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「追悼フランシス・レイ〜映画音楽のマエストロが日本のポップスに与えた影響を聴いてみよう」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「追悼フランシス・レイ〜映画音楽のマエストロが日本のポップスに与えた影響を聴いてみよう」

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお届けいたします。「追悼フランシス・レイ〜映画音楽のマエストロが日本のポップスに与えた影響を聴いてみよう」。

(映画『男と女』主題歌、ピエール・バルー&ニコール・クロワジーユ「Un homme et une femme」が流れる)

フランスの作曲家、フランシス・レイが亡くなったことが11月7日に報じられました。86歳でした。フランシス・レイは1932年生まれ、フランスはニース出身。シャンソンの作曲家としてキャリアを始め、エディット・ピアフやイブ・モンタンの伴奏者として活躍。その後、クロード・ルルーシュ監督とのコンビでいまうしろで流れている『男と女』や『白い恋人たち』など数々の映画音楽を作曲。1970年のアメリカ映画『ある愛の詩』ではアカデミー賞作曲賞を受賞しています。堀井さんもスーさんも当然フランシス・レイはご存知ですよね?

【ジェーン・スー】
うん。フランシス・レイ自体のことはよく知らなくてもフランシス・レイがつくった曲はもううなるほど知ってるよね。

【高橋芳朗】
うんうん、そういう感じだと思います。リアルタイムでフランシス・レイの人気を体験しているのはきっと60〜70代ぐらいの方になると思うんですけど、それでも世代問わず彼の音楽が日本人が抱くフランスのパブリックイメージを決定づけたようなところがあるんじゃないでしょうか。本日はそんなフランシス・レイがいかに日本で愛されていたのか、この機会に再確認すべくフランシス・レイ作品を歌った日本人シンガーの曲を集めてみました。というわけで計4曲、今回はすべて邦楽でいきます。本来であればクロード・ルルーシュ監督とのコラボで生み出した素晴らしいスコアの数々を聴いていくのが筋だとは思うんですけどね。番組のカラーなどを踏まえて、今回はこういうかたちを取らせていただきます。

【ジェーン・スー
なるほど、楽しみ!

【高橋芳朗】
まずは最近の作品から聴いてみたいと思います。元ピチカート・ファイヴの野宮真貴さんとクレイジーケンバンドの横山剣さんとのデュエットによる映画『男と女』の主題歌のカバー。これは2016年にリリースされた野宮さんのアルバム『男と女〜野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。』に収録されていた曲です。1990年代の初頭、まさにピチカート・ファイヴやフリッパーズ・ギターが中心になって盛り上がった渋谷系という音楽ムーブメントがありましたが、あのときのフレンチポップスの再評価を通じてフランシス・レイに魅了された方もきっと多いと思います。僕自身もまさにそんな感じなんですけど、ここではそんな背景も踏まえてこの渋谷系をテーマにした野宮さんのカバーを選んでみました。で、この野宮さん版の「男と女」は日本語カバーなんだけど歌詞は小西康陽さんが書いているんですよ。

【ジェーン・スー】
ほう、なるほど。

【高橋芳朗】
「男と女」の日本語のカバーって結構あるんですけど、小西さんの日本語詞が大胆なのは「男と女」という曲の象徴。ある意味フランシス・レイのアイコンとも言っていい「ダバダバダダバダバダ」のスキャットに日本語を当てているんですよ。

【ジェーン・スー】
へー、じゃあ「ダバダバダ」じゃないんだ!

【高橋芳朗】
そう、あの「ダバダバダ」がない「男と女」なんです。

M1 男と女 / 野宮真貴 en duo avec 横山剣

男と女 ~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。
【ジェーン・スー】
「ささやいて、ささやいて♪」。おしゃれですねー。

【高橋芳朗】
うん、「ダバダバダ」がなくても曲のエレガンスが見事に保たれた名カバーでした。では次、続いてはフランシス・レイの人気が絶頂期を迎えていたころ、1971年の作品を聴いてもらいましょう。1971年はフランシス・レイが『ある愛の詩』でアカデミー賞の作曲賞を受賞した年でもあるし、この年の2月には来日して武道館公演を行っています。フランシス・レイ唯一の来日公演ですね。

【ジェーン・スー】
へー!

【高橋芳朗】
映画作曲家が武道館でコンサートを行うこと自体がすごいよね。そして、そんな1971年には日本人シンガーによるフランシス・レイのカバー作品がたくさんリリースされているんですよ。ここから先はそのなかから3曲紹介しますね。ソフトロックファンは必聴です。まずは双子デュオのザ・ピーナッツのアルバム『華麗なるフランシス・レイ・サウンド! ザ・ピーナッツ最新映画主題歌を歌う』より、1967年の映画『パリのめぐり逢い』のテーマ曲のカバーを。

(映画『パリのめぐり逢い』主題歌、フランシス・レイ「Vivre pour vibre」が流れる)

