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チャオは現地で覚えました(笑)デザイナー:喜多俊之さん

コシノジュンコ MASACA

2019年3月3日(日)放送

喜多俊之さん(part 2)
プロダクトデザイナー。1942年、大阪生まれ。1967年に喜多デザイン事務所を設立。環境及び工業デザイナーとして、イタリア日本でのデザイン活動をはじめ、家具・家電・ロボット・家電日用品などのデザインで、数多くの製品を世に送り出しています。2017年にイタリア共和国功労勲章コンメンダトーレを受賞。

出水:大阪のどのあたりのご出身ですか?

喜多:ちょうど長居球技場と天王洲の間あたりなんですよ。都会で、まだ田んぼが残っているところなんですよ。

JK:少年のことを話すと、少年気分が残ってますね(笑)

喜多:残ってます(笑)もう自然の中。たぶん奈良時代もあのまま同じだったんじゃないかと思います。車がほとんどなかったですから。小さな池の水をすくうと、タガメ、ゲンゴロウ、ヤゴ、全部網の中に入ってました。そのころまでは日本の自然は奈良時代といっしょだったんですよ。

JK:急激にですよね。戦後変わったのは。

出水:自然に触れ合う中で、デザインに目覚めたのはいつ?

喜多:小学校ぐらいのときに、絵が好きだったんです。絵の先生が「これあげる」ってクレパスをくれたんですよ。それでもっと絵が好きになって、大きくなったらアーティストになろうかということになったんですよ。

JK:クレパスもらったら、宝みたいなものよね。わかる、それ。

喜多:小学校四年生ですから。なんかのご褒美だったんですよね。面白いもんですね、それで人生変わるなんて。ある時大きくなって、デザインっていう言葉が出てきて、デザインのコンクールが始まったんですよね。新聞なんかで、工業デザインとか。オーディオとかそういうのが「素敵な形」「素敵な機能」とかが特賞をとったりしてるから、「ああ、こういう世界もあるんだ」ということで、中学1年生のころに僕はデザイナーになろうと思ったんです。

JK:生活の中で、いわば魔法瓶とか炊飯器とか、身近なところで新しいものを見てしまったのね。

出水:そこからイタリアとの接点というのは?

喜多:思い起こしますと、中学のときに英語が始まりますよね。それで英語の辞書を買いに行ったとき、小さい辞書が隣にあって、なんだろう?と思って、これも買っておこうと思って。そこにKITAと書いて置いておいた。でも結局それをもって、23のときにイタリアに行ったんです。

JK:中学の時に買ったイタリアの辞書をもって!

喜多:そんな決心はしてなかったのに、話がそうなって、イタリアに行くよということになって。それでミラノを通った時に、「あれ、ここだ」と。子どものころにあの辞書を開いて抱いたイメージはここの街だ!と思ったんです。デザインとか関係なく、この街と暮らしを見てみたいと思って、それで1年後、何もかもやめて、取って帰ってきたんです。

出水:会社も辞めて、独立して・・・?

喜多:ゼロで。チャオ!っていうのも向こうで知ったくらい(笑)ただね、留学じゃないんですけど、3か月は暮らそうと思った。まあ1年ぐらい留学する費用は貯めてあったので、それを3か月で使い果たしてこようと。ここで一番いいものを見て、一番いいレストランにいって、一番いいホテルに泊まって、さっさと帰ってくる決心で行ったんです。

喜多:3か月後、予定通りお金も無くなったときに、その時知り合った人から「デザイン事務所で人を探しているんだけど、君、やったことがあるなら行かないか?」って言われて。そこへ面接ということで行ったら、僕は何も持って行かなかったんだけど、日本で作った椅子の模型を持って行ったんです。1967年にデザインした「猿山」という椅子の、手のひらぐらいの、プラスチックのモデル。そしたら「明日から来なさい」って。

出水:ええ~!

JK:素敵が起こりました!

喜多:給料もくれることになって。建築家の助手も1人つけるからといって、ここのテーブルで仕事しなさい、と言われて、クリエイターとして入れてくれた。ラッキーボーイだったんです(笑)言葉も何も知らないのに(^^)

JK:チャオだけで!

喜多:中学のときのちっちゃい辞書を使ってね(^^)

出水:気質という面では、イタリア人と波長が合うという感じでしたか?

喜多:とくに関西の典型とまったく一緒(^^)

JK:たんと、っていうじゃない?向こうもイタリア語でTantoっていうのよね。

喜多:とにかく気性が似てるんですよ。どこかアバウトで(笑)思い付きで(笑)言葉さえ変えたら、まったく関西風。そう思いません?

