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井伏鱒二「山椒魚」のなぞ

檀れい 今日の1ページ

女優の檀れいが毎回、その日にまつわる話題や風物詩などを交えてお届けする「檀れい 今日の1ページ」

2月15日は、作家・井伏鱒二の誕生日。
井伏は、1898年・明治31年の2月15日、広島県で生まれました。本名も「井伏滿壽二(ますじ)」ですが、ペンネームとは漢字が違います。釣りが大好きだったことから、このペンネームにしたそうです。

さて、井伏の代表作といえば「山椒魚」。
読んだことがある方も多いのではないでしょうか。プロの仕事をご紹介する「金曜日」ということで、この「山椒魚」に注目しながら井伏の仕事を振り返りました。

井伏が、山椒魚をいう魚に出会ったのは、中学校時代。
学校の庭に池があって、そこに二匹の山椒魚がいました。
これが、後の代表作へと結びついたといいます。
文学好きのお兄さんの影響で、十代の頃から同人誌に投稿をしていましたが、本格的なデビューは、25歳のとき。「幽閉」という作品を同人誌に発表しました。この「幽閉」に手を加え、6年後に発表した作品があります、それが、「山椒魚」。基本的な設定はほぼ共通していますが、文体が大きく変わり、デビュー作にはない文章も加わっているそうです。さて、ここで、「山椒魚」のあらすじを簡単にご紹介しておきましょう。

主人公は、岩屋をねぐらにしていた山椒魚。
ここで長く暮らしているうちに、身体が大きくなり、
出入り口に頭がつっかえて外に出られなくなってしまいます。
狭いねぐらで、孤独を感じ、悲しみに暮れる山椒魚。
するとそこに、一匹のカエルが飛びこんできます。
山椒魚は、出入り口をふさいでカエルを閉じ込め、
二匹は、反目しながら、暗い穴倉で同居をするようになります。
最初のうちは激しく口論をする二匹でしたが、
月日が経ち、すっかり弱ったカエルが、山椒魚にこう言います。
「別にお前のことを、怒ってはいないんだ」。
こうして、二匹は静かに和解したのでした。

でも、井伏は、昭和六十年刊行の『自選全集』に、この作品を収めるにあたって、最後の和解の部分を削除してしまいます。作者本人がしたことですから、問題はないはずでしたが、この作品を長く愛していたファンのなかには、大きなショックを受けた人も多かったそうです。作品は作者のものであると同時に、読者のものでもあるかもしれない…「山椒魚」は、そんな論争を起こしたのでした。

和解したほうがよかったのか、しないほうがよかったのか、皆さんも改めて、井伏鱒二の「山椒魚」を読んでみてはいかがでしょうか。

番組では皆さんからのおたよりをお待ちしております。
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TBSラジオ「檀れい 今日の1ページ」月~金曜日 朝6時20分頃~放送中です。

ラジオは、AM954kHz、FM90.5MHz。
パソコンやスマートフォンでは「radiko」でもお聴きいただけます。