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サブスクリプション

森本毅郎 スタンバイ!

忙しい朝でもニュースがわかる「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)8時からは、話題のアンテナ「日本全国8時です」

全国ネットで、日替わりゲストとともに放送。
毎週木曜日は、東京大学名誉教授、月尾嘉男さんの「雑学コラム」!

月尾嘉男

解説は東大名誉教授の月尾嘉男

1月24日(木)は「サブスクリプション」

 

★「定期購読・予約購読」

今週は今年あたりから一気に増加しそうな「サブスクリプション」というビジネス形態について眺めて見たいと思います。

サブスクリプションを直訳すると、新聞や雑誌の「定期購読や予約購読」ですが、今回お話するのはインターネットという通信手段を利用した通信販売の一種で、従来の通信販売とはまったく異なる特徴のビジネスです。

通信手段を利用して商品を販売する商売は、日本では140年以上の歴史があります。

明治4年(1871)に日本で郵便制度が始まりましたが、この郵便は早速、商品販売に利用され、明治9年(1876)に津田仙という農学者が『農業雑誌』で植物の種を通信販売する宣伝をし、これが日本の通信販売の元祖とされています。

世界では、その4年前の1872年にアメリカで日用品を通信販売したのが最初とされていますから、明治の日本人もなかなか目先の効く人がいたことになります。

その後、電話、ファクシミリが登場すると、それを利用した通信販売が流行しますが、20世紀末にインターネットが登場し、一気に通信販売が重要な商業形態になりました。

これは当初、B2B(ビジネス・ツー・ビジネス)という企業間取引と、B2C(ビジネス・ツー・コンシューマー)という、企業が個人に販売する取引だけでしたが、最近ではメルカリのようにインターネットを媒介して個人と個人が直接取引するC2C(コンシューマー・ツー・コンシューマー)が登場してきました。この中で多数の個人が利用しているのがB2Cで、日本では2017年に個人消費の5・8%に相当する16兆円の規模になっています。

★「サブスクリプション」というビジネス

その中で注目され始めたのが「サブスクリプション」なのです。

これは目新しい商売ではなく、新聞や雑誌の定期購読や予約購読は、英語でサブスクリプションですから、郵便時代から存在していますし、コンピュータのソフトウェアの分野でも以前から存在しています。

例えば、コンピュータのウィルスチェックのソフトウェアは一定金額を支払えば1年間、サービスを提供してくれるサブスクリプションです。

さらに音楽では「アップル・ミュージック」「スポティファイ」「グーグル・プレイミュージック」など一定金額で聴き放題のサービス、映画などの動画では「フールー」「ネットフリックス」「アマゾン・プライムビデオ」など一定金額で見放題のサービス、電子書籍でも一定金額で読み放題の「アマゾンキンドル・アンリミテッド」、200種類以上の雑誌が読み放題の「楽天マガジン」などもあります。

★モノを提供する「サブスクリプション」

そんな中で最近、注目され始めたのが音楽や映画や書籍など情報を提供するのではなく、モノを定額料金で提供するサブスクリプションです。

例えば「メチャカリ」は毎月5800円(税別)を支払うと、およそ50種類のブランド3万点の衣服の中から一度に3種類を借りることができます。

しかも提供される衣服はすべて新品で返却には380円(税別)の手数料が必要ですが、洗濯などをして返す必要はなく、返却すれば同じ月に何度でも借りられるというサービスです。

極端な場合、月に4回借り換え12着を借りるとすると、5800円の月額料金と4回の返却手数料380×4=1520円の合計7320円に消費税を加えた7900円ほど、1着あたり660円で借りられることになり、どうしてビジネスとして成立するのか不思議に思われます。

秘密の第一は運営会社が製造小売業のため、かなりは自社製品を提供するので衣服の原価が安いこと、秘密の第二は返却された衣服を自社が運営する古着専門サイトとゾゾタウンの古着サイトで販売して資金を回収していることです。

★次々始まる「サブスクリプション」

その他、色々なサービスが始まっていて、以下、料金はすべて税別でご紹介しますが、衣服を借りたらアクセサリーも必要という人のためには、月額2500円で色々なアクセサリーを借りられる「スパークルボックス」、さらにブランドのバッグも月額6800円で借りられる「ラクサス」もあります。

これだけ身だしなみを整えると、格好いい自動車で移動したくなりますが、IDOM(いどむ:旧社名ガリバーインターナショナル)が提供する「ノレル」は、毎月の料金が5万9800円から4種類ありますが、およそ100種類の自動車から選んで借りることができます。

さらに食品分野にも登場し、月額8600円で3種類のラーメンのどれかを1日1杯食べられる「野郎ラーメン生活」、月額2980円で無濾過の日本酒が毎月届く「クランドクラブ」なども登場しています。

当然、インターネット利用が進んでいるアメリカにも数多くのサブスクリプションがあり、高級自動車キャディラックを月額15万円程度で借りられる「ブック(予約)・バイ・キャディラック」

アウトドアスポーツの撮影などで利用されている小型カメラ「ゴープロ」を月額600円で利用できる「ゴープロ・プラス」

月額約1000円で毎月、肌や髪の質に合わせた化粧品のサンプルが5種類送られてくる「バーチボックス」もあります。

★「持つ」から「使う」

一気に増加してきたサブスクリプションですが、どのような背景があるかを考えてみたいと思います。

まず商品を供給する立場からは、ネット通販が急速に発展し、従来の対面販売が不振になり、そのネット通販もアマゾンが一気に拡大してきた事への対抗手段として、顧客の囲い込みをするサブスクリプションを始めたことです。

商品を購入する立場からは「持つ」から「使う」へ意識が変化してきたことです。最近、自動車業界で「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」という言葉が流行していますが、自動車会社も自動車というモノを販売するのではなく、移動というサービスを提供する会社に変貌しなければ生き残れないと考えられているように、あらゆる商品について、巨大な変革が始まってきたということです。

1960年代に一世を風靡したカナダの学者マーシャル・マクルーハンが、IBMに対してコンピュータというモノを販売する会社ではなく、計算というサービスを提供する会社になるべきだと示唆して、IBMが世界を制覇する契機になったという逸話があります。

それから60年が経過した現在、あらゆる分野でモノからサービスへの転換が始まり、その代表としてサブスクリプションが躍進してきたのだと思います。

月尾嘉男の日本全国8時ですhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190124080130

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