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障害者と健常者が一緒にクライミングを楽しむ「マンデーマジック」▼人権TODAY(2018年12月29日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で、8:20頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

障害者と健常者が一緒にクライミング「マンデーマジック」

今回のテーマは・・・NPO法人モンキーマジックという団体が開催している「マンデーマジック」というイベントです。

2020年の東京オリンピックから初めて種目に採用されるスポーツクライミングという競技をご存知の方は多いと思います。壁についている「ホールド」と呼ばれるカラフルな突起につかまって垂直や、反り返った壁の上まで登っていく競技です。最近、テレビのCMなどにもよく採用されています。

そのスポーツクライミングを障害者と健常者が一緒に楽しもうというイベントが「マンデーマジック」です。現在、東京、横浜、つくば市で定期的に行われています。東京では、高田馬場にあるクライミング専用ジムで、毎月第2月曜日に開催されています。(横浜の『マンデーマジック横浜』は第3月曜日、つくば市では『サタデーマジック』として月1回、最終土曜日などに行われています)

主催するNPO法人マジックモンキーの代表・小林幸一郎さん自身も視覚障害者です。小林さんはイベント開催のきっかけをこう語っています。

代表の小林幸一郎さん

NPO法人マジックモンキー代表・小林幸一郎さん

「私が16歳でクライミングを始めて、28歳で自分の進行性の目の病気がわかりまして、しばらく失意でこれからどうしていこうという時間もあったんですけど、いろいろな人たちに支えられながら細々とクライミングは続けていたので、自分がクライミングができるんだったら、ほかの視覚障害の人にもできるんじゃないか、この素晴らしさを伝えられるのは自分の仕事なんじゃないかと思って始めたのがNPO法人モンキーマジックです。当初は視覚障害者を対象にしたクライミングスクールをやる法人だったんですけども、2012年から障害のある人もない人も一緒に参加できるクライミングイベントにしました」

障がいがあってもクライミングを続けることができ、専門のスポーツ競技もあります。障害者が行う競技は「パラクライミング」と呼ばれて小林代表はその世界選手権で3連覇するなど、第一人者です。パラクライミングは視覚障がいだけでなく、腕・足に欠損がある選手、麻痺など神経障害のある選手のカテゴリーに分けられて行われ、日本は世界でレベルの高い国のひとつです。

「声かけ」で障害者と健常者がコミュニケーション

東京会場で行われる「マンデーマジック東京」は40人定員で行われますが、キャンセル待ちが出ることもあるほど盛況で、年間に平均して約500人、これまでにのべ3000人以上の人が参加しました。イベントではスタッフが初心者に基本を教えてくれるほか、視覚障害者がボルダリングする時に、見えている人が後ろから声をかけてホールドの位置を教える方法もレクチャーしています。教え方は「H・K・K」と略される、方向(H)、距離(K)、形(K)、を伝えることが重要です。そのコツのようなものを教えてもらえます。たとえば「H=方向」だと、「クロック(=時計)ポジション」といって、アナログ時計の何時の方向という考え方で「右手が2時方向」とか「左手が9時方向」などと見える人が、後ろからホールドの位置を教えます。

ホールドの方法をレクチャー

教え方を知ることで、障害者と健常者が一緒にクライミングを楽しむことができます。またクライミングに限らず、視覚障がい者に何かの方向を教える時に「クロックポジション」がとても役に立つことが分かります。こうした声かけなどについて、クライミングを通じて障害者と健常者が密接に会話をすることで、両者の理解やコミュニケーションがとても深まってゆきます。このような交流の意義について、小林代表はこう話します。

NPO法人マジックモンキー代表・小林幸一郎さん

「クライミングはもともと勝ち負けがなく、自分の目標に向かって自分のペースで楽しめばいいスポーツです。人と較べる必要がないので、障害があっても、高齢者でも、その人その人の楽しみ方で向き合うことができるのが特徴です。そのようなクライミングを障がい者も健常者も一緒に遊ぶことで、人ってみんな一緒なんだと気づけるきっかけになるんじゃないかと。障害のない皆さんにとっては、特別な人たちだと思ってた障害者と、実際一緒に遊んでみたら、自分よりもよっぽど難しいことができてびっくりした、自分の価値観を揺さぶられたと言ってくださる人がいて、それが私にとってすごく嬉しい言葉でした。」

健常者の初心者は反り返った傾斜のある壁でクライミングに挑戦してもまったく動けないこともあります。ところが障害のある方でも経験数の多い方はすいすい壁を登っていきます。健常者が障害のある参加者に助けてもらったり、応援される立場になり、とても貴重な経験ができます。イベントの参加者はこんな感想を話してくれました。

イベント参加者の感想

●「今日で2回目です。ふだん日常で障害者の方に接すると、自分で思ってない考えていても、どこか偏見があったりとか。ここに来ると平等に接することができたり、むしろ教えてもらうことが多かったり。障害者の方との距離が近くなる感じがします。」●「もう12回ぐらい来てます。僕は右手に障害があるんですけど、いろんな障害の人がいるので、耳の聞こえない人だと手話とかをやったりするので、それを学んだり、みんな楽しんでやっている思います。」

このようにクライミングは障害者と健常者でルールなどに差が出にくい、一緒に楽しみやすい競技だと体験するとよく分かります。

会場の様子

残念ながらパラクライミングは2020年の東京パラリンピックには採用されませんでしたが、小林代表はオリンピックのクライミング会場でパラクライミングのイベントを開いて競技をアピールできたらと希望を語っていました。
    
今日紹介したイベント「マンデーマジック東京」ほかの情報は以下のNPO法人モンキーマジックのホームページからご覧下さい。

NPO法人モンキーマジック https://www.monkeymagic.or.jp/

また2019年2月3日には「パラクライミング日本選手権2019」が東京都杉並区で開催されます。(会場・明治大学和泉キャンパス総合体育館)NPO法人モンキーマジックの小林代表も出場されます。興味を持った方はぜひ足を運んでみてください。大会の情報は以下のサイトをご覧下さい。
 
パラクライミング日本選手権2019
https://www.jpca-climbing.org/nationalchampionship2018 
 

小林代表のクライミング

担当:藤木TDC(フリーライター)