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「2019年で音楽活動50周年〜細野晴臣、海外で高まる再評価の動き」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「2019年で音楽活動50周年〜細野晴臣、海外で高まる再評価の動き」

2019年で音楽活動50周年〜細野晴臣、海外で高まる再評価の動きhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181130123723

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお届けします! 「2019年で音楽活動50周年〜細野晴臣、海外で高まる再評価の動き」。実はいま、海外で細野晴臣さんの再評価の機運が高まってきているんです。それと並行して、来年で音楽活動50周年を迎える細野さんの音楽活動も俄然おもしろくなってきています。本日は、そんなここ2年ぐらいの動きを曲を聴きながら時系列に沿って紹介していきたいと思います。

【ジェーン・スー】
はっぴいえんど、ティン・パン・アレー、YELLOW MAGIC ORCHESTRA……もう「時代をつくった」と言われるところにはかならずヤツがいるって感じだもんね。

【高橋芳朗】
まさにまさに……いま細野さんを「ヤツ」って言いましたね?

【ジェーン・スー】
すみません、敬称略です。

【高橋芳朗】
フフフフフ、ではさっそく本題に入ります。まず近年の海外における細野さん再評価の目立った動きとしては、去年の3月にイギリスで企画された70年代〜80年代の日本のファンクやディスコミュージックを集めたコンピレーション『Lovin’ Mighty Fire: Nippon Funk Soul Disco 1973-1983』。これに細野さんの「薔薇と野獣」が収録されました。このコンピレーションはリリース当時番組でも紹介したので覚えている方もいるんじゃないかと思います。
LOVIN' MIGHTY FIRE: NIPPON FUNK * SOUL * DISCO 1973-1983

「薔薇と野獣」は細野さんが1973年にリリースしたソロデビューアルバム『HOSONO HOUSE』の収録曲になります。『HOSONO HOUSE』は細野さんが当時住んでいた埼玉県狭山市の自宅でレコーディングした、日本における宅録アルバムの先駆けと言われるエポックな作品ですね。

細野さんの『HOSONO HOUSE』レコーディング当時の回想録を読むと、本当にいろいろな音楽にインスパイアされながらアルバムの制作を進めていたことがよくわかります。アメリカの1920年代のノスタルジックな音楽やルーツ音楽、カントリーミュージックやシンガーソングライター物。「ロックのビートが嫌になっていた」なんて発言もあったりして。そして、そういうなかで細野さんが強く刺激を受けたのがスライ&ザ・ファミリーストーンやビリー・プレストンのような当時のソウル/ファンクだったそうです。

細野さんは「彼らは飛び抜けて新しい音楽をやっていた」と話していますが、そういう影響を『HOSONO HOUSE』のアルバム中で最もわかりやすく体現しているのがこのイギリスのコンピレーションでピックアップされた「薔薇と野獣」なんじゃないかと思います。この曲の折衷感覚はすごくいまっぽいし、このタイミングで再びスポットを当てるのにふさわしい曲だと思います。

M1 薔薇と野獣 / 細野晴臣

薔薇と野獣

【高橋芳朗】
この「薔薇と野獣」を収録したイギリス制作のコンピレーションが出たのが去年の3月。その後、これも以前に番組で取り上げましたが、10月にはアメリカ企画の日本のロック黎明期のコンピレーション『Even a Tree Can Shed Tears: Japanese Folk & Rock 1969-1973』に細野さん関連の楽曲が2曲も収録されます。ひとつははっぴいえんどの1971年のアルバム『風街ろまん』から「夏なんです」。もうひとつは『HOSONO HOUSE』から「僕は一寸」。ここでもやっぱり『HOSONO HOUSE』がクローズアップされているんですね。

Even a Tree Can Shed..

【高橋芳朗】
そして年が変わって2018年に入ると、5月に劇伴を手掛けた映画『万引き家族』がカンヌ国際映画祭でパルムドール受賞。6月にはイギリスでコンサートを開催。ロンドンとブライトンで2公演行っています。

【ジェーン・スー】
才能がある人っていうのはすごいね!

【高橋芳朗】
ロンドン公演では坂本龍一さんと高橋幸宏さんが飛び入りしたことが話題になりましたね。

【ジェーン・スー】
YMOだ!

【高橋芳朗】
そしてそして、8月から9月にかけては細野さんのソロアルバム5タイトルがアメリカで再発されることになります。これはCDとアナログでリリースされています。

【ジェーン・スー】
へー!

【高橋芳朗】
ラインナップは、1989年の『オムニ・サイト・シーイング』、1982年の『フィルハーモニー』、1979年の『コチンの月』、同じく1978年の『はらいそ』、そして1973年の『HOSONO HOUSE』。このソロアルバムの再発に伴って、アメリカの音楽メディアでは結構細野さんの特集記事やインタビュー記事が組まれていましたね。ある記事では「日本のブライアン・ウィルソン」なんて紹介されていました。

そういう動きのなかで決定的だったのが、ついに海外のアーティストによる細野さん作品のカバーが登場します。8月にカナダのシンガーソングライター、マック・デマルコが細野さんの1975年のソロアルバム『トロピカル・ダンディー』収録の「HONEY MOON」をカバーしたんですよ。しかも、これがなんと日本語カバーという。

マック・デマルコは日本ではまだまだ知名度は低いんですけど、欧米ではアルバムを出せば確実にその年の年間ベスト選に食い込んでくるような人気アーティスト。彼が細野さんの曲をカバーしたことはとても大きな意味と影響があるんじゃないかと思います。ちなみにこのマック・デマルコ、現在28歳。

