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おすすめラジオクラウド ダースレイダー「眼帯をすることで見えてくるもの」

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こんにちは。文字起こし職人のみやーんです。僕が選んだラジオクラウドのおすすめコンテンツを紹介するコーナーの第41回目。
今回は『荒川強啓デイ・キャッチ!』の中からゲストコメンテーターのダースレイダーさんによる「眼帯をすることで見えてくるもの」です。

宮台真司さんがお休みのためにピンチヒッターでコメンテーターとして登場したラッパーのダースレイダーさん。脳梗塞のために左目の視野を失ったダースレイダーさんが眼帯をすることで逆に見えてきたものについて話していました。


荒川強啓:ヒップホップミュージシャンのダースレイダーさんのデイ・キャッチャーズ・ボイス。今日のテーマはこちら。

片桐千晶:眼帯をすることで見えてくるもの。

荒川強啓:2010年に脳梗塞で倒れ、合併症で左目の視力を失ったダースレイダーさん。その左目につける眼帯はいまや、ダースさんのトレードマークになっておりますが。さて、眼帯をすることによって何がどう変わって見えてきたんですか?

ダースレイダー:はい。元々、その左目がちょっと見えないぞっていうのは「視野欠損」と言って。視力の視界の真ん中が真っ白になっちゃって。これはまあ、視神経の破損によってそうなっているんですけども。どうしても視神経ってかなりの数があって、そのどこの調子が悪くてそこの視野が欠損してるのか?っていうのは現状の医学だとなかなかわからないという。

なので、その左目の視力に関してはなかなか改善しないっていう風に言われていて。で、両目を開いている状態だとその真っ白な部分が両目の視界に混じってきてしまって、全体の視界が曇ってしまうから、逆に左目を隠しちゃった方が視界がはっきりするという。僕の症状の場合はそうなんですけども。で、じゃあ隠すのにどうすればいいんだろう?って思って「眼帯をつければいいのか」って思って探したら、まあ包帯みたいな眼帯だったり、ゴスロリファッションの眼帯だったり。あるいはカリブの海賊のコスプレみたいな、おもちゃ眼帯みたいなのはあるんですけども。

ちょっと日常品として身につける眼帯というものはあまりないなって思って。で、友達で服を作っている女の子に「余っている生地とかがあったら、それで眼帯を作ってくれない?」っていう風に頼んで、オリジナルの眼帯を作ってもらっていたんです。それを普段から着用するようにしていて。で、そうしていると実は目が不自由な人。実は左目が見えない、右目が見えないっていう人が結構世の中にはいるけど、そういう人たちが装着するアイテムがそもそもあまりないっていうことが分かった。

それと、実際に自分も左目が見えなくなってみてわかったのは、ものを掴む時のバランスだったり、歩く時にたとえばのラーメン屋さんの看板とかが左側のちょっと低いところにあると完全に視界から消えちゃっていて。それで膝がガン!ってぶつかっちゃったりとかして。

荒川強啓:遠近感がなかなか難しいですもんね。

ダースレイダー:そうですね。慣れると結構人間の脳ってすごいもんで調節してくれて。気付けば結構、その生活は割と自分のリズムででできるようになるんですけども。最初のうちは結構戸惑うことが多く。で、実はその1年後に僕、右目の方も出血があって。両目が見えなくなっちゃっていた時期が3週間ぐらいあったんですよ。で、その時は本当にその両目が見えない状態で生活をしなければいけなくて。で、家から一歩出て、コンビニに行こうと思って。コンビニまでの道を覚えてるだろうなと思ったんですが、家から一歩出たらもう車の音が大きすぎて、怖くて歩けない。

もう一歩も動けなくて。「ああ、そうか。全盲で普段生活している方ってこういう世界を体験してるんだな」っていうことがその時にわかったんですね。で、僕が提案したいのは、障害を持ってる人っていうのは先天的だったり後天的だったり……僕の場合は後天的だったんですけども。まあいろんな条件で、その自分の見える世界、感じる世界っていうのが変わってしまうってことがあると思うんですけども。

でも、それを体験すること自体を僕はあまりマイナスとして考えていなくて。僕はその両目が見えなくなった時のその世界を体験したことによって、すごく学びがあったなと思っているんですよ。家の構造とかを手触りで階段を登ったりとか。音楽を聞く時も、僕はiTunesでデータで聞いていたんですけど、目が見えないとデータを選べないから。そうすると、アナログレコードとかをレコードプレーヤーに乗せて、針を落として再生ボタンを押すと聞けるんですけども。でも、それをパソコンで操作するっていうのは……まあ、いまはスマートスピーカーとかで少しできるようになってきたんですけども。かなり苦労をした。

「ああ、なるほど。こういう風にして音楽に触れなければいけないんだな」っていう学びがあったんですね。で、僕はこれをそういった状況になったら強制的にそういう世界を体験することになるんですけども、やはりいろんな人に「こういった世界があって、そういういろんな世界を持っている人たちが一緒に生活している」っていうイメージを持ってほしいなと思っていて。僕は左目が見えなくなってからは歩くスピードも遅くなって。やっぱりぶつかったりするから。そうすると、新宿駅とかを歩いていると、すごいみんなの歩くスピードが早いんですよ。

