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「映画『ノーザン・ソウル』公開記念!ノーザンソウルで朝まで踊り明かそう!特集」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「映画『ノーザン・ソウル』公開記念!ノーザンソウルで朝まで踊り明かそう!特集」

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお送りします! 「映画『ノーザン・ソウル』公開記念〜ノーザン・ソウルで朝まで踊り明かそう!」。

まずは明日9日から公開される映画『ノーザン・ソウル』について簡単に紹介しますね。1960年代にイングランド北部の労働者階級の若者たちから生まれた音楽ムーブメント、ノーザン・ソウルの最盛期である70年代を舞台に描いた青春ドラマ。学校にも家庭にも居場所がなく、退屈な日々にうんざりしていた高校生のジョンは、ある日ノーザン・ソウルに魅了されてDJ活動を開始。誰も知らない最高のレコードを手に入れるため、アメリカに行くことを夢見るが……」というお話です。本国イギリスでは2014年に公開されている映画なんですけどね。

【ジェーン・スー】
はい。

【高橋芳朗】

この『ノーザン・ソウル』、一足お先に試写会で拝見させてもらいましたが、イギリスやアイルランドを舞台にした音楽青春映画の新しいスタンダードになるんじゃないかと思います。鬱屈を抱えた労働者階級の若者が音楽を通して活路を見出していく物語という点では『ザ・コミットメンツ』や『シング・ストリート』に通ずるところがありますね。また、イギリスのユースカルチャーを生々しく描いた映画というところでは『さらば青春の光』や『24アワー・パーティ・ピープル』などと並べて語ることができると思います。で、映画のタイトルになっているノーザンソウル」とはなんぞや?というところですよね。

【ジェーン・スー】
そうそう。ねえ。

【高橋芳朗】
冒頭でも触れましたが、ノーザンソウルは1960年代にイングランド北部の労働者階級の若者たちから生まれた音楽ムーブメントであり、彼らに好まれていたソウルミュージックを指します。

【ジェーン・スー】
ふーん!

【高橋芳朗】
この名称は当時ロンドンのレコード店の店主が名付けたものになります。イングランド北部からお店にやってくるお客さんが、ロンドンで流行しているものとはまったく異なる特定のサウンドのソウルミュージックを買い求めてきたことから彼らが好む音楽をノーザンソウルと呼ぶようになったそうです。

【ジェーン・スー】
へー! おもしろーい!

【高橋芳朗】
だからアメリカの南部で生まれたソウルミュージックをサザンソウルというけど、ノーザンソウルはアメリカの北部で生まれたソウルミュージックを指す言葉ではないということですね。

【ジェーン・スー】
イングランド北部の人たちが特異的に好む音楽?

【高橋芳朗】
まあ、そういうこと。ただ、このノーザンソウルのムーブメントで好まれていたソウルミュージックはアメリカの北部のデトロイトで生まれたモータウンの影響を受けたアップテンポなものが中心になっているんですよね。そのへんが非常にややこしい。

【ジェーン・スー】
ややこしい! ややこしやー!

【高橋芳朗】
フフフフフ、ややこしいよね。では、まずは映画『ノーザン・ソウル』のサウンドトラックから典型的なノーザンソウルサウンドを聴いてもらいましょう。こちらは1967年の作品です。

M1 Soul Time / Shirley Ellis

Soul Time (Single Version)

【高橋芳朗】
この映画『ノーザン・ソウル』のポスターやフライヤーにはキャッチコピーとして「誰も知らないレコードで、この町から抜け出すんだ」と書いてありますが、ノーザンソウルのDJはレア盤重視な傾向にあります。誰も持っていないレアなレコードを見つけ出して、そのレコードでクラブの客を熱狂させることが彼らのアイデンティティーであり美徳になってるんです。

【ジェーン・スー】
レアグルーヴって感じ?

【高橋芳朗】
そうですね。だからDJは自分だけのキラーチューンを持ってるんですよ。

【ジェーン・スー】
ああーっ!

【高橋芳朗】
しかも、そのレコードが誰の曲かわからないようにレコードのレーベルを剥がしたり隠したりするんです。

【ジェーン・スー】
ええーっ!

