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荒れた山を宝の山に変えるか?”新しい国産品”

森本毅郎 スタンバイ!

今日は食べ物の話題なんですが、ほとんどが輸入品で占められている食品の中で、国産品がじわじわ広がってきている物があるというのです。そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!2月26日(火)は、レポーターの近堂かおりが『荒れた山を宝の山に変えるか?”新しい国産品”』をテーマに取材をしてきました。

 

 

★秩父のメープルシロップ!

まずは、【国産のメープルシロップ】です。メープルシロップといえばカナダが本場。世界の生産量の8割がカナダ産。当然、日本もカナダからの輸入がほとんど。そんな中、国産のメープルシロップの生産に力を入れているのが、埼玉県の秩父。秩父の山のカエデからメープルシロップを作ろう!と最初に言ったというNPO法人『秩父百年の森』理事長で、『秩父樹液生産協同組合』専務理事の島崎武重郎さんのお話です。

島崎武重郎さん
「いまから15年ぐらい前に【一村一品運動】が始まって、当時、私は秩父の商工会の青年部にいたんですが、何かいいアイデアないかと聞かれて、秩父にメープルが採れるからそれでお菓子でも作ってみたらどう、という話で最初スタートしたんです。日本には28種類のカエデがあるんですが、アメリカやヨーロッパは十数種類しかないんです。カナダもサトウカエデという1種類だけ。28種類もカエデの種類があるのは日本だけなんです。そのうちの21種類が秩父にあるんです。非常に個性的な味がする木もありますし、甘さがやわらかい品のいいカエデの樹液が飲めると思います。」

秩父の山にはカエデの木が6千本ほどあり、そのうちの620~630本からメープルシロップの原料になるカエデの樹液が、去年は13トン採れたそう。結構採れる!

ただし、メープルシロップにするにはこれを40分の1まで濃縮。量はまだまだカナダに及びませんが、種類の多さをウリしていきたいとのこと。(ハチミツもお花によって味が違いますよね。メープルシロップも樹の種類によって異なる味が楽しめるんです!)

島崎さんは昔、大学時代に山登りで訪れた富山で、マタギの方たちがカエデの樹液を集めて飲んだり、紅茶の甘味にしたり、薬にしているのを、見聞きしていた。これがアイデアのヒントに。

★カエデなら循環型の山の森に!

この国産メープルシロップ、秩父以外でも広がっているそうです。それは人手が入らずに荒れてしまった山を救うかもしれないからなのです。再び島崎さんのお話です。

島崎武重郎さん
「日本全体の面積の約6割が森林で、その約4割が建物を建てるためのスギやヒノキ。これは人工林で一生懸命植えたものですけど60年ぐらい経たないと建築用材として使えないんです。60年も手入れをして伐ったらまた60年。ところがカエデは毎年、樹液が採れます。約20リットル採れるんです、1本の木から。だから伐らなくてもいい。山からひとつもなくならないけどそこにちゃんとお金ができる。そのお金を使って、いまある人工林を上手に手入れしながら、カエデを植えていくという仕組みを作れば、循環型として山の森が使えてきます。」

いまスギやヒノキを売っても手数料を引くと、1000円ほどにしかならないのだそう・・・。これでは商売にならないですよね。木を伐る人は減り、山は荒れました。カエデの樹液は、新たな産業と、山の保全の2つをかなえる。まさに宝の山!!

同じような悩みを抱える栃木、山梨、秋田、新潟など各地から視察が後を絶たない、ということですから、いかに困っている人が多いか、ということです。

★福岡県糸島のメンマ!

実は同じような取り組みがほかにもあります。こちらは【国産のメンマ】で荒れた山を救おうという動き。これは人手が入らない山に増える【竹】を活用しようというもの。こちらも今、全国各地に広がっているのですが、その火付け役となった、福岡県の『糸島コミュニティー事業研究会』の日高栄治さんのお話です。

日高栄治さん
「全国で問題になっていて放置竹林とか荒廃竹林が出ていて、景観だけじゃなくて災害の原因になったり、イノシシの巣になったり、スギやヒノキを枯らすとか、福岡のほうでは風が吹くと槍みたいに落ちてくるとか、いろいろ問題があって、早急に対処しなきゃいけない状況なんです。青竹を伐るのが竹林整備で、これをみんな頑張ってやっているんですけど、価値がないので山に積んだまま活用できていなんです。もう一つは、やってもやっても竹が増えているんじゃないかなという実感があって。それを根本的に解決するために、竹になるのを防ごうという作戦。普通、タケノコを採ったら終わりなんです。【幼竹】という2mぐらいの竹は食べてないんです。それを採ってしまえば竹になるのを防げるという発想です。」

竹になる前に食べちゃおう!という作戦!タケノコ堀りは、なかなか見つけるのが難しいんですよね!すると、掘り逃したタケノコは、あっという間に成長してしまって、どんどん竹林が広がってしまいます。すっかり地上に出てきた1~2mぐらいの幼竹、このサイズになるともうタケノコではないので、それをメンマにしてしまおうというのです。(その幼竹から二週間もすれば、立派な青竹に!)

メンマは中国からの輸入が90%以上。あまりに圧倒的過ぎて、これまで誰も日本の竹でメンマを作ろうと思わなかった。日本の竹は、中国でメンマを作る竹とは種類が違うので、できるかどうか不安だったが、やってみたら問題なし!おいしいメンマができました!

それで糸島の山を管理している方たちで、国産メンマづくりに取り組んでいます。これもメープルシロップと同様に、今までなかった国産ということでラーメン店などから数多く声がかかって、山の人たちの新たな収入に。そして山に竹が増えるのも徐々にではあるが食い止めつつある。

こちらが糸島の国産メンマ

福岡圏・糸島の国産メンマが入った、東京・秋葉原の『饗 くろ㐂』さんのラーメン。

※糸島メンマの写真は東京・秋葉原のラーメン店『饗 くろ㐂』さんの大将のブログからお借りしました!大将のブログはこちら!→ https://ameblo.jp/motenashikuroki/

★メンマじゃなくてタケノコじゃダメなの?

ここまで話を聞いて、ふと疑問に思ったのが、メンマもいいけれど、タケノコの段階でたくさん掘り出せばいいのでは??最後にそれを日高さんに聞いてみました。

日高栄治さん
「タケノコの問題は、最初は珍しくて高くても食べるんですけど、ピークになると皮付きのまま持っていっても、貰い手がないような状況になるんです。皮をむいてゆがいてすぐ食べられるようにしてもってきてほしい、みたいな気持ちになってしまうんです。面倒くさいという感じで。今回はそれを、保存食にしようというのがもう一つの目的です。」

消費者はわがままなところがありますからね(自戒も込めて)・・・。

でもタケノコを見つけて掘るよりは、2mぐらいになった幼竹を伐るほうが見つけやすいですし、伐る作業も成長した青竹よりも簡単という利点もあるようです。

国産メンマの取り組みも、全国各地で急速に広がってあり、栃木、千葉、長野、愛媛・・・最近では東北からも視察にやってくるということでした。日高さんは、『荒れた山が、将来はタケノコ山やタケノコ畑になるといい』と期待を膨らませています。

荒れた山に、新たな価値を見出して、それを山の再生につなげる取り組み。こうした動きが成功すれば、若い人たちも山の仕事に目を向けるかもしれないですよね。実際、幼竹を伐る作業など、体験してみたい!と若者の反応もいいそうですよ。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。