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「宇多田ヒカルの新曲『Face My Fears』と一緒に聴きたいダンスミュージック特集」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「宇多田ヒカルの新曲『Face My Fears』と一緒に聴きたいダンスミュージック特集」

宇多田ヒカルの新曲『Face My Fears』と一緒に聴きたいダンスミュージック特集http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190125123629

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお送りします! 「宇多田ヒカルさんの新曲『Face My Fears』と一緒に聴きたいダンスミュージック特集」。先週金曜日、1月18日にリリースされた宇多田ヒカルさんのニューシングル「Face My Fears」。本日発売になった人気ゲームソフト『キングダムハーツIII』のテーマソングですね。今回はグラミー賞を受賞したこともあるアメリカのプロデューサー、スクリレックスとのコラボが話題を集めていますが、その影響もあるのかiTunesのチャートでは24の国と地域で1位を獲得しています。

【ジェーン・スー】
おー、すごい! 文字通りの世界進出ですね。

【高橋芳朗】
そうなんですよ。リリースの前後には海外の音楽メディアでも結構大きく取り上げられていましたが、その際に曲の音楽性を形容するフレーズとしてよく使われていたのが「フューチャーベース」です。今日はそのフューチャーベースというダンスミュージックについて簡単に紹介していきたいと思います。

【ジェーン・スー】
よろしくお願いします。

【高橋芳朗】

フューチャーベースはここ10年ぐらい主流になっているダンスミュージック、EDM(エレクトロニックダンスミュージック)のバリエーションとして2014年ごろから台頭してきました。この番組ではほとんどかかることがない、イマドキなダンスミュージックですね。

【ジェーン・スー】
パーティーピープルと呼ばれる人たち、いわゆる「パリピ」を紹介するときのBGMとしてかかる音楽ですね。あとはジムのランニングマシーンのあたりでよく流れてるイメージ。エクササイズに向いてるらしいですよ。

【高橋芳朗】
EDMというとどうしてもパリピ的なというか、イメージとしてウェイウェイ感がつきまといますよね。それでも、まさに宇多田さんがそうであるように最近はEDMなサウンドで内省を歌うアーティストが世界的に増えてきています。

フューチャーベースの特徴や魅力を言葉でわかりやすく説明するのはちょっと難しいんですけど、まずはざっくりとした曲の構成を覚えてもらえたらと思います。これはフューチャーベースに限らずEDM以降のダンスミュージックに特徴的な構成になりますが、まずはビルドアップ(築き上げる)。

【ジェーン・スー】
ビルドアップ。

【高橋芳朗】
そう。そしてビルドアップからのドロップ(落とす)。

【ジェーン・スー】

ドロップね。

【高橋芳朗】
曲は始まると、まずはサビに向けてじわじわとテンションを上げていきます。つまり、ビルドアップしていく。そして最高潮にまでテンションを高めたところで、ドロップ。ガクーンと落とす、転調するわけです。これはジェットコースターをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれないですね。最初はカンカンカンカンとゆっくりレールを上がっていって、ほどよいところまできたらスコーンと落っことすみたいな。このビルドアップからドロップに至る流れがフューチャーベースの気持ちよさですね。

そして、ドロップというのは言わばサビになります。でもサビなんだけど多くの場合歌らしい歌はなくて、シンセサイザーのリフだったりボーカルのコラージュや切り刻んだものがあてがわれるケースが大半です。

このへんを踏まえて宇多田さんの「Face My Fears」を聴いてもらいたいと思いますが、この曲の場合は1分あたりまでがビルドアップ。1分かけてじわじわと盛り上げていって、そこからドロップ/サビ。この流れを意識して聴いてみてください。

M1 Face My Fears / 宇多田ヒカル & Skrillex


【高橋芳朗】
フューチャーベースの構成を理解してもらうために立て続けにもう1曲。これは今回宇多田さんとコラボしたスクリレックスが同じくダンスミュージックのスーパープロデューサー、ディプロと組んだジャック・Uというプロジェクトの「To U」です。ゲストにアルーナジョージが参加しています。

この曲は女性ボーカルであることも含めて、いま聴いてもらった宇多田さんの「Face My Fears」と大まかなつくりが似ているんですね。なので、これでビルドアップからドロップに至る流れをほぼつかんでもらえるんじゃないかなと。だいたい48秒ぐらいまでがビルドアップ、そのあとがドロップ/サビという構成。「Face My Fears」同様、ドロップに歌は入っていません。1分ほど聴いてみてください。

