるためです。通常は、45日で入れ替わるところが、4、5日という猛スピードで入れ替わっているので、そのスピードについていけないで、様々な症状が出てしまう、というわけです。

では、なぜこのようなことが起きるのか?最近の研究で、免疫機能の異常が関与していることが分かってきていますが、そのしくみはまだ完全には解明されていません。

★治療は塗り薬と飲み薬から

そんな乾癬の基本治療は、根本治療ではなく「症状の良い期間を長くする」ことで、大きく3種類に分けられます。

1つ目は「塗り薬」と「飲み薬」です。皮膚の炎症を抑える「ステロイド外用薬」、それに、細胞の増殖を抑える、「ビタミンD3外用薬」、この2種類の塗り薬を組み合わせて使います。塗り薬だけで治療がうまくいかない場合に「飲み薬」を追加します。

乾癬が全身に広がっている場合は、皮膚の新陳代謝を抑える飲み薬や免疫の異常を抑える飲み薬が使われます。

★飲み薬では25年ぶりに新薬登場

そんな「飲み薬」で、去年、およそ25年ぶりに新しい飲み薬が登場しました。薬の名前は「オテズラ」といいます。

「オテズラ」は、炎症の原因となる物質の放出を抑え、全身に作用します。この薬の特徴は、従来の飲み薬と違い、重い副作用が少ないことです。

これまでの薬は、重い腎障害や血圧上昇などの副作用が多かったのですが、この「オテズラ」では、吐き気や軟便などはありますが、腎障害などの重い副作用は少ないとされています。

★薬の次は紫外線療法

2つ目が、機械を使って紫外線を患部に当てる、紫外線療法です。機械は日焼けサロンのような全身に紫外線を当てる形のものから、部分的に当てるものまで。紫外線療法は、週に2~3回通院し、半年ほど続けていきます。

★改善しない場合は注射を

それでも症状が改善しない場合は、「生物学的製剤」という注射の薬を使います。生物学的製剤は、病気の原因と関係が深い特定の免疫物質だけを狙って作用する注射薬です。数週間に1回のペースで通院して、注射や点滴を行います。

この治療で、大体、7割から8割の患者さんが、満足できる効果が出ているようです。

★注射も新薬が登場

この「生物学的製剤」は、ここ数年で続々と新薬が開発されていて、今年も新たに1つ「トレムフィア」という薬が追加されました。「トレムフィア」は、これまでの「生物学的製剤」とは違う仕組みで治療する方法で、ほかの薬との比較試験で、乾癬の治療効果が高いことが示された結果も出ています。

また、ほかの薬が効かない時に「トレムフィア」に切り替えて、治療効果が高かったとする結果も出るなど、「生物学的製剤」もどんどん進化しています。「トレムフィア」を合わせると現在7つの生物学的製剤が保険適応になっています。

生物学的製剤は、日本皮膚科学会が承認した施設でのみ治療を受けることができます。

★注射は副作用に注意

生物学的製剤で注意する点としては、副作用です。生物学的製剤が効果を発揮することで塗り薬の量も減るなど、治療のために受ける日常生活の制限が少なくなります。しかし、副作用として、結核や肺炎、感染症を起しやすくなることがあります。ですので、現状、生物学的製剤は、乾癬の、「基本治療で、十分な効果が得られなかった」「副作用のため、飲み薬を使えなくなった」などの場合に限られます。

★治療に加え生活改善を

乾癬で押さえておきたいのは、様々な治療を行い「コントロール」をすること。根本的な原因は分かっていませんが、対症療法の選択肢はたくさん出てきています。自分に合った治療法がみつかれば 悪化につながる要因を避けるだけでなく、寛解にたどりつくこともできます。

中には、生活習慣を改め、メタボを改善したことで、治ったというケースもあります。そのほか、喫煙、アルコール、ストレスなど、悪化につながりそうな要因を、取り除く心がけをするのも大切なポイントです。

★乾癬は感染しない

乾癬は他人の目に触れる皮膚病のため、患者さんの精神的ストレスは相当なものです。症状の悪化を引き起こす要因の7~8割がストレスにあるといわれています。周囲が、患者さんの精神的負担を減らすための、病気への理解も必要です。

「かんせん」という発音から、感染症に誤解され「感染するのでは」と思われがちです。しかし乾癬は感染しません。触れたり、同じプールや温泉に入っても、決してうつることはありません!

ただ、こうしたことが、まだまだ知られていないのが現状です。あるアンケートでは、電車などで感染の患者さんと一緒になったら「嫌だ」との回答は47・3%。患者さんの中には温泉に行って「二度と来るな」と言われて辛い思いをした人もいるそうです。

こうした差別や偏見は、正しい情報が伝わっていないからです。もっと多くの人が乾癬について正しく知れば、差別はなくなるはずです。世界乾癬デーを機会に、乾癬のことを知ってください。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181029080130

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