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インド映画『パッドマン』を観て「生理」について考えた

ジェーン・スー 生活は踊る

12月7日公開のインド映画『パッドマン5億人の女性を救った男』は、衛生的なナプキンが手に入らず生理障害に苦しむインドの女性たちの現状、そして男性が“生理”について語るだけでも奇異な目で見られるインド社会を描いた作品。アルナーチャラム・ムルガナンダムさんという実在の人物の実話をベースにして作られています。この作品を一足先に観たジェーン・スーさんと蓮見孝之アナウンサーがその感想を語りました。

あらすじ


北インドの中部の田舎町・マヘーシュワルに住む男、ラクシュミ。小さな工房に勤める彼は結婚したばかりの妻・ガヤトリと、老母と未婚の妹2人の5人で暮らしていた。

あるとき生理になった妻のガヤトリが、その処置ため、清潔とは言えない古い布を使っていることに衝撃を受けたラクシュミは、インドでは高価なナプキンを買いプレゼント。しかしガヤトリは高価なナプキンを使うことを拒み、古い布を使い続けていた。

生理の不衛生な処置で病気になる女性が多いなか、妻に清潔で安全な手当をしてもらいたいと考えているラクシュミは、安いナプキンを作ることを思いつき、一途にそれを追求していくのだった。

夫が妻の「生理」について言及することがタブーなインド社会において、生理用品の普及に貢献し、のちに“パッドマン“と呼ばれる男の人生を描いた作品である。

社会的映画であり娯楽映画『パッドマン』


スー「私たち、一足先にみてきましたが、めちゃめちゃ面白かったね」

蓮見「めちゃめちゃ面白かった!」

スー「生理用品をインドで普及させる男のサクセスストーリーであるとともに、愛する妻を救いたいと思う男のものがたりであって、それでいてインドの女性がどういう状況に置かれているのかを描いた社会的映画であり娯楽映画でもあるんだよね。どうでした?」

蓮見「配偶者であったりパートナーとの距離感について考えさせられましたね。ナプキン開発を妻に嫌がられてしまうんですよ。さらに、家族や周囲の方からの非難が自分だけじゃなく妻にも向けられてしまうんですよね。その時点で私だったらもう開発に突き進まないなと思っちゃいました」

スー「雑にいうと『まんぷく』です。暴走する萬平。萬平もそこそこ暴走していますが、そんなもんじゃない。暴走・失踪する萬平。そして迫害される萬平。しかしめげない萬平。萬平にはいつもサポートしてれる福子がいますが、この映画は福子(ガヤトリ)大激怒。でもしょうがないんですよね。宗教のこともあるので(※ヒンドゥー教では生理は不浄なものと認識があるという)。とにかく妻の力になろうとするとみんなが反対するんだよね。この件について話してはいけないと。だから男性の中では(生理が)ないものになっているんですよね」

蓮見「だからそれを話題にすること自体どうなんだろうと考えちゃいました」

【インドのナプキン】
・当時はインドの国内では作られていなくて、全て外国からの輸入品
・値段は1パック=55ルピー。ファーストフード店のドリンク1杯が5ルピーほどと考えると日本の価値にして1,000円ほどになる。インド、特に収入の低い地方都市では大変高いものだった。
・ちなみに日本で使い捨て紙ナプキンが登場したのは1960年代、普及は70年代。

【使用率】
・当時のナプキン使用率はわずか12%。現在でも、都市部の普及率は30%、地方では10%程度とされている。
・買えない人の中には土や灰を利用する人もいて、感染症や婦人科系の疾患、不妊の原因になることも。最悪の場合は死亡するケースもあるそう。
・また高価なナプキンを使っているのを知られたくないと感じる人も多く、これも使用を妨げる要因となっている。

スー「生理が恥ずかしいって気持ちは私もわかるんですよ。映画の中でも、初潮が来ると祝われるシーンがあるんですよね。すっごく『おめでとうおめでとう』って女性だけの中で祝われているんだけど、それが老若男女がいるところに行くと隔離されるんですよね。閉ざされていたところでは祝われていた人が外に出た瞬間に隔離される。こんな悲しいスティグマがあるのかよ思って、ちょっと気持ちがシュンとなったところもあったんですけど」

生理への無理解は日本も一緒!?

