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改めて注目される3大血液がん。最新治療も相次ぐ。

森本毅郎 スタンバイ!

競泳の池江璃花子選手が白血病と告白して、血液のがんに注目が集まっています。白血病に加え「悪性リンパ腫」と「多発性骨髄腫」が「3大血液がん」と呼ばれています。この3大血液がんの治療は、昔は治療法がなかなかない難病でしたが、この20年で次々新しい薬が登場するなど、選択肢が増え、生存率も上がってきています。

そこで、2月18日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、この3大血液がんの治療方法などについて取り上げました。

★血液のがんとは?

血液は、骨の中の骨髄にある血を作る「造血細胞」からつくられています。その細胞が分かれて、赤血球や白血球、血小板といった血液細胞をつくりだしています。血液のがんは、そうした血液細胞が分かれる過程で、血液ががん化する病気です。血液のがんのなかで、とくに患者さんが多いのが、先ほど申し上げた3大血液がん、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の3つです。

白血病は、白血球がつくられる過程で血液ががんになります。年間およそ1万2千人が罹患しています。

悪性リンパ腫は、白血球の中のリンパ球がつくられる過程で血液ががんになるもので、年間およそ2万4千人が罹患していて、血液のがんでは一番多い病気です。

多発性骨髄腫は、骨髄の中で抗体を作る細胞ががん化する病気で、年間5千人が罹患します。

★どのような症状が起こるのか?

血液のがんに共通する主な症状は、貧血、出血、発熱、動悸、倦怠感などがあります。ただ、がんの種類によっては、特徴的な症状もあります。

白血病になると、白血球ができる過程でがん化した血液細胞が増えるので、異常な白血球が増える一方、正常な赤血球、白血球、血小板などが減少します。このため、血液検査で白血球が過剰なことから白血病が見つかることも多くあります。

悪性リンパ腫は、リンパ節の腫れやシコリで気付くことが最も多いです。特に多いのは、首や脇の下、太ももの付け根です。痛みはほとんどのケースでありません。

多発性骨髄腫は、異常タンパクが出て骨が溶けるため、骨に激しい痛みが出ます。また、進行すると骨折しやすくなるという特徴があります。血液のがんは、早期発見が大切なので、早めの検査が求められます。

★検査は?

血液がんが疑われるときには、まず血液検査が行われ、その後、骨髄検査が行われます。骨髄検査は腰などに針を刺して、骨髄の血液である骨髄液を取って調べる検査です。そして、それぞれの診断に必要な検査をして、病気を確定し、それぞれの治療に移っていきます。

まず白血病は、骨髄性かリンパ性か、また急性か慢性か、という4つに分けられます。

ここまではテレビなどでも解説されていますが、実は白血病はそんなに簡単ではありません。4種類と言っても、実際には、原因となる遺伝子や染色体により、細かく種類が分かれます。例えば、急性骨髄性白血病は8つ、急性リンパ性白血病は3つの型があるとされるなど、細かく分かれ、それぞれ治療が違います。簡単に他の患者と比較できるものではありません。

★治療法は?

ただ、それぞれの血液のがんに、次々と新しい治療法が出てきています。

血液のがんの治療の基本は、薬物療法と、骨髄移植などの「造血管細胞移植」になります。まずは「抗がん剤」や、がんを成長させる分子だけを狙い撃つ「分子標的薬」でがん細胞を減らします。その後、場合によっては、骨髄移植を行います。急性骨髄性白血病では、抗がん剤を7日間使い、がん細胞を減少させ、その後、およそ4週間、自然に白血球が増えてくるのを待ちます。そして、がん細胞をさらに減らすため、抗がん剤や分子標的薬を続けます。そして、がん細胞が検出されないレベルになるのが寛解です。

ただ、再発の恐れがある場合は骨髄移植が選択肢となります。この場合、自分の白血球の血液型とあった骨髄が見つかるかどうか、親族、骨髄バンク、臍帯血バンクの順で探し、移植を行う、という手順になります。

★進化した治療法とは?

治療が進化しているのは、薬物療法の「分子標的薬」です。がん細胞だけを狙い撃つイメージなので、体全体に作用してしまう抗がん剤より負担が少ない。この分野の薬が次々出ていて、例えば、急性リンパ性白血病向けの分子標的薬では「イノツズマブオゾガマイシン」という薬が、去年、国内で販売承認を得ました。また、慢性骨髄性白血病では、2001年「イマニチブ」が出て5年生存率が89%に向上。その後も、2009年、第二世代が登場、さらに2016年、これまでの薬が効かなかった患者さんに使える第三世代の分子標的薬が出ました。

★悪性リンパ腫の治療法とは?

悪性リンパ腫も、いろいろな型があり治療も様々ですが、共通するのは、まずは薬物療法です。もっとも一般的な型の悪性リンパ腫では、5つの薬剤を組み合わせてがん細胞を減らします。これに加えて放射線療法が行われ、その後、痛んだ骨髄を再生するように骨髄移植を行います。と言っても、白血病と違って、これは事前に自分の骨髄を取っておいて、それを戻す形です。これによって、一般的な悪性リンパ腫では、8割でがん細胞が消え、6割が完治と言われます。一方、比較的少ないタイプの悪性リンパ腫についても、近年、分子標的薬が進化しています。2014年と、2016年、次々と、日本で新薬が承認され、効果が高いと注目されています。

★多発性骨髄腫の治療法は?

多発性骨髄腫の治療ですが、残念ながら現段階では多くは再発が避けられません。ただ、病気の進行は遅く、症状を抑えることはできています。こちらで特徴的なのは、体の免疫力を活かした「免疫療法」の準備も進んでいることです。遺伝子を操作して、がんへの攻撃力を高めるというもので、スイスのノバルティスが開発した薬について、日本でも製造販売承認が申請されています。これが始まれば、多発性骨髄腫も、新しい段階に入るでしょう。

血液のがんは、まずは薬物療法です。その薬、特に、がんを狙い撃つタイプの薬が、毎年のように進化しているというのは、患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190218080130

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