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知的障害者が中心のチョーク会社▼人権TODAY(2018年11月24日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で、8:20頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

障害者雇用で有名なチョークのトップメーカー

先日、中央省庁や地方自治体が、雇用する障害者の数を水増ししていた不正がニュースになり、民間企業でも障害者雇用に試行錯誤しています。そんな中「障害者が会社の戦力の中心」という会社、川崎市にある日本理化学工業を取材しました。黒板に書くチョークの日本のトップメーカーです。

この会社は1960年に初めて障害者を採用して以来、雇用を続けていて、現在では川崎と北海道の工場あわせて社員86人中、7割を超える64人が知的障害者で、チョークの製造に関わる仕事をしています。
川崎市高津区の本社兼工場にお邪魔したのですが、玄関入口のガラスには、ガラスにも書けるチョークでキノコや紅葉など季節の絵が色とりどりに描かれていて、訪れる人を明るく出迎えてくれます。

川崎工場玄関の装飾

障害者の雇用を続ける理由

日本理化学工業 大山隆久社長

障害者の方っていうと、何かが出来ない人だって思ってるんだとしたら、僕らはそう思ってない。僕らは彼らが出来る人だと思ってるから、だから一緒にやっている。確かに理解力の差っていうのはそれぞれありますし、言葉で伝えてすぐわかる人は多くないですから、教えることはとても難しいことだと思うし、今もウチの一番の課題はどう伝えるかっていうことだと思うんです。ただ、一回ちゃんと理解してくれたことに対してきちんとその通りやってくれるという意味で、すごく信頼できる人たちだっていうことが分かって、かつ、教え方さえどうにか工夫すれば、この人たちはきちんとやってくれるっていうことが分かったから、続けてこれたんだと思います。

言葉だけではない伝え方

知的障害者にどうやって仕事を覚えてもらうか? この会社では作業工程自体を変えていきました。例えば、チョークの箱詰め。手作業で1段12本を6段入れるのですが、数を数えるのが苦手な人もいるので、12本の溝があるトレーが用意されていて、そこにチョークを全部はめ込めば、後は箱に入れるだけで済むようにしました。漢字が読めない人もいるので、工場内の掲示物をひらがなにしたり、イラストで説明があったりします。


工場内の様子

健常者の管理者がいなくても作業は回る

工場では、ホタテの貝殻の粉や炭酸カルシウムなどチョークの原材料を混ぜ、棒状にして、短くカットして、乾燥させて、箱詰めするという工程それぞれに人が配置されています。チョークを棒の形にに整える工程での大山社長の説明です。

大山社長

これは本当に難しい。ビヨーンって伸びちゃうし。すごいんですよ。僕はできない。職人ですよね。ちょっとでもひねったら曲がったチョークになってしまう。まっすぐ取れるかが大事な技術ですから。これ途中休憩ありますけど、8時間続けて出来ますか? 僕は出来ない。集中力とか持続力とか。絶対できないと思いますよ。ここだけ見てもこの人たち一緒に支えられてる現場だなっていうのが、すぐわかります。

ほとんど周りとも話すことなく、黙々と作業に没頭する人もいますし、私に「こんにちは」と元気に声をかけてくれる人もいます。長いチョークを短く切りそろえる作業をしていた中山さんは「職場は皆さんやさしい」と話しています。

工場内では20人ほどが作業していて、そのすべてが障害者という時もあります。時折、健常者の管理者が見回りますが、いなくても作業が止まることはありません。

大山社長

必要以上に管理者を置く必要がないんですね。彼らの中にリーダーを持てれば。彼らの中でもそれがモチベーションに変わるので、班長になりたいとか副班長になりたいっていうのが自分の目標に変わっていく。成長のきっかけになるんです。

勤続年数が長い

この日、チョークの乾燥作業を担当していた男性は35年以上、箱詰めをしていた女性は30年以上の大ベテランです。勤続年数が長い理由を大山社長はこう話しています。

大山社長

障害のあるなしにかかわらず、面接の時には「あなたがこの会社定年になるまで必ず働き続ける。そういう覚悟で入ってください」ということを伝えるし、会社も「あなたが定年になるまでここで頑張り続けられるように必ずバックアップします」ということは当然伝えるし、雇用する責任というのは当然あるわけで、その人の一生も生活もかかってるわけですから。

ひとりひとりの能力に合わせて作業を改善し、誰もが同じように働ける環境づくりを行う日本理化学工業。障害者の雇用を「ノルマ」とみる組織も多い中、業種や規模が違ってもヒントはいろいろ得られるのではないでしょうか。

なお、日本理化学工業では、普段学校などで目にするチョークのほか、色の見え方に障害がある人でも色の判別がしやすい「eyeチョーク」も製造しています。詳しくはホームページをご覧ください。

(担当:進藤誠人)

■日本理化学工業
http://www.rikagaku.co.jp/