このアルバムはタイトルに反して収録されているすべての曲がフランシス・レイ作品というわけではないんですよ。それでも『華麗なるフランシス・レイ・サウンド!』なんてタイトルがついているあたりに当時のフランシス・レイ人気がうかがえるんじゃないかと思います。このザ・ピーナッツ版「パリのめぐり逢い」はふたりのスキャットが冴える、ドライブ感のあるボサノバ調のアレンジになっております。キラーチューンと言っていい素晴らしい仕上がりですよ。編曲はピーナッツ育ての親、宮川泰さんです。

M2 パリのめぐり逢い / ザ・ピーナッツ

華麗なるフランシス・レイ・サウンド!~ザ・ピーナッツ最新映画主題歌を歌う(紙ジャケット仕様)
【高橋芳朗】
続いては、こちらも1971年。日本が誇るコーラスグループ、ダークダックスによる1970年の映画『流れ者』のテーマ曲を聴いてもらいましょう。

(映画『流れ者』主題歌、フランシス・レイ「Le Voyou」が流れる)

ダークダックス版の「流れ者」はシングルのカップリング曲としてリリースされたんですけど、このレコードがすごいのは表題曲の「愛のメルヘン」がなんとフランシス・レイの書き下ろし。しかもこの「愛のメルヘン」とこれからかける「流れ者」、両方ともパリ録音なんですよ。

【ジェーン・スー】
お金があったんだね。

【高橋芳朗】
さらにバックを務めるのはフランシス・レイ楽団という豪華さですよ。なお、歌詞は日本語詞。手掛けているのは加山雄三さん「お嫁においで」や郷ひろみさん「男の子女の子」などで名高い岩谷時子さんです。

M3 流れ者 / ダークダックス

ダークダックス大全
【高橋芳朗】
堀井さんが頬杖つきながら目をつぶってうっとりしております。

【堀井美香】
声がよく伸びるねー。

【高橋芳朗】
フフフフフ、それでは最後の曲にいってみましょう。こちらも1971年リリース、由紀さおりさんのアルバム『男のこころ〜由紀さおり フランシス・レイを歌う』から。

【ジェーン・スー】
アハハハハ、みんなどんだけフランシス・レイを歌うんだよ!

【高橋芳朗】
当時の人気ぶりがよくわかるよね。そんな由紀さおりさんのアルバムから、これもフランシス・レイの書き下ろしによる「恋におちないように」。このアルバムはタイトル通り全曲がフランシス・レイ作品のカバーで、タイトル曲の「男のこころ」とこれからかける「恋におちないように」、この2曲が書き下ろしになっています。歌詞はやっぱり日本語詞で、小柳ルミ子さん「瀬戸の花嫁」やアグネス・チャン「ひなげしの花」などでおなじみ山上路夫さんの作詞。編曲は山口百恵さん「いい日旅立ち」「しなやかに歌って」などで知られる川口真さんとなっています。で、この当時由紀さおりさんは22歳。

【ジェーン・スー】
若い!

【高橋芳朗】
22歳の由紀さんの可憐なボーカルとフランシス・レイの優雅なメロディーに悶絶してください。

M4 恋におちないように / 由紀さおり

恋におちないように
【高橋芳朗】
素晴らしいですねー。堀井さん、この歌唱で22歳ですよ。

【堀井美香】
びっくり! 22歳でこんな声の出し方ってあります?

【ジェーン・スー】
酸いも甘いも咀嚼しまくって第二の胃から戻ってきたぐらいの勢いだよ。

【高橋芳朗】
ということでちょっと変化球なフランシス・レイのトリビュートではありましたが、彼の曲が持つエレガンスは今回紹介したカバー曲からも十分伝わったのではないかと思います。

【ジェーン・スー】
フランシス・レイがいかに日本のミュージシャンから愛されていたのか、よくわかりました。ありがとうございます!

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

11/12(月)

(11:04) Josie / Steely Dan
(11:19) Still Falling for You / Boz Scaggs
(11:32) How Do the Fools Survive? / The Doobie Brothers
(11:40) Vagabond from Heaven / Stephen Bishop
(12:09) So Beautiful It Hurts / Rupert Holmes
(12:22) Living of the Love / Erik Tagg
(12:51) あの日のように微笑んで / やまがたすみこ

11/13(火)

(11:04) I’m Ready for Love / Martha & The Vandellas
(11:21) Ain’t That Peculiar / Marvin Gaye
(11:37) Nothing But Heartaches / The Supremes
(12:12) Love a Go Go / Stevie Wonder
(12:50) Do I Love You / Chris Clark

11/14(水)

(11:05) Handle with Care / The Traveling Wilburys
(11:24) Cheer Down / George Harrison
(11:36) You Got It / Roy Orbison
(12:14) I Won’t Back Down / Tom Petty
(12:50) I LIKE YOU / RCサクセション

11/15(木)

(11:05) Autumn Leaves / Tony Bennett
(11:36) Hello Dolly! / Frank Sinatra
(12:09) I Get Ideas / Bing Crosby & Rosemary Clooney
(12:50) Lover, Come Back to Me / 美空ひばり

11/16(金)

(11:04) Don’t Stop ‘Til You Get Enough / Michael Jackson
(11:20) Can’t Let Go / Earth Wind & Fire
(11:37) I’ve Got the Next Dance (Single Mix) / Deniece Williams
(12:16) One Night Tan (Single Version)  / Heatwave