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アコーディオンという名の相棒とともに~cobaさん

コシノジュンコ MASACA

2018年11月4日(日)放送

COBAさん(part 1)
アコーディオニスト。長野県出身。18歳でイタリアに渡り、ルチアーノ・ファンチェルリ音楽院アコーディオン科を首席で卒業。その後、数々の国際コンクールで1位を獲得し、1991年にCDデビュー。翌年、アルバム「シチリアの月の下で」で日本レコード大賞特別賞を受賞しています。作曲家としても活躍中。昨年10月には、イタリアのカステル・フィダルド市の名誉市民にも選ばれました。

JK:カステル・フィダルドには行ったことがないわ。どの辺?

CB:中部イタリアで、トスカーナのアドリア海側のほう。地図で言うと、ふくらはぎのあたりです。世界のアコーディオンの8~9割を生産している町です。最初に留学したのがそこなんです。

JK:でもよくまぁ、そんな街をご存知でしたね。誰かに聞いて? それとも探して?

CB:最初にアコーディオンをやろうと思ったときに、どうしていいかわからないじゃないですか。それでアコーディオンのふたを開いたら「Made in Italy」と書いてある。しかもカステル・フィダルドって書いてあって、いろいろな本を見て調べて、それで手紙を書いたんです。

出水:イタリア語でですか?

CB:いやまさか(笑) つたない英語で。高校生でしたからね。ずいぶん待たされて。半年ぐらい経ったら、ものすごく分厚い書面が返ってきた。「もしあなたがアコーディオンを学びたければ、ぜひイタリアにいらっしゃい」って。そんなに確信に満ちたおたよりを送ってくれるのに、なんで半年も待たせるんだって(笑)

JK:日本からっていうので、ちょっと疑問に思ったんじゃない? 高校生だし。

CB:でも今思うと、それがイタリアなんです。時間をかけて、いちからいいものを作る。

JK:そうね! イタリアって何でもゆっくり。だけど、いざとなったら本気なんですよ。そこの「いざ」ギリギリまで分からないところですよね。

CB:そうですね(^^;)

JK:でしょ? 私も何度もその経験があるんだけど。

出水:行ってみたら、そういうイタリア人の気質などもまざまざと思い知ったわけですね(^^;)

CB:そうですね、とっても素敵だなと思って。人生において、あんなに影響を受けた国は後にも先にもイタリアだけですね。「なぜ生きるのか」っていうことを彼らは明確に自分たちで体現しながら生きている。

JK:それはアコーディオンは関係なく?

CB:本当は音楽の話ができたらいいんですけど(笑) そうじゃなくて、食べること。一番基本的なことですからね。どうせ食べるなら、美味しいものを楽しく食べたい!

JK:それは本音(笑)美味しいものがあれば、長続きしますもんね! いろんな国にっても、美味しくなかったら次に以降って思わないですもんね。

CB:おっしゃる通り!

JK:でも、アコーディオンってすごく重たいし、持ち上げるたびにヨイショ!ってかけ声かけるぐらいでしょう。でも、こんな重たいものをよくもまあ・・・高校生の時は今よりもずっと細くて痩せてて、でもアコーディオンの重さは一緒でしょう?

CB:まあ小さいのもありますけれど、高校生になったら普通のサイズを持ちますね。うちの父がアコーディオン好きで、本当にまじめ一徹な人だったんですけど、唯一アコーディオンを弾くのだけが楽しみだった。当時けっこう流行ってたんです。フランス映画で「パリの屋根の下」って言うのがあってね。

JK:ララララ~♪でしょ? だからアコーディオンってフランスって感じがするのよ、私。

CB:制作しているのはイタリア。アコーディオンっていうとフランスとかドイツとか、ロシアもものすごくレベルが高いんですけど、そういう意味ではアコーディオンって世界中どこにでもありますよね。

JK:歴史はどのぐらいあるんですか?

CB:ええとね・・・1692年にオーストリアのウィーンで、いわゆる家具職人のデミアンさんが「アコーディオン」という名前で特許を取った。一番アコーディオンらしい楽器を作って、それが今に伝わっている。

出水:オーストリアで生まれた楽器がなぜイタリアで多く生産されるようになったんでしょうね?

JK:でも何でもイタリアですよね、ストラスヴァリウスでもなんでも。職人さんがまじめでね。

CB:そうなんです! ファッションもそうですよね。

JK:メディチ家があって、そこが職人を育てたという環境ですよね。それがフランスにはないと思うんです。フランスは舞台で賑やかに見せる。実際の作業をする地味な職人がいるのがイタリアですよね。

CB:お料理もメディチ家のお孫さんがハプスブルク家に嫁いで、その時に料理人を60数人連れて行った。そこからフランス料理のソースの文化が生まれたって言われていますよね。フランス人はコンプレックスを裏返して、自分たちのものに昇華してしまうんでしょうかね。

JK:根本的にそう。いいとこ取りなんですよ。フランスがやったって言い張っても、地はイタリアであったりどこそこだったり。

CB:あれ、先生はフランス大好きでしょ?