荒川強啓:うんうん。

片桐千晶:早いですね。

ダースレイダー:で、それについて行けないなって思ってちょっと脇にそれたら、実はそのスピードについていけない人たちが端っこの方をゆっくり歩いてたりすることに気づくんですよね。でも、真ん中をすごいスピードで歩いている人たちにはそれが見えていない。だから僕は脇にずれたことによってそれが見えることになって。そうした、僕は「視座の交代」って言っているんですけども。眼帯をすることによって、まあ実際の物理的な視野は減ったけども、それによってその「片方の目しか見えない」っていう視野を手に入れることができて。

で、それは実は学びに繋がるんじゃないかなと思っています。で、僕が派手な眼帯をしている理由もひとつあって。いろんな障害を持っている人たち……病気をしていたり、ケガをしていることを「申し訳ない、悪いことだ」と思っている人たちに対して、「いや、それは別に自分の世界観がひとつ増えたっていうことなんだ。それはプラスのことで、明るいことなんだよ」っていう風な気持ちを持ってほしいと思っていて。

で、たとえば車椅子に乗らなきゃいけない人っていうのは車椅子の高さで世界を見ることできる。車椅子に乗ったスピード感で世界を体感することができる。そしてそれを押す人は自分が歩いてるだけじゃなくて、人をどこかに運ぶという体験をすることで学ぶことができる。だから両目が見える人が眼帯をすることによって「ああ、片方の視野がないということはこういう風な世界なんだ」っていうのことが体験できるんじゃないかなと。

そういうことで、僕は実は眼帯のプランドっていうのを立ち上げようと思っていて。「OGK」って言って、僕は自分のことを「片目のダースの叔父貴」って言っていて。「叔父貴(おじき)」っていうのを頭文字を取って「OGK」。「オリジナル・眼帯・キング」っていうタイトルなんですけども(笑)。

これ、月曜日から「 https://ogkogk.com/ 」っていうサイトで買えるようになるんですけども。これも、そういったその「世界観を広げる」っていう体験をいろいろとしてほしいのと、同時に実際に何か障害を持っている人はそれをプラスに転化する。むしろこれで自分は輝けるとかね、ファッションを日常的に楽しむ。眼帯っていうのは英語だと「アイパッチ(Eye Patch)」なんですけども。「がんたい」で「タイ」なので。まあネクタイの一種として。眼帯っていう言葉自体を少し広めたいなと思ってるのと、あとは「ガン(Gun・銃)」を「タイ(Tie)」で結ぶっていうのはピース・平和だっていう語呂合わせもできるので(笑)。

荒川強啓:ああーっ!

ダースレイダー:そういった風に広げていけたらなと思っています。結構、子供とかに会う時も「なんで眼帯してんのー?」とか「眼帯のおじさん!」みたいなことを言われることが多くて。で、まあ最初に僕が左目が見えなくなった時に「ああ、これで自分の人生はマイナスになった」とか「幅が狭くなってしまった」って感じたんですけども。いま、逆に子供たちにそうやって声をかけられたりすることで、むしろプラスになってることが多くて。

だからマイナスだと思っていることをどう、プラスに転用するか?っていう発想は実は松葉杖なんかをカラフルにしてみるとか。そういった発想にもつながると思うので。ぜひ、自分がこれはマイナスなんだって思い込んでいることをクルッとひっくり返すきっかけとして僕の眼帯ブランドとかも考えてもらえたらなと思っています。

片桐千晶:さっきダースレイダーさんがおっしゃった「視座の交代」……。

ダースレイダー:だから僕、結構派手な眼帯を今日、結構持ってきているんですけども。

片桐千晶:本当ですね!

ダースレイダー:こういうのを身につけると、なんかそれもファッション感覚でも使えるし。

片桐千晶:すごい。ヒョウ柄とか猫柄とか……。カラフルですねー!

ダースレイダー:でも実はその視座の交代っていうのも相手の気持ちに立って考えるっていうことを僕は眼帯を身につけるということによって得られると思うし。だからぜひ、車椅子だったり松葉杖も体験して、そしてその経験というもので自分の世界が広がって。そして「いろんな世界を見ている人たちが同時にいる世界が折り重なっている」というイメージでいまの世の中をもう1回見直すということをするきっかけにしていければなと。

荒川強啓:我々はもうなんでも見えていて、なんでも理解しているつもりで。ところが、見えてないものもあったりするのかもしれないね。

ダースレイダー:この社会自体が非常に視力の情報に頼って社会設計をされているということにも気づくと思うんですよ。「ああ、見えないことによってこんなにいろんなことが変わってしまうんだ」って。でも、それはあくまでもいまはそういった設計をされた社会に住んでいるっていうだけで、他の社会になった時には逆にその目が見えない状態でなにかをしなくちゃいけなくなった時にはそういった経験が活きてくると思うので。ぜひ、そういった視座を手に入れるためにもね、眼帯を身につけてみたらいいかなと思います!

荒川強啓:「眼帯をすることで見えてくるもの」と題してダースレイダーさんにお話を頂戴しました。デイ・キャッチャーズ・ボイスでした。


両目が見えることが当然の日常生活では気づかなかったものが見えてくるというダースさんの言葉、非常にハッとさせられますね。「見えないことによって見えてくる」という視座の交代、面白いですね。ダースさんの眼帯を付けた荒川強啓さんと片桐千晶さんもかっこいい! 僕もひとつ、通販で買ってみようと思います。詳しくはラジオクラウド音源をどうぞ!

荒川強啓デイ・キャッチ!「眼帯をすることで見えてくるもの」

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