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「追悼:フランス映画音楽の巨匠、ミシェル・ルグラン」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「追悼:フランス映画音楽の巨匠、ミシェル・ルグラン」

追悼:フランス映画音楽の巨匠、ミシェル・ルグランhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190201123227

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお送りいたします。「追悼:フランス映画音楽の巨匠、ミシェル・ルグラン」。映画『シェルブールの雨傘』などで知られるフランスの作曲家/ピアニストのミシェル・ルグランが26日にパリで亡くなりました。86歳でした。

ミシェル・ルグランは1950年代から映画音楽に取り組み始め、1964年にはカトリーヌ・ドヌーヴの出世作になった『シェルブールの雨傘』の主題歌が世界的に大ヒット。以降その活躍はハリウッドにも及び、映画『華麗なる賭け』の主題歌などでアカデミー賞を三度受賞しております。

このコーナーでも取り上げましたが、去年の11月にはフランシス・レイが亡くなっているんですよね。映画音楽を中心に活躍したフランスの偉大な作曲家が立て続けに天に召されてしまったという。しかも、フランシス・レイとミシェル・ルグランは同じ1932年生まれなんですよ。

【ジェーン・スー】
あー、そうなんだ!

【高橋芳朗】
そう。だからふたりとも享年86歳なんですね。本日はそんなミシェル・ルグランの追悼企画として、前半はミシェル・ルグランの影響を受けた日本のポップス、後半は僕のお気に入りのミシェル・ルグラン作品を紹介したいと思います。

まずは『シェルブールの雨傘』と並ぶミシェル・ルグランの代表作、1967年の映画『ロシュフォールの恋人たち』から「キャラバンの到着」を聴いてもらいましょう。

M1 Arrivee Des Camionneurs / Michel Legrand

ロシュフォールの恋人たち リマスター完全版

【ジェーン・スー】
ゴージャスだわねー。

【高橋芳朗】
ホント素敵よね。この『ロシュフォールの恋人たち』のサウンドトラックに代表されるミシェル・ルグラン作品のオマージュということでは、最近では日本でも大ヒットした映画『ラ・ラ・ランド』がすぐに思い浮かぶのではないかと。

【ジェーン・スー】
うん、完全にそうですね。

【高橋芳朗】
で、その『ラ・ラ・ランド』の全米公開の約半年前にはここ日本でもミシェル・ルグランからの影響をうかがわせる曲がつくられているんです。

【ジェーン・スー】
ほう。

【高橋芳朗】
それは生命保険のコマーシャルで女優の高畑充希さんが歌っていた「人生は夢だらけ」。覚えてます?

【ジェーン・スー】
あー、はいはいはい!

【高橋芳朗】
あの「人生は夢だらけ」は椎名林檎さんが作詞作曲を手がけた曲になるんですね。2017年には椎名さんがセルフカバーしているのでそちらを聴いていただきましょう。これ、おそらくミシェル・ルグランにインスパイアされたんじゃないかと思います。

M2 人生は夢だらけ / 椎名林檎

逆輸入 〜航空局〜
【高橋芳朗】
ミシェル・ルグランが日本の音楽に与えた影響ということでは、僕の世代でいくと1990年代初頭に渋谷系と呼ばれる音楽ムーブメントがありまして。

【ジェーン・スー】
こそばゆくなってきたぞ……お尻がかゆくなってきたぞ。

【高橋芳朗】
その真っ只中、クラブを中心に大流行したユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイションの「Loud Minority」という曲をご存知でしょうか? ちょっとかけてもらいましょう。

M3 Loud Minority / United Future Organization

Loud Minority
【ジェーン・スー】
ああーっ!

【高橋芳朗】
皆さん、聴いたことありますよね? テレビ番組のBGMだったり、いろんなところで使われていますので。

【ジェーン・スー】
下手したら私、これ『WAVE』で買ってるよ。

【高橋芳朗】
フフフフフ、六本木の『WAVE』ですか?

【ジェーン・スー】
そうそう。

【高橋芳朗】
これ、リリースは1992年だから時代感的にはまさにそんなところでしょうね。

【ジェーン・スー】
なるほどー。

【高橋芳朗】
この「Loud Minority」の肝ともいえる印象的なイントロ部分、実はミシェル・ルグラン作品からの引用になるんです。彼が1979年にリリースしたジャズアルバム『Le Jazz Grand』収録の「La Pasionaria」。ちょっとそちらと聴き比べてみましょうか。

M4 La Pasionaria / Michel Legrand

ジャズ・ルグラン
【ジェーン・スー】
かっこいい!

【高橋芳朗】
例のフレーズのあと、ちゃんとミシェル・ルグラン的展開も用意されてるというね。では、ここからは私のお気に入りのミシェル・ルグラン作品を聴いてもらいましょう。映画音楽から1曲、編曲/アレンジを手掛けた作品から1曲、計2曲紹介したいと思います。

まずは映画音楽編として、これもカトリーヌ・ドヌーヴ主演の1973年のフランス映画『モン・パリ』から「My Baby」を。ミシェル・ルグラン持ち前のエレガンスが発揮されているのはもちろんなんですけど、これはちょっとファンキーな小気味良さが魅力になっています。

M5 My Baby / Michel Legrand

Ultimate Free Soul Collection
【高橋芳朗】
最後はミシェル・ルグランが編曲を手がけた作品から、ジャズボーカリストのサラ・ヴォーンによる「Wave」。1973年のレコーディングですね。言わずと知れたアントニオ・カルロス・ジョビン作のブラジル音楽の名曲「Wave」のカバーになります。これはもうね、歌よし演奏よしアレンジよし、パーフェクトな一曲です。

M6 Wave / Sarah Vaughan and Michel Legrand

サラ・ヴォーン・ウィズ・ミシェル・ルグラン
【高橋芳朗】
素晴らしいでしょ?

【ジェーン・スー】
豊かな時間でしたね。

【高橋芳朗】
訃報ということではミシェル・ルグランの死去が報じられた3日後の29日、クインシー・ジョーンズに見出されてグラミー賞も受賞したアメリカのR&Bシンガー、ジェイムス・イングラムも亡くなっています。実は彼がパティ・オースティンとデュエットしたヒット曲、バート・レイノルズとゴールディ・ホーンが主演した映画『結婚しない族』の主題歌「How Do You Keep The Music Playing」はミシェル・ルグランが書いた曲なんですよ。

【ジェーン・スー】
あ、そうなんですか!

【高橋芳朗】
奇しくも同時期に他界してしまいましたが、このようにミシェル・ルグランが携わった曲はまだまだたくさんあります。もう聴いてるだけで優雅な気分になれるような、まさに生活が踊り出すような曲がいっぱいありますからね。ぜひこの機会にチェックしてみてください。