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タミフルよりスゴい!インフルエンザの新薬「ゾフルーザ」

森本毅郎 スタンバイ!

いよいよインフルエンザの大流行のシーズンが近づいてきました。インフルエンザの話というのは、もう聞き飽きた、という方も多いと思いますが、実は今年は、インフルエンザの薬について、2つ大きな新しい話しがあるんです。

そこで、11月05日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、この「インフルエンザの薬の新しい話」について、お伝えしました。

★新薬「ゾフルーザ」がスゴい!

まず注目は、タミフルよりすごい、インフルエンザの特効薬が今年、発売になったことです。その新しい薬の名前は「 ゾフルーザ 」というものです。

この「ゾフルーザ」の何がすごいのか?タミフルは、1日2回、5日間、飲み続けなければいけないのですが、ゾフルーザは、1回飲むだけで、すぐに効果が出るんです。

★ゾフルーザはタミフルの3倍速!

ゾフルーザの即効性は、2016年〜17年に行われた臨床実験で証明されています。

インフルエンザに感染した、12~64歳の日米の患者、合計1064人を対象に、薬を飲んだ後、ウイルスが消えるのにどれくらい時間がかかるのか、調査したところ、

  1. インフルエンザの薬を飲まない場合は「96時間」かかり、
  2. タミフルを飲んだ場合は「72時間」かかりました。
  3. ところが、新薬ゾフルーザを飲んだ場合は、わずか「24時間」で消えました。

つまり、タミフルの3倍の速さでウイルスが排出された、ということでした。

★ゾフルーザの即効性の秘密

このゾフルーザ、効果が高いのには、薬の作用の仕方の違いが影響しています。インフルエンザのウイルスは、細胞の中で増えて、細胞膜を破って外に広がります。

これまでの薬は、増えてしまったウイルスが細胞の外に出るのを抑える仕組みでしたが、このゾフルーザは、そもそも、ウイルスが細胞の中で増えないようにして封じ込めます。ウイルス自体が増えないので、より即効性がある、というわけです。

発売元の製薬会社が調べたところ、患者さんの体液にあるウイルスの数が、ゾフルーザを飲んだ翌日には、10万分の1に減っていた、ということでした。

★ゾフルーザなら1回飲めばOK

このゾフルーザのポイントは、即効性と同時に「1回飲むだけでいい」というのも大きいです。インフルエンザの時は高熱なので、薬を飲んだのかどうか、ぼんやりして、飲み忘れてしまうこともありますが、1回なら、もらってすぐ飲めば終わり、で便利です。

一応、これまでも1回で済む薬はありましたが、それはイナビルという「吸引型」で難しい。やはり、飲み薬で、1回、という方が、簡単で、便利でしょう。

★ゾフルーザの副作用は?

ゾフルーザは、副作用が少ない、ということも評価されています。

先ほどお話しした臨床実験では、副作用も調べられたのですが、タミフルでは副作用が「8・4%」ありましたが、ゾフルーザでは「4・4%」、タミフルの、ほぼ半分、という状況でした。

ただ、ゾフルーザは新しい薬なので、まだ見つかっていない副作用がある可能性はあります。体に異変があった場合、すぐに医師に相談する方がいいでしょう。

それからもう1つ、熱が下がって回復が早いからといって、すぐに学校、会社はダメです。他の薬同様、外出は、発症後5日間、かつ熱が下がってから2日間の間を取ってから、です。

★タミフルは10代にも解禁!

インフルエンザの薬について、もう1つの動きは、これまでのインフルエンザの特効薬の代表「タミフル」についてです。今年8月、「厚生労働省が、タミフルの10代への投与を再開」と報じられました。

実はタミフルは、10代の若い人々が飲んだ後、異常行動が出るとされていました。中学生が突然、起き上がって窓から飛び出し、転落死するケースなどが相次ぎ、2007年から、厚生労働省が、10代への投与を原則、禁止していたんです。

それが今回、専門家が調査した結果を踏まえ、再開となったわけです。

★タミフル10代解禁の注意点

ただ、これには注意が必要です。一部メディアは、再開を報じるとき、こんな見出しで報じていました。「タミフル、10代に投与可能に。異常行動と因果関係不明」

こう聞くと、タミフル飲んでも異常行動が起きるわけじゃない、大丈夫だ、と思いませんか?

でも、ここで「異常行動はない」と油断してはいけないんです!今回、厚労省が再開を決めた根拠となった調査結果は、「タミフルを飲んだ患者さんが異常行動を起こさなかった」というものではありません。

10代が異常行動を起こす割合は、タミフルを飲んだ人は、100万人中6・5件ありました。つまり、異常行動はあった、ということになります。ただ、その一方で、他の薬、例えばリレンザを飲んだ人も、100万人中4・8件、そして、薬を飲まなかった人でも、100万人中8・0件、あったんです。

つまり、薬に関係なく、インフルエンザは10代の異常行動を引き起こす、これが実態です。

★薬に関わらず10代インフルは要注意

ですので、今回の調査結果は、タミフルで異常行動は起きない、ではなく、むしろ、タミフル以外でも異常行動が起きてしまう、という言い方で報じるべきでしょう。

10代のインフル患者は、薬の種類に関わらず、発熱から2日間くらいは、目を離さずに、見守って、異常行動に注意する必要があります。

★予防注射はいつ打つべきか?

最後に、インフルエンザの予防注射はいつ打つのがいいのか?

今年は、9月に、東京都内でも学級閉鎖が発生するなど、流行が早まっています。実は、去年も、同じ時期に、同じ程度の学級閉鎖があったそうなので、もはや「インフルエンザの学級閉鎖は9月から」というのが平常になってしまったようです。

ただ、9月から学級閉鎖が出るからといって、その前に打つのは、さすがに早すぎです。インフルエンザの予防注射は、注射の後、2週間後から効果が出始めて、その後4〜5か月くらい、効果が持続する、と言われています。

日本の場合、9月から学級閉鎖が出るとはいえ、ピークはやっぱり冬です。大流行は、11月の終わりころから始まり、年明け、1月〜2月過ぎ、ピークとなります。ですので9月前に予防注射を打つと、ピークのころには効果が消えてしまいます。

11月の終わりの大流行に間に合うよう、11月の上旬までに予防注射を打って、ピークの頃まで、効果を持続させるのが、ベストタイミングと言えるでしょう。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181105080130

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