スー「で、私何が一番びっくりしたかって、汚い布を隠して干しているガヤトリにラクシュミが言うじゃないですか、『何やってんだ2001年だぞ』と。ええっー!!1960年代の話じゃないのよ!2001年の話なんですよ。ついこの間じゃん。それでこれかと…」

蓮見「2000年代の話ということで驚きましたし、隔離するという方法がね、これ宗教も絡んだ話なので日本と比較ができませんけど。これある意味ではね生理への理解とか、どこまで知っといた方がいいんだろうとか、あとは知った上でそれを言葉にすべきなのか、気遣いにとどめるのかとか。これ人によっていろんなケースがあるので一概には言えないんですが、その辺への無理解というのは多分、日本もね近からず、遠からずというかね…」

スー「それ蓮見さんに言われて「あー!」ってなって。『日本はインドよりも簡単に安価で生理ナプキンが手に入ることはあるけどタブーって意味ではそんなに変わらなくないですか?』って話されて、確かにそうかもって。今、『生理ちゃん』とかが出てきているから前よりは開けてきているし、こういう話を聞きたくないって人がいるのもすごくわかるんですよ。あと、されたくない女性がいるのもすごくわかるんですが、同時に教える機会がないのに「わかってくれない」ってむくれるのはちょっとずるいなとも思うんですよ。じゃあ、なんでいっせーのせでいけないかって言うと個人差がめちゃめちゃあるんですよ。女性同士の間でも無理解が起こるぐらい個人差があるんで、万人に向けてその話を共有するというより、まず基礎知識を知っておいて、そこからパートナーだったり自分の家族だったりチームの人だったりっていうのに対する気遣いをしていけばいいんじゃないのかなと思ったりはしたわけですね」

蓮見「そうですね」

スー「男性のスタッフとそのあと色々話してたんですよ。どれぐらい生理ナプキンのこと知ってんのかなと思ったら、奥さんがいても知らないことがものすごくて。あのね生理パットって一種類しかないと思っていた人がいるんですよ。各メーカーが出してるけど基本一種類って。私の知っている範囲だと13cm~30cmまであるの。つまり何でそんなに差があるかっていうと人によって量が全然違うんですよ。ていうことも知らない人もいたし『朝と夜、2回替えればよいんですよね?』って『ちょいちょいちょいちょい!』っていう。でも、わかんないよね、習わないと」

蓮見「それこそ小学生の時に保健の授業で取り扱った学校もあれば、今年新聞で目にしたのは、性教育の話を学校ですべきかどうかとか」

スー「そうだね、あったね」

蓮見「そういうところってまさに議論の真っ最中の話題ですよね。さっきスーさんが言ってくれた言葉で多分、うちの妻も救われるなと思った一言が実はあって。女同士の間でも無理解があると」

スー「ある」

蓮見「一応妻にも確認した上でこういう話するんだけど、うちの場合、出産とかも絡んできたので生理の話ってしてたんですね、夫婦の間で。でも生理がないんですよ、ほぼ。だから28日とか一か月前後で来るという一般的なものではなくて、うちの場合、3カ月に1回とか、こないときは半年とか。あとは母乳を与えてる時には1年半ぐらい来なかったかな」

スー「そうだよね、そうだよね」

蓮見「そういうことがあるので、『生理が来ないのは羨ましいな』とか『きたらきたで大変だから今の方がいいよ』とか、ジョーダンや励ましのつもりで言ってくれた言葉も、私の妻にとっては結構傷つく原因になったりとかね。だから今回をきっかけにいろいろとね」

スー「この番組でも、誰かを責めたいわけじゃないんですよ。ただもうちょっと情報が共有されてもいいんじゃないのかなって。これさ男女逆にするのもすごい難しいだけどさ、なんだろうね?」

蓮見「我々にとっての対象がなにか?なんだろう?」

スー「知っておいてほしいことだけど、不躾に入ってきては欲しくない。だけど無理解であると非常に傷つく。お互いの個人差があって、あまり全員共有は出来ないってことって男性陣にもあると思うんですけど」

蓮見「ありますね」

スー「大人になって自分が下の始末とか世話に失敗するのって自尊心をやられるんですよ。ていうのが月に1回あったりなかったりていうので、共有できるところがどこまであるかわかんないけど、もうちょっとこの映画を観て改めて生理の事を話してもいいかなと思ったんですよ