JK:だって、うちの妹が住んでるもの(笑)とにかく、どこへ行っても大阪の人は、フランスに行ってもフランス弁、イタリアにいってもイタリア弁っていうかね(笑)

喜多:なんかもうね、毎日楽しかったですよ~

JK:サローネはいつごろから?

喜多:サローネは僕が行ったときにはもうありました。何が始まるんだろう、と思って。これは日本もこうなっていくのか、と思って見ました。ちょうど最初のサローネが始まった1968年ですね。

JK:それを見たんですね! やっぱりみなさん憧れの家具の展示会なんですよ。夢があるし。面白いのは、街全体がインテリア産業の中心というかね。ブティックでも必ず椅子の展示をするんです。

喜多:そうですね。しかも、ミラノの人のライフスタイルから生まれたんですよ。インテリアの学校があったわけでもなく、全部家庭から出てきたんです。やっぱり企業のオーナーが「デザインだ!」と思ったんでしょうね。面白かったですよ。

出水:今年4月のミラノ・サローネにも出店されるんですよね?

喜多:はい、ミラノ市内400か所ぐらいで、新作展があるんですよ。フォーリ・サローネっていうんですけど、いま北海道の家具をやっていまして、それを出すことにしました。北海道の楢材で作った、日本の家具。日本の木を使って、日本の職人が、日本の工夫で作ったものを出します。

JK:楢材っていうのは硬いんですか?

喜多:硬いんです。デンマークで有名な家具は、ほとんど北海道の木で作られているんです。あるいはタイのチークか。だから、世界の高級家具の素材は北海道だったんです。

JK:北海道の人はしってるのかな?

喜多:それで北海道の家具の業界の人が「やろう!」ということになって。北海道独特の文化もありますから、それを展示する。先月は別の見本市で、秋田県の杉をやりました。秋田から職人が来たりしてね。とにかく今、日本がいよいよ海外と対等にやる時代が始まろうとしている、そんな気がしています。

出水:日本の地方の方々の技術っていうのは、海外でも評価されているんですか?

喜多:木に関して言えば、漆もそうですが、世界でトップです。素材も自然から生えて出てくるものですから(笑)ジュンコさんもサローネやられましたよね?

JK:ええ、クラブハウスで漆とテーブルですね。そんなに売れなかったわね。私は考え方、デザインっていうよりも、すべて「二等分」っていう考え方。それから漆は「重ねる」。小さい日本を重ねて、いかに大きく見せるか。考え方なんです。いっぱい絵を描いてどうの、というのではなく。日本の特徴を見せたかったの。

喜多:ああ、なるほど。基本ですね。これから日本が海外に出ていくときの基本のひとつですね。わかります。

JK:喜多さん、人生のMASACAってあるじゃないですか?

喜多:ある! 何にも言葉も知らないのに、ミラノの大きなお城の後ろの巨大な公園に一人で立ってる(笑)それがマサカですね! そこから始まった。

JK:でもデザインの力っていうか、心っていうか、そういうのは武器ですね。お金がなくても、言葉がしゃべれなくても、仕事ができるんですものね。すっごい財産ですよ。財産っていうかなんていうか、特徴っていうか。

喜多:そうですね、体ひとつで行ったわけですから。思えば、実現するものなんですね。

JK:思うことが大切なのよね。もういいや、って卑下するんじゃなく、あまり疑わないでまっすぐ、というのがいいですよね。

喜多:好奇心も強かったのかな? ダ・ヴィンチもミラノで活躍した人ですが、ダ・ヴィンチのミュージアムで館長に「なんであの人はあんなにできたのか」って聞いたら、「好奇心があったんですよ」って。

JK:ファッションもやったのよ、あの方。バチカンの入り口に立ってる像の洋服はダ・ヴィンチが作ったのよ。

出水:そうだったんですか?! 知らなかった。

喜多:それからミラノの都市計画もやったんです。すごい人なんですよ。好奇心ってすごいですね。我々もまだありますもんね!

出水:だと思います(笑)

JK:ダ・ヴィンチのように、自分は「●●デザイナー」じゃなくて、●●を取ればどんな世界にもデザインは活かされると思うんです。だから私も「ファッションデザイナー」はやめて、「デザイナー」はいいと思います。

喜多:ダ・ヴィンチとジュンコさん、ダブるところがある!なんでもやれるところとか。境界線とか何にも考えてないでしょ?

JK:考えてない。自分で境界線を作るからダメになっちゃうのよ。

喜多:女性ダ・ヴィンチ!(笑)

=OA楽曲=
M1. Dig-Gue Ding Ding / Michel Legrand Et Son Ensemble

M1. Milano / Chris Conner

「コシノジュンコ MASACA」
TBSラジオで、毎週日曜17:00-17:30放送中です。ラジオは、AM954kHz、FM90.5MHz。パソコンやスマートフォンでは「radiko」でもお聴きいただけます。