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「映画『ボヘミアン・ラプソディ』公開記念! いまこそ聴いておきたいクイーンの隠れ名曲たち〜ソウル&ラテン編」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「映画『ボヘミアン・ラプソディ』公開記念! いまこそ聴いておきたいクイーンの隠れ名曲たち〜ソウル&ラテン編」

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお送りします! 「映画『ボヘミアン・ラプソディ』公開記念! いまこそ聴いておきたいクイーンの隠れ名曲たち〜ソウル&ラテン編」。

【ジェーン・スー】
おー、意外なとこきたね!

【高橋芳朗】
はい、本日より公開になりましたイギリスの伝説的ロックバンド、クイーンのボーカルのフレディ・マーキュリーの生涯にフォーカスした伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』に合わせてのクイーン特集ですが、今日の番組でもそうだし、おなじみのあんな曲こんな曲はもうそこらじゅうでたっぷり流れてるじゃないですか。

【ジェーン・スー】
うん、今日は番組の選曲ぜんぶクイーンだったからね。

【高橋芳朗】
そんなわけで、今日は映画の劇中では流れない、そしてベストアルバムにも入っていない、クイーンの隠れ名曲を4曲紹介したいと思います。はじめに今回の選曲のタネ明かしをしちゃいますと、本日かける4曲はすべてバンドのベーシスト、ジョン・ディーコンが書いた曲になります。堀井さん、ジョン・ディーコンは久米宏さん似のイケメンなんですよ。

【堀井美香】
あっ、本当だ! 若かりしころの久米さんかと思いました。

【高橋芳朗】
で、クイーンは4人のメンバー全員が曲を書くんですね。ボーカルのフレディ・マーキュリー、ギターのブライアン・メイ、ドラムのロジャー・テイラー、そしてベースのジョン・ディーコン。

【ジェーン・スー】
(映画のパンフレットを見ながら)確かに、こうやってクイーンのメンバー全員見たときにジョン・ディーコンだけよく知らないかもしれない。他のメンバーはなんやかんや出てくるじゃない?

【高橋芳朗】
うん。ジョン・ディーコン以外の3人はロックスター然としてるんだけど、ジョンはちょっと地味なところがあるから余計に影が薄くなってるところはあるかもね。話を戻すと、クイーンはメンバー全員が曲を書くと。そしてここが彼らのすごいところなんだけど、メンバー全員が曲を書くうえ、そのメンバー全員が皆さんご存知の大きなヒット曲を送り出しているんですよ。

【ジェーン・スー】
それはすごいね!

【高橋芳朗】
たとえば「Bohemian Rhapsody」はフレディ・マーキュリーがつくった曲だし、「We Will Rock You」はブライアン・メイ、さっき番組で流れた「Radio Ga Ga」はロジャー・テイラー。

【ジェーン・スー】
すごい! すごいね!

【高橋芳朗】
だからクイーンは優れたコンポーザーの集まりなんですよ。ジョン・ディーコンがそんななかでどんな曲を提供していたかというと、ちょっとクイーンの様式や王道からは外れた曲になります。ジョン・ディーコンが書いた曲でいちばんよく知られているのがこちら。

(クイーン「Another One Bites the Dust」が流れる)

【ジェーン・スー】
ああーっ!

【高橋芳朗】
先ほども番組でかかった1980年の大ヒット曲「Another One Bites the Dust」、これはジョンが書いた曲になります。この曲はシックの「Good Times」にインスパイアされたと思われるディスコソングなんですけど、まずジョンがクイーンに持ち込んだ要素としてはブラックミュージックがあります。

【ジェーン・スー】
あー、ベースの人って感じだね。

【高橋芳朗】
そして、こちらの曲もジョンがつくったヒット曲です。

(クイーン「I Want to Break Free」が流れる)

メンバーが女装しているミュージックビデオでもおなじみ、1984年のヒット曲「I Want To Break Free」。これもジョンが書いた曲ですね。この曲のリズムを聴いてもらえばわかると思うんですけど、ジョンがブラックミュージックと共にクイーンに持ち込んだもうひとつの要素はラテンミュージックです。

【ジェーン・スー】
ふーん、おもしろい!

