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デザインはハッピー産業です! 喜多俊之さん

コシノジュンコ MASACA

2019年2月24日(日)放送

喜多俊之さん(part 1)
プロダクトデザイナー。1942年、大阪生まれ。1967年に喜多デザイン事務所を設立。環境及び工業デザイナーとして、イタリア日本でのデザイン活動をはじめ、家具・家電・ロボット・家電日用品などのデザインで、数多くの製品を世に送り出しています。2017年にイタリア共和国功労勲章コンメンダトーレを受賞。

JK:今日は大阪からいらしたの? それともミラノから?

喜多:昨日ミラノで、今日大阪。

JK:まぁ、似たようなもんですね(笑)コンメンダトーレの受賞は去年でしたよね。私も行ったパーティではすごい人たちが集まってね。日本の中のインテリア、建築家の人たちが全員集まって、喜多さんのすごさがわかりました!

喜多:いやぁ、ありがとうございます。

出水:喜多さんの代表作といえば、1980年に発表されたカッシーナのWINKチェア。

JK:イタリアっていえば喜多さんなのよ! なんでそんなすごいことができたの?

喜多:いや、カッシーナさんに10年前にお会いした時に、10年ぐらいしたら一緒に仕事しようねっていわれてて。冗談だと思ったら、ちょうど10年目に出たのがWINKだったんですよ。当時日本はイタリアブームで、それで僕は日本から来ましたから、彼らは日本から来たものを待ってたみたいなんです。

JK:まぁ、第1号ですね!

喜多:イタリアのデザインじゃなくて、日本のデザイン、だけど和風じゃないんです。僕は子供のころから椅子のある暮らしをしていませんでしたから、正座とかお座布団とかね。だから新鮮だったんです。それで、椅子だったら関節が動いたら面白いかなと思って。

JK:人間のからだみたいに、人間の体に合わせて?

喜多:そう、ヘッドレストが動いたりね。それで試作ができて、いよいよ発表になったんです。ミラノの中心地にショウルームがあって、そこでサロンの時に出品したんですが、僕は後ろのほうで隠れてたんです。そしたらどんどん人が集まってきてくれて……結局その年のヒット商品になったんです。

JK:私みました。何年か忘れたけど、ずいぶん昔。カッシーナのウィンドウを見てたら、なんか派手な椅子があって。ウィンドウ越しだから、それが喜多さんとは知らなかったの! まぁエラい人がいるわねって。椅子っていうかお座布団っていうか、人間がカラフルに動いてるって感じだったわよ。

喜多:そう。それで結局、洋服を着るようにして、カバーを変えられるようにして、洗濯もできるようにしたんです。そういういままでイタリアになかったアイデアを展したら、採用してくれることになって。

JK:着せ替え人形ね(^^)

出水:日本の皆さんがよく知っている製品といえば、SHARPのAQUOSですよね。

JK:もう残念なのよ私! これ自慢だったのよ、喜多さんのデザインだって。インテリアデザインとしてもカッコよかったのに、デジタルになったら使えなくなっちゃった(T.T)

喜多:そうなんですよ(^^;)椅子はずっと続けられるんですけど、テクノロジーは変わったとたんに、さらに作らなきゃいけない。

JK:ガワは残して、中身だけ変えてくれればいいのに。

喜多:本当はね。日本はそういうことをやらなかったんです。AQUOSの亀山モデルは10年間ずっと私がやりましたけどね。

出水:でもTVってどちらかというと無機質で、景観をじゃまするな、という感じですが、このAQUOSにはどんな思いを込めてデザインしたんですか?

喜多:以前はしかくいブラウン管で、ガラスの塊だった。それを小さなカバンのようにしました。取っ手をつけて、掃除もしやすいし、持ち運びもできる。今までになかった視点でやったんです。

JK:なんとなくロボット感覚ですよね。それからロボット作ったんでしょ?

