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日本初【とろみ】付き自販機が本格設置へ!【とろみ】で誤嚥を防ぐ。

森本毅郎 スタンバイ!

街にはいろいろな自動販売機がありますが、今日は業界初という自販機の話題。それは、コーヒーなどの飲み物に【とろみ】を付けることができる自動販売機。飲み込む力(嚥下機能といいます)が弱くなってきた高齢の方向けに開発されました。去年11月にその第一号が都内の病院に設置されたというニュースがあったので、ご存知の方もいるかと思います。いよいよ2月からその設置が本格化しそうだというのでお話を伺いました。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!

1月29日(火)は、レポーターの近堂かおりが『日本初【とろみ】付き自販機が本格設置へ!【とろみ】で誤嚥を防ぐ。』をテーマに取材をしてきました!

★【とろみ】機能搭載の自動販売機!

とろみ機能を搭載した自販機を業界で初めて開発した 株式会社アペックスの開発室長・石原豊史さんのお話です。

石原豊史さん
「こちらはカップ式の自動販売機なんですが、まずお金を入れて、とろみがほしい方は【とろみボタン】というボタンを押します。そのあと、とろみの段階、とろみの粘度をチョイスすることができます。あとは普通の自動販売機のようにお客様が好きな商品を選ぶという形で、出るという仕組みです。いろいろな先生とお話していると、嚥下機能が衰えると食べるスピードが遅くなって、お友達と食べたり飲んだりということを避けてしまって、どんどん引きこもって悪循環する傾向があるということなんです。飲み物をスムーズに飲んで誤嚥しないというのはとても大事なことだという声は、多く聞きました。」

よくカップ式の自販機にはコーヒーに砂糖やクリームを加えるボタンがありますが、この自販機にはさらに【とろみボタン】がある。

これがとろみ機能付き自販機です。(株式会社アペックスのリリースより)


とろみの具合は【濃い】【中間】【薄い】の3つから選べる。コーヒーやお茶にとろみがついて出てくる、ということなのです。もちろん【とろみ】ボタンを押さなければ普通のコーヒーやお茶が出てきますが、飲む力が弱くなった高齢の方や嚥下障害の方はとろみがあったほうが飲みやすのんだそうです。

★飲み込みにくい食品の代表は【飲料】!?

おもちのようなものが飲み込みにくいというのは分かるのですが、コーヒーやお茶も飲みにくい? 私はそれが意外だったので、この自動販売機の【とろみ】の素を作っている会社に教えていただきました。ニュートリー株式会社の横山祥子さんのお話です。

横山祥子さん
「意外と知られていないんですけど、飲み込みにくい食品の代表が実は【飲料】なんです。例えばお水、お茶、コーヒーといったものが飲み込みにくい食品です。のどを流れるスピードが非常に速くて、高齢になるとごっくんと飲み込むことができなくなってきます。あと、まとまりにくいというのが飲みにくい理由です。その場合に、病院や介護施設などでは飲み込みをサポートする目的で【とろみ材】というものを使って飲み込みやすくするということがなされています」

水やお茶のように、あんまり早くのどを流れていくのも、飲みづらいのだそう。というのも、食べ物を飲み込むときは、気管の入口にあるフタが、ほんの一瞬(0コンマ数秒)閉じて食べ物が気管や肺に流れ込むのを防いでいるのですが、筋力が落ちてくるとこのフタが閉じるのが遅れてしまう。そういうときに飲料はすっと入ってきやすい。だから水のようにサラサラ流れるより、ある程度とろみがついているほうが誤嚥しにくくていい、ということなのです。

★外ではとろみ飲料はなかなか無いから

ですから、飲み込む力が低下した高齢者やそのご家族は、市販されているとろみ材を買って、持ち歩いているそうです。でも、それは結構、大変なことです。再びニュートリーの横山さんのお話です。

横山祥子さん
「嚥下機能が低下した方だと外出先にとろみ材を持参してとろみを付けて飲むということも、たくさんある全ての飲み物に対してとろみ材を使ってというのは大変なことだと思います。(とろみの付いた飲み物が現状ではあまりないということですか?)なかなかないと思います。種類も少ないし、とろみ飲料を販売しているところも外ではないのではないかと思います。」

とろみ材は通販などで市販されていますが、実店舗だと、どこのにもあるわけではない、という印象。私はきのう都内のドラッグストアの大きいお店をいくつか探しましたが、結構置いていませんでした。また、飲み物にとろみ材を入れることはほんの少しの手間のように思われますけど、市販のとろみ材によっては、飲み物の種類によって量を変えなければいけないものもあるし、メーカーによっても違うので神経を使う。実際に市販のとろみ材を買って、今朝も緑茶にとろみをつけてみましたが、ダマになってしまったりして、意外と手間のかかる作業でした。こうなると、『外では水分は摂るのはやめておこう』と思うこともあるでしょうし、外出する際の負担になる、というのも分かるな、と思いました。

見た目には、同じ緑茶に見えます!

これがとろみをつけた緑茶。

こちらがとろみ無し。ジャーっと落ちているのが分かりますか?

(こちらは市販のとろみ材を使いました。今回の自動販売機に使われているのは、ニュートリー株式会社のソフティアSというものです。)

★介護施設では、とろみ付けも大きな労働負担

そして実は、介護施設でも、とろみを付けることは大変なんだそうです。最初にお声を紹介した、とろみ自販機を開発したアペックスの石原さんのお話です。

石原豊史さん
「老人介護でいちばん時間がかかるのがご老人を持ち上げて介護すること。そして2番目が食事の介助だったんです。規模が大きな老人介護の場では、大きなやかんで沸かしてとろみをつけて、みなさんにお配りするまで何時間もかかる。場所によっては4時間とか、そういった大きな労働負担がかかっているというデータがあります。」

たくさんの人が入っている施設では、飲み物を出すことも大変な仕事なんですね。介護の現場はただでさえ人手不足で大変ですから、本当に大変。とろみ機能付き自販機は、こうした病院や介護施設の人手不足のサポートとしても期待されていて、大きな病院などから多くの問合せが寄せられているそうです。

★【とろみ】は公共機関の【手すり】のようになってほしい!

石原さんはこれからもっとこうしたサポートが求められるようになると話します。

石原豊史さん
「団塊の世代になると嚥下障害のある方の割合が高くなりますので決して特別なことではないので、病院施設だけでなく【とろみ】を付けて、公共機関の【手すり】のような考え方で、だれでも自由に今まで好きだったものが飲めるようなものを理想としています。」

ある病院の調査によると、65歳以上になると、要介護認定を受けている方の5割に嚥下機能の低下が見られ、また健常な方でも2割に見られるそう。だから【とろみ】はこれからもっと身近なものになりそうです。好きだった食べ物・飲み物が口にできなくなるというのは生活の張りにも影響しますから、高齢社会での誤嚥防止は結構、大事な課題ですね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。