【高橋芳朗】
映画を見ればわかる通り、ジョン・ディーコンはクイーンに最後に加入したメンバーで、唯一ソロアルバムを出していない、唯一歌わないメンバーなんですよ。そんなこともあってクイーンではいちばん地味で物静かで他の3人と対照的なキャラクターで。これは余談ですが、そんなジョンも夜は物静かじゃなかったらしいんですけどね。夜は「Rock You」していたらしいんですけど(笑)。

【ジェーン・スー】
へー、そうなんだ。

【高橋芳朗】
そんな感じでグループのなかではいまいち目立たないジョン・ディーコンなんですけど、彼こそがクイーンの音楽性に多様な魅力をもたらしていた張本人と言っていいと思います。特にさっき流した「Another One Bites the Dust」がなかったら、80年代以降のクイーンの運命は大きく変わっていたんじゃないでしょうか。今回はそんなジョンが書いたクイーンの隠れ名曲をソウル編2曲ラテン編2曲、計4曲紹介したいと思います。

【ジェーン・スー】
はい!

【高橋芳朗】
まずはソウル編の1曲目として、1982年のアルバム『Hot Space』より「Cool Cat」。これはジョン・ディーコンとフレディ・マーキュリーの共作で、もともとはデビッド・ボウイがバックコーラスで参加していたんですけどリリース直前に本人の意向でカットされてしまったという経緯があります。この「Cool Cat」は言ってみればクイーン流AOR、もしくはクイーン流のブラコンみたいな感じでしょうか。フレディ・マーキュリーがスモーキー・ロビンソンばりの甘いファルセットボーカルで歌っているのに加えて、めずらしくブライアン・メイが小気味よいカッティングギターを弾いています、クイーンにしてはかなりめずらしいタイプの曲なんですけど、個人的にはこの路線でアルバム一枚つくってほしかったですね。

M1 Cool Cat / Queen

【ジェーン・スー】
びっくりした! 全然クイーンっぽくない!

【高橋芳朗】
「街で流れてきたらクイーンの曲だとは思わないだろうね」って話してたけど、確かにそうかもね。ちなみに、この曲が入ったアルバム『Hot Space』にはやっぱりジョン・ディーコンが書いた「Back Chat」というディスコ調の曲が収録されているんですけど。これを田原俊彦さんの「シャワーな気分」と聴き比べるとおもしろいと思います。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

【ジェーン・スー】
なるほど!

【堀井美香】
「シャワーしたいね♪ 素直な気持ちでさ♪」

【高橋芳朗】
「シャワーな気分」がすんなり歌えるあたり、さすがですね(笑)。ではソウル編2曲目、次は1986年のアルバム『A Kind of Magic』から「Pain Is So Close To Pleasure」。これもジョン・ディーコンとフレディ・マーキュリーの共作になるんですが、この曲はクイーン流のモータウン・オマージュ、もっと言えばクイーン流のシュープリームス・オマージュですね。曲調はもちろんなんですけど歌詞のライミング、「imagination」だとか「reaction」だとか「-tion」で韻を踏んでいく歌詞もある意味シュープリームス的と言えると思います。ブライアン・メイ自身「自分たちにとってこれはかなりめずらしいタイプの曲だ」とコメントしていますね。

【ジェーン・スー】
あー、当人も認めているんですね。

M2 Pain Is So Close To Pleasure / Queen

【ジェーン・スー】
いやー、これもクイーンらしからぬ感じで。

【高橋芳朗】
うん。それでもコーラスとギターはちゃんとクイーン印になってるんだけどね。

【ジェーン・スー】
昔、クイーンを聴いたときにすごく困惑したのを覚えてるの。アルバムを聴いていて「こういう音楽をやる人たちなんだ」って思ったら、次の曲になると「あれ? 前の曲とちょっとちがう」、また次の曲になったら「これもぜんぜんちがう!」って。そんなこともあって最初はいまいちハマれなかったんだよね。「なんのジャンルなんだかよくわからん!」って。でも、いまにして思えばすべてのジャンルを自分たちの味付けにしている人たちなんだから、さっさと好きになれば良かったなって。

【高橋芳朗】
フフフフフ、クイーンはメンバー全員が曲を書くわけだから当然多様性が持ち込まれるよね。ではジョン・ディーコンが書いたクイーンの隠れ名曲、続いてはラテン編にいってみたいと思います。ラテン編の1曲目は、1977年のアルバム『News Of The World』から。「We Will Rock You」や「We Are the Champions」が入っていることでおなじみのアルバムですね。この『News Of The World』から「Who Needs You」。これはジョン・ディーコンが単独で書いた曲で、カリプソ調のリラックスした曲になります。ジョン自ら弾いてるアコースティックギターにも注目してください。

M3 Who Needs You / Queen

【ジェーン・スー】
これがクイーンの曲とは信じられないね。

【高橋芳朗】
これが「ドンドン、パン!」の「We Will Rock You」と同じアルバムに入ってるというね。

【ジェーン・スー】
そりゃあ混乱しますわな。

【堀井美香】
ドンパン節と同じアルバムに?