喜多:そうですね。それからロボットも作りました。デザインっていうのは、僕としては日常の道具ですからね。親しみがないとと思いまして。だから常に「お友達」にしたんです(^^)

JK:私のお友達が使ってた、喜多さんのお茶室。木枠?アルミ?

喜多:あれは漆なんです。中は木。

JK:ただの線だけなんだけど、空間デザインですよね。茶室といっても部屋になっているわけではなくて、木の枠で囲ってあるだけなんですよ。

喜多:あれはね、ちょうど一軒立法といって、1m80cmの真四角で畳2枚分なんですよ。そこへ入ると、なにか気が落ち着くんですよ。空気を仕切ってるだけ。いわゆる鳥居と一緒なんです。

JK:仕切りって、暗黙の了解で、日本の美ですよ。感性。だから、何もないのにおせんすを置くだけでも違うじゃないですか。線だけで空気がしきりになっちゃう。

喜多:まさにその感覚です。最初に漆にしたのは、漆の産業が日本で衰退して、輪島のほうで何かしたいと言われて、じゃあ心の世界のものにしたらどうだろうと思ってこれを提案したんです。漆を心の世界のものにしたら、もっと産業史に残るんじゃないかと思ってね。

JK:漆のことを海外ではjapanっていうんですよ。

喜多:ミュージアムの人はそういいますね。イタリアではLacca Chinese=中国の塗料っていうんです。だから今度は僕もLacca Japoneって言いますね(笑)

出水:1969年よりイタリアと日本で活動していますが、世界と日本でデザインに関する考え方で違いはありますか?

喜多:そうですね、デザインという言葉が少し違うんです。イタリアではdesegnoといって、中国は設計といってデザインという。でも「設計」という言葉に、美的感覚と人への思いやりみたいなものを織り交ぜたのが、いま世界でいう「デザイン」だと思います。

JK:じゃあ日本語で「デザイン」っていうのは何でしょう? 「設計」じゃないよね?

喜多:それがね、ないんですよ。

JK:私はクリエイティヴなことだと思うんです。設計っていうと、建築的な感じがするの。でもデザインって言うと、ものすごく広いから。ファッションも含めてすべてデザイン。だからデザインの力って大きいんですよ。デザインを変えるとガラっと変わる。生活空間すべて変わるんですもの。

喜多:だから、デザインの定義が日本ではいままで「外観」と「色」ぐらい。だけど世界では、もっと総合的なんですよ。テクノロジーから自然から、材料からコストから……全部入ってるんです。

JK:私、デザインって人が心地よく住むための近代化、合理化だと思うんです。デザインによって時代ががらっと変わる。

喜多:そうですね。デザインって夢とか希望とか、自然とか未来とか、欲張りなくらいいっぱい入ってると思う。

JK:永遠なんですよ。美しいデザインっていうのは、ある意味オリジナリティがあれば、永遠なものだと思います。時代を超えてね。喜多さんのAQUOSだってそういうことなの。機能は別として、テクノロジーは変わっていくから仕方ないけど、いいものはずっと美術館に残ってるでしょう。MOMAとかポンピドゥーとか。

喜多:僕はデザインとしてもうひとつ、ハッピー産業でもあると思うんです。幸せを生んでくれる。ですから、使う人が幸せ。それが欲しいから買わなきゃいけない、そうすると企業も幸せなんです。日本も、都道府県全部がデザインというのを日本の特色にすれば、日本の経済ももっと発展しますよね。

出水:ちょっとそのあたりがまだ足りない?

喜多:これから。

JK:大きく実験するチャンスっていうのが万博なんですよね。

喜多:そうしたいですよね。

JK:「命輝く未来のデザイン」でしょう。役目ですよ、デザインの。

喜多:日本はデザインを活性化すれば、もっと素敵な生活が育まれるでしょう。そして産業が発展するんです。経済効果。そして世界へ発信すると、日本も世界の中で大切な国になるんです。

