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「歯が痛い」もしかしたら虫歯ではなく別の病気かも?

森本毅郎 スタンバイ!

歯の痛みというと、「虫歯」など、歯自体や歯周組織に問題があるのではないか、と考える方が多いと思います。ただ、中には歯以外の病気が原因で「歯が痛い」と感じることもあるのです。こうした、虫歯以外の歯の痛みを含め、口、顔、頭の痛みを治療する「口・顔・頭の痛み外来」という、少し変わった外来もあります。

そこで、11月26日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、その外来=日本大学松戸歯学部「口・顔・頭の痛み外来」責任者の小宮山 道教授に取材しましたので、報告します。

★歯の痛みの主な原因は虫歯!だが

歯の痛みで歯医者さんを受診する方の多くは「虫歯」による痛みです。虫歯の穴が、歯の表面のエナメル質から、いわゆる”歯の神経”にまで至ると、神経に刺激が直接伝わるため、歯に激烈な痛みが起こることがあります。これは、ヒトが経験する最も激烈な痛みの1つだと言われています。

この場合は、歯医者さんで、”歯の神経”を取って薬を詰めることで治ります。さらに、神経が死んでしまった根の先に病巣ができると、根の先に痛みが出ます。この場合は、中をきちっと消毒し、薬を詰めることで治ります。これは、通常通り、歯医者さんの領域です。

ただ、歯が原因でない場合もあるんです。歯の痛みを訴えて受診した人のおよそ3%が、歯が原因ではなく他の原因だとされています。歯とほかの原因の両方があるケースは9%です。歯が原因でない歯の痛みは、大きくわけて8つもあります。その中でも、主な原因とその病気の事例を交えて説明します。

★脳と神経が関連する歯の痛み

痛みを感じると、神経を通じて脳に送られます。神経は身体のいろんなところから脳へと複雑につながっています。場所によっては、神経と神経が近い箇所があって、別のところからきた信号を拾って時に混線したりすることもあり、発生している場所を勘違いしてしまうことがあるのです。

★「筋・筋膜性歯痛」という病気

それが主な原因の1つ「筋・筋膜性歯痛」という病気です。歯が原因ではないのに、歯が痛いという人の78・8%が「筋・筋膜性歯痛」のような筋肉の痛みを併発しているというデータもあります。「筋・筋膜性歯痛」は、噛む筋肉の炎症が原因で痛みを感じてしまう病気です。「筋・筋膜性歯痛」の多くは、ストレスや歯を食いしばるなど、筋肉の緊張状態が原因で起こる。

ある患者さんの例を挙げると、その患者さんは「左下の歯が痛くて仕方がないので抜いて欲しい」と歯科クリニックにかかった。診察したところ、患者さんが痛みを訴える歯の周りには炎症などはなく、前後の歯や上あごの歯も問題なかったということなんです。局所麻酔をしたけれど痛みは変わらず、一方で、噛む筋肉の触診をしたところ歯の痛みが出たということで、その患者さんは「筋・筋膜性歯痛」と診断されたということです。患者さんに対しては、患部を温めたり、マッサージや姿勢、生活の指導といった治療を行い、2週間後には痛みがなくなりました。

★「神経障害性歯痛」という病気

先ほどは、身体のどこかの異常が転じて歯が痛むように感じる、というものでしたが、この「神経障害性歯痛」は、痛みを伝える神経そのものが障害されて歯が痛むように感じる。代表的な物が、顔の感覚を司る「三叉神経」と呼ばれる神経の付け根が、血管に圧迫されるなどして起こる三叉神経痛です。

三叉神経は歯にもつながっていて、発作が起きると歯や顔面が激しい痛みに襲われます。三叉神経痛の痛みは瞬間的な激痛です。顔面の特定の場所に触れると瞬間的に激痛が走るため、洗顔や歯磨き、ひげそりができない」、「歯がツーンとしみる」、「入れ歯の下の粘膜がきりきり痛む」などの症状です。

ある患者さんの例を挙げます。半年前くらいから顔を洗う時に顔面、左上の歯のあたりに激痛が走るようになったのです。歯科で歯の治療を行ったが痛みはとれず、痛みの頻度や時間が増えてきたそうです。もちろん歯には異常はなく、唇を引っ張ると痛みの発作が起こったのです。そこで三叉神経の根元に麻酔をしたところ発作が消えたので三叉神経痛と診断されました。

三叉神経痛の場合の治療は、薬物療法や、神経ブロック、放射線による切除療法、神経外科的手術等もあります。さきほどの患者さんの場合、薬物療法で、3日で痛みが激減しました。患者さんは脳神経外科やペインクリニックへ紹介することになります。

★虫歯と間違えられる「群発頭痛」

また、虫歯の症状と非常に似ているものもあります。それが、頭痛と関連して起こる歯の痛みです。特に1日に数回、60分間程に頭痛発作を起こす「群発頭痛」という頭痛は、「歯が原因の痛み」と間違えて診断されることがあり、間違えて診断される確率は11%です。そのため、間違えて抜歯されることも16%あるんです。

抜かなくていい歯が抜かれることがあるのです。また、頭痛以外にも副鼻腔に炎症や腫瘍があって起こる歯の痛み。狭心症や心筋梗塞、心膜炎などの心臓の病気が原因で起こる歯の痛み。また、不安や気分が落ち込む抑うつといった、心理社会的要因が背景にあって起こる歯の痛みなど、様々な原因があります。

痛みというのは個人の体験・経験ですから、もともと患者さんの痛みを理解し客観的に判断するのは難しいことです。特に歯以外が原因の場合、患者さんが痛みを訴える場所と、その痛みの原因となっている場所が違うので、診断は大変難しいものになっています。

★「口・顔・頭の痛み外来」とは

大学歯学部付属病院などには「口・顔・頭の痛み外来」ができています。この外来には、歯科の痛み専門医のほかに、脳神経外科、耳鼻咽喉科医、麻酔科医、精神科医が揃っていて、痛みを総合的に対応してくれます。主治医と相談して、そうした外来で診てもらう事も選択肢として考えてみてください。

虫歯以外の歯の痛みについては、病院の歯科口腔科に問い合わせるか、日本航空顔面痛学会のHPなどを参考にして下さい。

日本航空顔面痛学会
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指導医・専門医・認定医名簿

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181126080130

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