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空間が見えてくるラジオドラマ【亡き妻フィービー】

ラジオシアター~文学の扉

毎週日曜、夜9時からお送りしている
【ラジオシアター~文学の扉】

今週はゲストに小野武彦さんをお迎えしてセオドア・ドライサーの『亡き妻フィービー』をお届けしました。


脚本の横山さんは、この作品ができる人を探していたそうです。
小野さんが出演してくださるということで、満を持してラジオドラマをお届けしました。

小野さんの第一声から、その役の姿や存在する空間が見えてくるようで、スタジオにいた全員がほほうと唸りました。
中嶋さんが演じた妻フィービーも第一声から納得。
夫にかける言葉は一見素っ気ないけれど、長年連れ添い、深いところで愛し合っているのが感じられて、あたたかさに溢れていました。
眼差しまで浮かんでくるようでした。
声だけで聴き手がその光景を豊かに想像することができるという、まさにラジオドラマの醍醐味を堪能できる作品となりました。

亡き妻の幻を、まだ生きていると思い込み探し回る夫。
自分の中に生き続ける妻の存在のおかげでどんどん若々しくなる姿は、滑稽ではなく愛に溢れて輝いていました。
演じ方によってはコメディにもなり得る作品でしたが、脇役を含めた人物一人一人のリアリティーも素晴らしく、あたたかい作品の魅力が前面に出ていたと思います。
小野さんは、今回の作品が書かれた当時のアメリカについて対談で触れています。
まだ豊かなイメージになる前の、厳しい労働の中で人々が助け合って生きていかなければならない時代。この背景が作品に影響しているのではないかと仰っていました。
人々の心の深いところにある、目に見えない歓びが描かれていて、この作品が美しい所以はそこにあると感じました。

収録を終えて、小野さんのちょっとした表現の素晴らしさに「勉強になった」と嬉しそうだった中嶋さん。
ラジオドラマ百戦錬磨なお二人の、贅沢なほど聴き応えのある共演でした。
来週は今回とは真逆とも言える、全く違った夫婦の物語をお届けします。
お二人のお芝居の変化にもご注目を。
どうぞお楽しみに!

by田上真里奈

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