【高橋芳朗】
これ、ヒップホップ黎明期のDJがやっていたこととまったく同じですね。

【ジェーン・スー】
そうかそうか。「俺のDJを聴かない限りこの曲は聴けねえぞ」と。

【高橋芳朗】


まさにまさに。「この曲を聴きたければ俺のパーティーに来い!」ということですね。で、イギリスではそういう往年のノーザンソウルのDJたちがかけていたレアなレコードを集めたコンピレーションがたくさんリリースされているんですよ。僕もハタチぐらいのときにノーザンソウルにめちゃくちゃハマってそういう編集盤を買い漁っていたんですけど、次はその当時に出会った私的ノーザンソウルクラシックを聴いてもらいたいと思います。これは1968年の作品ですね。

M2 Since You Left / The Inticers

Northern Soul Golden Memories Vol.1: 28 Legendary Northern Soul Dancers
【高橋芳朗】
こういう曲がかかりまくるノーザンソウルのパーティーは週末にオールナイトで開催されるわけですが、労働者階級の若者たちが抱えた社会に対するフラストレーションをぶつける場として機能していたんですね。そういうノーザンソウルの反骨精神はのちのパンク世代のイギリスのミュージシャンに絶大な影響を及ぼすことになります。その代表的なアーティストが、モッズ番長ことポール・ウェラー。

【ジェーン・スー】
ああ、スタカンおじさんですね。

【高橋芳朗】
そう、スタカンおじさん。彼が率いていたザ・ジャムやスタイル・カウンシルはノーザンソウルのオマージュ的な曲をたくさん残しています。

【ジェーン・スー】
うんうん! 言われてみればそうだね!

【高橋芳朗】
ここではそんななかから、スタイル・カウンシルの「A Solid Bond in Your Heart」を聴いてもらいたいと思います。1983年の作品です。これはぐいぐい煽っていくアッパーな曲調も非常にノーザンソウル的なんですけど、ミュージックビデオがノーザンソウルのパーティーのトリビュートになっているんですよ。映画鑑賞後に見るといろいろと合点がいくと思います。

M3 A Solid Bond in Your Heart / The Style Council

【高橋芳朗】
ノーザンソウルのスピリットを継承するアーティストの作品をもう1曲紹介しますね。デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの「Seven Days Too Long」、1980年の作品です。デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズは1982年に全米1位になった「Come On Eileen」のヒットでおなじみですね。

この「Seven Days Too Long」を収録したデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズのデビューアルバムのタイトルは『Searching for the Young Soul Rebels』。「若き魂の反逆児を求めて」みたいな意味になるんですけど、まさに映画『ノーザン・ソウル』に登場するようなやり場のないフラストレーションを抱えた若者がそのままマイクをつかんで歌い出したような、そんな無骨な魅力がある曲です。

この「Seven Days Too Long」は実際にノーザンソウルのパーティーで人気があったチャック・ウッドというソウルシンガーの曲のカバーになります。

M4 Seven Days Too Long / Dexys Midnight Runners

Seven Days Too Long (2000 Remastered Version)
【高橋芳朗】
というわけで、ノーザンソウルとその精神を受け継ぐアーティストを紹介しました。映画『ノーザン・ソウル』は明日9日より公開、東京では新宿シネマカリテとアップリンク吉祥寺の2館のみと公開規模は小さいんですけど、順次全国で公開されていくようなので詳しくは公式ホームページをチェックしてみてください!

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

2/4(月)

(11:07) Ventura Highway / America
(12:35) Learn How to Fall / Paul Simon
(12:16) One Man Parade / James Taylor
(12:51) 風来坊 / はっぴいえんど

2/5(火)

(11:03) I’ll Be Around / The Spinners
(11:24) You Ought to Be With Me / Al Green
(11:35) Keep Gettin’ It On / Marvin Gaye
(12:11) Since I Found My Baby / Cornelius Brothers & Sister Rose
(12:51) 少しだけ片想い / 荒井由実

2/6(水)

(11:03) I’ll Be AroundSubstitute〜恋のピンチ・ヒッター〜 / The Who
(11:21) She’s Got Everything / The Kinks
(11:36) Have You Ever Loved Somebody / The Searchers
(12:13) Colour Blue / Peter & Gordon
(12:24) I Can’t Let You Go / The Hollies
(12:50) You’ve Got Your Troubles / Chad & Jeremy

2/7(木)

(11:02) A Message to You Rudy / The Specials
(11:23) Lip Up Fatty / Bad Manners
(11:38) Carry Go Bring Home / The Selecter
(12:10) Hands Off…She’s Mine / The Beat
(12:21) Easy Life / The Bodysnatchers
(12:50) Human Touch / Elvis Costello & The Attractions

2/8(金)

(11:03) Let’s Go Round Again / Average White Band
(11:21) Time / Light of the World
(11:34) Love Can’t Come / The Invisible Man’s Band
(12:15) Candidate for Love (Single Version) / T.S. Monk