【ジェーン・スー】
まだ若いんだ。

【高橋芳朗】
そう。彼は細野さんから受けた影響について「僕が19歳から音楽をつくり続けている大きな理由が細野なんだ。彼は多作で、しかもいろいろなタイプの曲をつくっている。聴いても聴いても新しいものが出てくるんだ」と話しています。そうやって細野さんの作品を聴き込んだ成果なのかもしれないですけど、このマック・デマルコの「HONEY MOON」のカバー、めちゃくちゃ日本語が上手いんですよ。ぼんやり聴いていたらとてもカナダの人が歌っているとは思えないぐらい(笑)。ちょっとサイケデリックな味付けも施されたナイスカバーなんですけどね。

M2 HONEY MOON / Mac DeMarco

【ジェーン・スー】
へー、高橋幸宏さんがカバーしたみたいになってるね(笑)。

【高橋芳朗】
確かに幸宏さんに似てるかも(笑)。ものすごく日本語上手いんだけど、よく聴くとさすがにところどころで発音がよれてるね。そこがまたこの曲をチャーミングにしてる。

【ジェーン・スー】
うんうん。でもカナダのシンガーが歌ってるなんて言われないとわからないよ。

【高橋芳朗】
こうして海外で細野さん再評価の機運が高まる中、細野さんは来年1月にニューアルバムをリリースすることを発表しています。先週の11月21日にはそれに先駆けて新曲が発表になったんですけど、これがなんと最初にかけた「薔薇と野獣」のニューバージョンなんですよ。

【ジェーン・スー】
おおっ、再録?

【高橋芳朗】
しかも、歌、演奏、プログラミング、アレンジ、レコーディング、ミックス、すべて細野さんひとりで手掛けています。

【ジェーン・スー】
すごい!

【高橋芳朗】
まだニューアルバムの詳細は公式発表されていないんですけど、細野さんは以前からインタビューでたびたび「『HOSONO HOUSE』をつくり直したい」と話していて。それを踏まえると、ここで「薔薇と野獣」のニューバージョンを出してきたということはひょっとしたらひょっとするんじゃないかと。いままで話してきたように海外では細野さんのソロアルバムのなかでも特に『HOSONO HOUSE』の評価が高いようだから、このタイミングで新録版が出たらかなり話題になると思いますね。

しかもまたこの「薔薇と野獣」のニューバージョンが本当に素晴らしくて。先ほどオリジナルの「薔薇と野獣」ではスライ&ザ・ファミリー・ストーンやビリー・プレストンといった当時のソウルやファンクにインスパイアされたという話をしましたが、ここではその部分がネオソウル的というか、いまのブラックミュージックのグルーブにアップデートされているんですよ。つまり、オリジナルバージョンの意義やコンセプトを継承した新録になっているんです。高橋幸宏さんと組んだSketch Showで試みていたようなミニマルなファンクに通じるところもあると思います。

M3 薔薇と野獣(new ver.) / 細野晴臣

薔薇と野獣(new ver.)

【高橋芳朗】
というわけで細野さんの2019年の活動に注目していきたいんですけど、海外の動きとしては来年2月にアメリカでリリース予定の日本の環境音楽のコンピレーション『Kankyo Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』に細野さんが無印良品の店内BGMとして提供した「Original BGM」が収録されるそうです。


Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990

【ジェーン・スー】
なるほど、そういうのもあるんだ。

【高橋芳朗】
細野さんとアンビエントといえば、この番組で毎日細野さんの曲がかかっているのってご存知でした? こちらの曲を聴いてみてください。

(細野晴臣「Roochoo Divine」が流れる)
細野晴臣アーカイヴス Vol.1
【ジェーン・スー】
そうそう、そうなんだよね!

【堀井美香】
ええーっ! 『水音スケッチ』?

【高橋芳朗】
フフフフフ、まさに。『水音スケッチ』のテーマ曲として流れているこの曲、細野さんが琉球王朝をテーマにした音楽劇『万国津梁』に提供した「Roochoo Divine」のセルフリメイクなんですよ。このあと、もっと聴いていくと細野さんのボーカルも入ってきます。

【堀井美香】
もっと早く言って! 『水音スケッチ』、もう5年もやってるのに……。

【ジェーン・スー】
アハハハハ!

【高橋芳朗】

『生活は踊る』も細野さん再評価の波に乗っかっていたっていうね。そういうことなんですよ、堀井さん。

【堀井美香】
ありがとうございます、細野さん。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

11/26(月)

(11:06) Georgy Porgy / TOTO
(11:22) Keep On Movin’ / Pages
(11:33) Who Said the World Was Fair / Daryl Hall & John Oates
(11:40) Double Love / Crackin’
(12:10) Sweet Friction / Ned Doheny
(12:22) Survival / Marc Jordan
(12:50) 愛の炎 / 吉田美奈子

11/27(火)

(11:05) I Say a Little Prayer / Martha Reeves & The Vandellas
(11:25) Walk On By / The Four King Cousins
(11:36) Do You Know The Way to San Jose / The Anita Kerr Singers
(12:14) The Look of Love / Barbara Acklin
(12:50) Walk On, Walk On By /松任谷由実

11/28(水)

(11:04) You and I / Queen
(11:36) Rock Show / Wings
(12:13) So Fine / Electic Light Orchestra
(12:25) Good Morning Judge / 10cc
(12:50) パーティー・パーティー / 近田春夫&ハルヲフォン

11/29(木)

(11:04) The Last Time / The Rolling Stones
(11:21) Don’t Look Away / The Who
(11:32) It’s You / The Hollies
(12:15) Whenever You’re Ready / The Zombies

11/30(金)

(11:05) Never Give Up On a Good Thing / George Benson
(11:22) I Can Make it Better / The Whispers
(11:39) Friends / Shalamar
(12:12) Dancin’ Free / Brothers Johnson