【ジェーン・スー】
そう。「ええっ!?」ってなるよね。

【高橋芳朗】
ではラテン編の2曲目、最後の曲ですね。最後は1974年のアルバム『Sheer Heart Attack』から。これは「Killer Queen」が入っていることで有名なアルバムですが、そこから「Misfire」を。これはジョンが書いた最初の曲になります。さっきの「Who Needs You」ほどあからさまではないんですけど、これもカリブ音楽の影響をうかがわせる曲ですね。ちょっと小沢健二さんの「愛し愛されて生きるのさ」に似た爽やかで軽快な曲です。

M4 Misfire / Queen

【高橋芳朗】
うーん、気持ちいい!

【ジェーン・スー】
これもぜんぜんちがうね。今日かけた「Cool Cat」、「Pain is Close to Pleasure」、「Who Needs You」、「Misfire」……これぜんぶ別のアルバムに入っていて、しかもそのアルバムごとにみんなが知ってるヒット曲が入っているわけでしょ? もう大混乱だよ!

【高橋芳朗】
アハハハハハ! それだけクイーンの作品は掘り下げ甲斐があるということでございますよ。

【ジェーン・スー】
クイーンには勉強が必要だね! 事前の勉強があると映画の楽しみ方もぜんぜんちがってくると思います。

【高橋芳朗】
いまはストリーミングサービスがありますからね。登録されている方は全アルバム聴き放題なわけですから、この機会にぜひ。

【ジェーン・スー】
そうですね。聴いてみます!

【高橋芳朗】
そうそう、映画『ボヘミアン・ラプソディ』を一足早く見てきましたよ。

【ジェーン・スー】
おー、どうだった?

【高橋芳朗】
まあね、あれは泣くよね(笑)。

【ジェーン・スー】
なんかみんな「めちゃめちゃいい!」って言うよね。

【高橋芳朗】
クイーンのマニアの方だったらいろいろ突っ込みたいところはあると思いますけど、最後の20分は音楽の力、歌の力に完全にねじ伏せられますね。ぜひ音響設備のいい映画館での鑑賞をおすすめします。

【ジェーン・スー】
なるほど、かしこまりました!

【高橋芳朗】
あと最後にちょっと付け加えておくと、この映画『ボヘミアン・ラプソディ』、ブライアン・メイとロジャー・テイラーは音楽監修で参加しているんだけど、ジョン・ディーコンは関与していないんですよ。そもそも、ジョンはフレディ・マーキューリーが亡くなったあと、別のボーカリストを迎えたクイーンの活動には一切関わっていないんです。これは別にブライアンやロジャーをどうこう言うつもりではないんですけど、今回はそんなジョンのストイックな姿勢に敬意を表してこの企画を組んだところもありました。ジョンはクイーンのなかでいちばん目立たないメンバーだけど、グループへの貢献度も高くてグループ愛もすごく強いんですよね。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

11/5(月)

(11:07) Say It Isn’t So / Daryl Hall & John Oates
(11:24) First Time / Michael Sembello
(12:11) Got You Where I Want You / Dionne Warwick & Johnny Mathis
(12:23) Once You Give In / Bobby Caldwell
(12:50) アイリーン / 安部恭弘

11/6(火)

(11:06) Mayor of Simpleton /XTC
(11:23) The King of Rock ‘N’ Roll /Prefab Sprout
(11:35) Tell Me Why /Nick Heyward
(12:13) Adivce for the Young at Heart/ Tears for Fears
(12:25) If It’s Love / Squeeze

11/7(水)

(11:05) 59th Street Bridge Song (Feelin’ Groovy) 〜恋の59号通り〜 / Harpers Bizarre
(11:23) Kites Are Fun (Single Version) / The Free Design
(11:36) Like to Get to Know You / Spanky & Our Gang
(12:15) Aren’t You Glad / The Beach Boys
(12:50) Tiem for Livin’ / The Association

11/8(木)

(11:08) Why Can’t We Be Friends / War
(11:24) Happy Feelin’ / Earth Wind & Fire
(11:34) Hope You Feel Better Love / The Isley Brothers
(11:39) You Ought to Be Havin’ Fun / Tower of Power
(12:16) Gift of Love / Kool & The Gang
(12:16) 遊びっこ / センチメンタル・シティ・ロマンス

11/9(金)

(11:06) Don’t Stop Me Now / Queen
(11:23) Another One Bites the Dust / Queen
(11:39) Under Pressure / Queen & David Bowie
(12:12) Radio Ga Ga / Queen