JK:経済大国っていっても、お金のことじゃなくて、感性の大国にならなくちゃ。東京も大阪もまだまだぐちゃぐちゃ。もっと整理しなきゃ。

喜多:みんなが仲良く素敵に暮らしたら、勝手にデザインって生まれるんです。そうじゃないと、デザインって生まれにくいんです。

JK:戦後の日本の住宅はちっちゃいウサギ小屋って言われたけど、あのままの住宅ってまだあるんですよね。

喜多:衣食住っていいますけど、僕は住食衣でいいんじゃないかと思うんですよ。衣はもうできてるから。でも住はもう一度上にあげないと。住がだめだと全部だめなんです。

JK:豊かって何かっていったら、その人の自宅ですよね。外国の人って、ちっちゃい家でもよんでくれるでしょ。でも、日本では誰もよんでくれない(^^;)

喜多:向こうの人は、家って何かというと、人生の舞台なんです。その舞台を素敵にするということが社会の役割なんです。ですから、イタリアでもドイツでも、いまは中国でも、暮らしが第一なんです。中国の人は家をものすごく素敵にして、舞台にし始めているから、内需がものすごく拡大している。家具も、食器も、すごい勢いで高級化していっている。

出水:すごく次元の低い話になって申し訳ないんですが、私も含め日本人って、自分の見る目に自信がないからどうやってスタイリッシュにしよう、デザインを取り入れようってわからない方も多いと思うんです。

JK:思い切って、自分の家に人を招待するのよ。そうすると頑張るのよ! いらないものはサッサとやめて、だんだんと自分のコンセプトができていくのよ。

出水:ああ、そうか!

喜多:これが次の日本が世界に向かって発信するべきことです。人が家にくる。そして家を舞台にして、自分が気に入ったもので舞台を作れば、経済なんてすごい勢いで発展する。そこで夢ができるし、会話ができるし、おいしいものを一緒に食べられて。耐震構造がすごいから、70平米ぐらいのアパートもわりにローコストで改装することができるんです。僕もそのプロジェクトをもう10年ぐらいやってるんです。やっと最近、いいねって言ってくれる人が増えてきたんですよ。

出水:そ、それはどう変わるんですか??

喜多:アパート、マンションを全部さらうんです。仕切りが取れるものは取って、そこを大きな部屋にしたり。予算の範囲でね。そして、そこを人生の舞台に変えてしまう。6~700万円で全部できちゃいます。

喜多:僕もミラノのアパートがあってね、やはり簡単にリノベーション。その時は、僕が行ったときにサロンになるんです。これが家の原型。だから日本も、戦後で出遅れたけど、いよいよ今から、住環境のブームが来ると思う。来なかったら日本はつぶれます。一生懸命僕もチョロチョロそういう火を15年も燃やしながらやってるんです。

JK:そこに注目して、ものを増やすより、整理して引き算して、人を受け入れる環境を作るっていうね。私だって、四畳半ぐらいの家の時から、人がわあわあ来てたわよ。大きさじゃないのよ。パリでもよく招待されるんだけど、ものすごくちっちゃくても招待してくれる。それなりに味があっていいの。それでいいのよ。たくさん招待されないだけで(笑)でも、そうやって家が成長していくのよ。

喜多:僕もミラノに行った1980年代に、しょっちゅう家に招待されて。ああ、日本も10年したらこうなるのかと思ったら、ならなかった。

JK:人を招待しなきゃだめですよ! そうすれば、これはカッコ悪いかな、とか自分で思うし。私ね、外国行く前にキレイに家を整理してから行くの。帰ってきてから、自分の家をサイアク、って思いたくないの(笑)それで、「ただいま」じゃなくて「ごめんください」って帰ってくるの。ひとんちに行くみたいに自分の家に帰ってごらん。

喜多:客観的な目で見よう、っていうことですね。

JK:そうそう、それ。今日からやってみたらどう?

出水:やってみます!!

=OA楽曲=
M1. Happy / Pharrell Williams

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TBSラジオで、毎週日曜17:00-17:30放送中です。ラジオは、AM954kHz、FM90.5MHz。パソコンやスマートフォンでは「radiko」でもお聴きいただけます。