M2 To U feat. AlunaGeorge / Jack U (Skrillex and Diplo)


【高橋芳朗】
いかがでしょうか? こうして続けて聴くとフューチャーベースの基本構成がよくわかると思うんですけど、ここ数年J-POPでもこのフューチャーベースの手法を取り入れるアーティストが増えているんですよ。基本的にサビに歌がないから、このスタイルを導入するのはなかなかチャレンジングなことではあるんですけどね。

そんななかでいち早く大々的にフューチャーベースを取り入れたのがPerfumeです。これから聴いてもらうのは2017年にリリースされたシングル「If you wanna」。昨年に出たアルバム『Future Pop』の収録曲ですね。

この曲に関しては、Perfumeの皆さんがフューチャーベースを取り入れたことを公言しています。これもビルドアップからドロップの流れを意識して聴いてほしいんですけど、だいたい50秒あたりまでがビルドアップ。ドロップ/サビにはかろうじて歌が入ってるんですけど、あくまでタイトルを連呼するレベルにとどまっています。従来のPerfumeのシングルに比べると圧倒的にシンプルなサビですね。

M3 If you wanna / Perfume


【高橋芳朗】
このPerfume、今年はアメリカ最大規模のフェスティバルコンサート、コーチェラへの出演が決定しています。

【ジェーン・スー】
ねえ!

【高橋芳朗】
このへんのフューチャーベースを取り入れた曲は向こうでも結構盛り上がるんじゃないでしょうか。

最後はフューチャーベースの応用編として、三浦大知さんの「飛行船」を聴いてもらいましょう。これは去年リリースされたアルバム『球体』の収録曲です。「飛行船」は6分近くある長い曲なんですが、前半部分はフューチャーベース的というか、フューチャーベースにインスパイアされたと思われる構成になっています。ビルドアップとドロップの構成で言うと、1分40秒あたりまでがビルドアップ。三浦さんの歌でじっくりテンションを高めていって、その後にドロップ。ドロップ部分は尺八のような音色の楽器とピアノで構成をされています。いままで聴いてもらった曲のようにドラムの連打などでわかりやすくビルドアップしてく構成ではないからわかりにくいところもあるかもしれませんが、三浦さんの歌の感情の流れを追っていけばこれもフューチャーベース的な構成を踏襲していることが聴き取れると思います。

M4 飛行船 / 三浦大知

球体(CD+DVD)(スマプラ対応)
【高橋芳朗】
この「飛行船」はちょっと前衛的なところすらある曲ですが、フューチャーベースやEDMをネクストレベルに押し上げる画期的な曲だと思います。

こうした流れでいくと、フューチャーベースの要素を取り入れたJ-POPはこれからさらに増えてくるのではないでしょうか。今回取り上げたフューチャーベースやEDMのようにダンスミュージックにはひとつのセオリーみたいなものがあるので。それを意識して聴いてみるとまた楽しみ方が変わってくるんじゃないかと思います。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

1/21(月)

(11:08) It’s The Falling in Love / Michael Jackson
(11:22) Biggest Part of Me / Ambrosia
(11:33) All Dressed Up With Nowhere to Go / Michael Franks
(12:15) That’s the Way Love Should Feel / Dee Dee Bridgewater
(12:23) Love Is Real / Al Jarreau
(12:52) Two In The Party / ハイ・ファイ・セット

1/22(火)

(11:05) My Ever Changing Moods / The Style Council
(11:24) When All’s Well / Everything But The Girl
(11:34) The Boy with the Thorn in His Side / The Smiths
(12:16) Still On Fire / Aztec Camera

1/23(水)

(11:05) Train In Vain / The Clash
(11:24) When All’s Well / Elvis Costello & The Attractions
(11:35) Kid〜愛しのキッズ〜 / The Pretenders
(12:14) Is She Really Going Out With Him? / Joe Jackson
(12:24) That’s Entertainment / The Jam
(12:50) You May Dream / シーナ&ザ・ロケッツ

1/24(木)

(11:03) Dance to the Music / Sly & The Family Stone
(11:35) People Got to Be Free / The Rascals
(12:13) Blowing Away / The 5th Dimension

1/25(金)

(11:03) A Night to Remember / Shalamar
(11:23) Let’s Celebrate / Skyy
(11:36) Keep On / D Train
(12:10) It Should Have Been You / Gwen Guthrie