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体のニキビじゃない!「化膿性汗腺炎」知ってますか?

森本毅郎 スタンバイ!

化膿性汗腺炎という皮膚の病気について取り上げます。あまり聞いたことがないかもしれませんが、発症すると激しい痛みなどで、仕事も困難になる厄介な病気です。悪化すれば手術になりますが、それでも完全には治らないこともあります。ですが、来年にも、治療が画期的に進化する可能性が出てきました。

そこで、11月19日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、この化膿性汗腺炎について、虎の門病院皮膚科部長、林伸和先生に取材しましたので、ご報告します。

★化膿性汗腺炎とは?

まず知っていただきたいのは、化膿性汗腺炎とはどんな病気なのか、です。化膿性汗腺炎は、文字どおり、汗が出る毛穴の汗腺に炎症ができ、化膿=膿が出る病気です。自己免疫の異常などから、脇の下やお尻、太ももの付け根、乳房などに炎症ができて、赤くはれ上がったおできのような物が次々できる慢性の疾患です。進行すると、膿が溜まって、ふくらんで袋状になります。さらに進行すると、その袋がどんどん広がって破裂、膿が出たり、激しい痛みが出ます。もっと悪化すると、袋ではなく、皮膚に穴が開いてしまうケースもあります。

この病気の問題は、圧倒的に日常生活の質を下げてしまう、というところにあります。まず、傷口が目立つので、ノースリーブなどは着られなくなる。それで長袖などを着たとしても、悪化していると、服と傷口が擦れるので痛い。脇の下にできたケースでは、そちらを下にして眠れないほど痛い。運動が制限され、鼠径部にできたケースでは、痛みですわるのも辛い。また、膿が出るので、ズボンや椅子が汚れてしまったり、匂いが気になる。こうしたことが影響して、ある調査では、化膿性汗腺炎で仕事を休んだ人は58%、その休んだ日数は年間平均で34日、そして失業した人も10%、いたということです。

★病気が知られていない

問題なのは、この病気が知られていないため、悪化するまで放置されてしまうことです。患者さんが、この化膿性汗腺炎だと正しく診断を受けるまで、平均7・2年かかっています。また、見つかるまで、平均で4人のお医者さんを回る、というデータもあります。7年以上、何の病気かわからず苦しみながら、病院を転々とする、というわけです。

これは、最初は、体に小さなニキビができた、くらいに考えてしまわれがちなのと、医師の間でも、病気への認知が広がっていないという問題があります。そうこうするうちにどんどん悪化していき、手術、となってしまうケースもあります。

まずは化膿性汗腺炎という病名を覚え、お尻やわきの下、太ももの付け根など、体にニキビのようなおできが広がる、それも、半年のうちに3回以上繰り返しできるという方は、化膿性汗腺炎を疑ってください。

★治療は?

治療は「抗生物質の内服薬・塗り薬」次に「切開」そして「手術」となります。

抗生物質の内服薬や塗り薬は、主に保存的治療として小さな病変には有効です。手術をしたくない時に選択される治療ですが、薬への耐性が出て効かなくなる可能性があり、長期的、慢性的な炎症には向いていません。

慢性的に苦しむ場合は、切開で、おできを切り、膿を出す治療となります。切開すれば、その後は、だいぶ楽になりますが、ただ、効果は一時的です。また他のところにおできが出来る再発率は50%もあり、そのたびに切開が必要になります。

そうなると今度は手術、となります。これは、おできそのものを、全て、根こそぎ切除するというものです。おできが小さければ、そのまま縫い合わせれば済みます。ただ、化膿性汗腺炎は、おできの範囲が手のひら以上にも広がります。そうした場合は、おできを切除した上で、お尻や太ももの後ろ等から皮膚を移植します。

移植の場合は、定着するまで時間がかかるので入院が長引きます。お尻のおできで移植手術をした場合は、うつぶせで1週間、その後もう1週間入院となります。

ただ、この手術のケースでも、再発率は10%もあるとされています。特に、移植したところの端、元の皮膚が残ったところで再発するというリスクがあります。

★来年には新薬が

手術しても10%再発、というのは辛いですが。ところが、この状況を改善する新しい薬が来年、出てきそうです。海外では既に承認されている「ヒュミラ」という薬です。「ヒュミラ」は、日本でも別の病気では既に使われていますが、この化膿性汗腺炎でも使えるように、現在、申請中で、来年にも許可が出る予定です。

化膿性汗腺炎が悪化し、膿が出ているような患者さんで使われるイメージで、いきなり手術するよりも、まずこの注射治療で炎症と腫れを取り、患部を小さくしてから、手術で確実に取ることで、再発率が下がるとされています。患部が小さくなるので、手術もしやすく、成功率も上がるようです。

★ヒュミラは「生物学的製剤」

この薬は、一般的な化学的に合成される薬ではなく、「生物学的製剤」と呼ばれ、たんぱく質など体が生成する物質を、バイオテクノロジーで応用して作るものです。特殊な薬ですので、手術とセットで対応出来る大きな病院で使われる予定です。1日も早く承認され、多くの病院で使われるようになると良いと思います

★そのほかの注意点は?

化膿性汗腺炎は、とにかく、医者も含めて多くの人が知らないことが一番の問題です。化膿性汗腺炎は、日本では10万人に4人程度と言われていますが、海外などでは、1000人に1人と言われているので、比較的多い病気です。

化膿性汗腺炎については、「繰り返す痛いおでき、ドットコム」というサイトでも、情報発信があるので、気になる方は見てください。「繰り返す痛いおでき、ドットコム」です。

この病気は、未解明のことも多いですが、生活習慣との関連も指摘されています。タバコを吸っていると症状が悪化する、肥満の方のほうが症状が悪化する、という調査もあるので、禁煙と減量、そして規則正しい食生活が進められます。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181119080130

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