JK:大好きですよ。でもイタリアも面白いですね。イタリアは気楽! ヴェネチアなんてもう、夢の国のようですよね! いつもリゾートしながらお勉強してるんじゃないかって感じがする。

CB:僕もイタリア人はもっと怠け者かなと思っていたんですけど、実際住んでみるとすごく働き者だし、嘘つきばっかりなのかなと思っていたら、とってもまじめな人が多い。特に北は時間なにはものすごく正確ですよ。遅刻してなんども怒られましたから。

出水:え、そうなんですか? 誤って伝わっている情報がいっぱいありますね(笑)

JK:重そうなソレ、身体と一体化してますよね。何kgあるんですか?

CB:え、私ですか?(笑) 楽器はね、13kgのものを使っています。重いのも、軽いのもありますし。これは僕の為にカステル・フィダルが作ったオートクチュールです。

JK:へぇ~。体のサイズに合わせて?

CB:もうすべて。体の大きさもそうですし、音色もすべてcoba仕様。

JK:ピアノを縦にしたみたいな感じね。

CB:アコーディオンは右手も左手も使うんですけど、右手は鍵盤。左手はボタンがあって・・・何個ぐらいあると思います?

出水:えーっ、50個ぐらい??

CB:惜しい! 倍以上! 120!

JK:えーっ! でも左手で100以上押さえるっていうのは・・・どこを押さえるかはカンですか? だって点字みたいだもの。見えないわよね?

CB:見えないですからね、カンになります。どこだっけな~、みたいな(笑)たぶん、図形みたいなもので覚えているんだと思います。

出水:えっ、120個全部音が違うんですか?


CB:違うんですよ。ヤな楽器ですよね(笑)で、真ん中に蛇腹。ここで空気を吸ったり吐いたりしながら・・・音を出す。この作業でビブラートをかけるとか、特殊技法で音を刻んだりとか。相当高度な技法で三連符というのがあるんですが・・・(デモンストレーション)

JK:うわぁ! それをよくご自分のものになさるとは!

CB:こういうことができるのが蛇腹。人間でいうところの肺ですね。右手と左手の鍵盤とボタンが唇だとすると、唇が開くと、肺から空気をすって歌を歌う。これがアコーディオンの原理です。

JK:でも、音がなんとなく物悲しいね。なにかこう、人間の感情みたいな。パリの裏町の失恋みたいな、悲しいストーリーが出てくるような・・・なんでしょうね、これ? 不思議ね。

CB:人の心をひっかく、みたいな。すごく人間臭い楽器ですよね。

JK:それにしても高度ですよね~! これをゲットするのは普通じゃないわね。左も右も、肺も・・・ご自分の肺はどうなってるの?

CB:僕の肺はふつうです(笑)吸って、吐いて。

JK:なんだ、一緒にどうにかなってるのかと思った!

CB:でもその通り、演奏するときにフレーズによっては一緒に息を吸ったり吐いたり、止めたり、と言うことはありますね。アコーディオンという相棒と一緒になって、気持ちを表現すると言うかね。

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Bellows Lovers Night vol。17
【日時】2018年11月17日(土) 開場16:30 / 開演17:00
【会場】横浜赤レンガ倉庫1号館ホール(3F)
【料金】全席指定 ¥5,000(税込)
【出演】coba、杉山卓、おしどり、巡~MeguRee~、tipsipúca+生梅、内藤希花、Tellers Caravan
【友情出演】大久保ノブオ(ポカスカジャン)省吾(ポカスカジャン)
【お問い合わせ】 キョードー東京 0570-550-799(平日11:00~18:00/土・日・祝日10:00~18:00)
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出水:今月行われるBellows Lovers Nightは20年かけたプロジェクトだそうですが?

CB:実は2022年に、いわゆるアコーディオン・バンドネオンなど蛇腹楽器の生誕200年を迎えるんです。2002年にこの200周年をカウントダウンしようというイベントを立ち上げました。やっぱり若者が多いですね。僕が20年頑張ってプロモーションしてきた成果が出てきて、いろいろな若い演奏家やお笑いのワハハ本舗のポカスカジャンとかも参加してくれます。

JK:アコーディオンの音楽ってどういうのがあるんですか?

CB:いっぱいあるんですけど。ワルツ、ポルカ、マズルカ・・・その土地の文化と呼応しながら。

JK:土地の文化とのかかわりはあるわね。大衆の文化というか、みんなの前で、家の中じゃなく路上でみんなが楽しむという雰囲気があるんですけど。

CB:持ち運びができるという利便性があるし、先ほど申し上げたように、すごく人間臭い。サウンドもそうだし、存在そのものも人間と似ている。自分で呼吸しながら歌いますからね。

=OA楽曲=
M1. 9000 nights ~九千の夜~ / coba
mania coba 4