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「追悼:伝説のドラマー、ハル・ブレインに捧ぐ〜ロネッツ『Be My Baby』のイントロ特集」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「追悼:伝説のドラマー、ハル・ブレインに捧ぐ〜ロネッツ『Be My Baby』のイントロ特集」

Be My Baby: The Very Best of The Ronettes

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお送りいたします。「追悼:伝説のドラマー、ハル・ブレインに捧ぐ〜ロネッツ「Be My Baby」のイントロ特集」。皆さんはハル・ブレインさんをご存知ですか?

【ジェーン・スー】
ハル・ブレインのことは知らなくてもハル・ブレインが叩いたリズムなら、という感じですね。

【高橋芳朗】
堀井さんはいかがですか?

【堀井美香】
聴いたらわかるのではないでしょうか……?

【高橋芳朗】
わかりました。先週の月曜日、3月11日にアメリカの伝説的ドラマー、ハル・ブレインが亡くなりました。90歳でした。ハル・ブレインはスタジオミュージシャンですね。スタジオミュージシャンで構成されたレッキング・クルーのメンバーとして、1960年代〜1970年代のヒットチャートを影で支えたポップミュージック史の超重要人物。一説によると、彼がドラムを叩いている曲は3万5000曲以上。

【ジェーン・スー】
ええーっ? 3500じゃなくて?

【高橋芳朗】
うん、3万5000(笑)。

【堀井美香】
一日に何回叩いてるの(笑)。

【高橋芳朗】
本当に(笑)。だから、ハル・ブレインの名前を知らなくても彼がドラムを叩いてる曲を聴いたことがある可能性は極めて高い。カーペンターズやビーチボーイズ、サイモン&ガーファンクルのヒット曲は結構ハル・ブレインがドラムを叩いていますね。そんなハル・ブレイン伝説でいちばん強力なのが、1966年から1971年までの6年間のグラミー賞の最優秀レコード賞、受賞曲はすべてハル・ブレインがドラムを叩いているという。

【ジェーン・スー】
へー!

【高橋芳朗】
なんじゃそりゃ!っていうね(笑)。

【ジェーン・スー】
もう堀井さんもナレーション界のハル・ブレインになってくださいよ。

【堀井美香】
叩きます!

【高橋芳朗】
3万5000回ね(笑)。そんなハル・ブレインの名演の中でも、特によく知られているのがガールグループのロネッツの1963年のヒット曲「Be My Baby」。今日はこのハル・ブレインがドラムを叩いているポップミュージック史で最も有名なイントロのひとつ、「Be My Baby」の影響を聴いていきたいと思います。「Be My Baby」のイントロってわかります? (机を叩いて)「ドンドドンッ、パンッ! ドンドドンッ、パンッ!」。

【堀井美香】
ああーっ!

【ジェーン・スー】
このリズムはここから始まったってことだよね?

【高橋芳朗】
うん、そういうことです。

M1 Be My Baby / The Ronettes

【高橋芳朗】
実は「Be My Baby」のこの「ドンドドンッ、パンッ!」のリズムパターン、アクシデントから生まれたそうなんですよ。

【ジェーン・スー】
ええっ?

【高橋芳朗】
プロデューサーのフィル・スペクターの指示によると、最初は「バスドラム、スネアドラム、バスドラム、スネアドラム」だったんですって。

【ジェーン・スー】
「ドン、タン、ドン、タン♪」ってこと?

【高橋芳朗】
そうそう。それをリハーサル中だかレコーディング中にハル・ブレインがドラムのスティックを落としちゃって、そのスティックを拾っているあいだにスネアの部分をバスドラムで代用したんだって。それでこの「ドンドドンッ、パンッ!」のリズムが生まれたという。

【ジェーン・スー】
へー、それがいま世界中で馴染みのあるドラムパターンになってるんだ。

【高橋芳朗】
そうなんですよ。しかもさ、一聴した限りではなんの変哲もないビートじゃないですか。

【ジェーン・スー】
それこそ「パンパパン、フウーッ!」みたいなのもここから来てるわけでしょ?

【高橋芳朗】
そう、ヲタ芸もここからきてるんだもんね。じゃあ、ここでちょっと「Be My Baby」のドラムパターンにインスパイアされたヒット曲をいくつか集めてみたので聴いてみましょうか。まずはこちら、洋楽ポップスとしてはこれがいちばん有名かな?

M2 Say Goodbye to Hollywood / Billy Joel

Say Goodbye to Hollywood

【高橋芳朗】
堀井さんが大好きな人ですよ。

【堀井美香】
ああ、もう大好きです(笑)。

【高橋芳朗】
これは誰の曲でしょう?

【堀井美香】
ビリー・ジョエルでございます。

【高橋芳朗】
正解です! これはもう思いっきり「ドンドドンッ、パンッ!」のリズムパターンですね。

【ジェーン・スー】
浜省にもこういうのあるよね。

【高橋芳朗】
ありますあります。佐野元春さんにもありますね。「Say Goodbye to Hollywood」は本家ロネッツのリードボーカル、ロニー・スペクターがカバーしていたりします。

【ジェーン・スー】
へー!

【高橋芳朗】
じゃあ次いってみましょう。これはちょっとわからないかもしれないけど、どうかな?

M3 Just Like Honey / The Jesus & Mary Chain

Psychocandy

【高橋芳朗】
これはオルタナティブロック系です。

【ジェーン・スー】
リスナーさんでわかる人はわかってるんじゃないかな?

【高橋芳朗】
これはソフィア・コッポラの映画『ロスト・イン・トランスレーション』のエンドロールでかかる曲。ジーザス&メリー・チェインの「Just Like Honey」です。「Be My Baby」のイントロはビリー・ジョエルみたいな王道のポップスはもちろん、こういうオルタナティブロックでも使われているんですね。

【ジェーン・スー】
ふーん!

【高橋芳朗】
次は応用編としてこちらをどうぞ!

M4 夢で逢えたら / シリア・ポール

夢で逢えたら

【高橋芳朗】
シリア・ポールさんの「夢で逢えたら」。吉田美奈子さんがオリジナルですけど、こちらの方がよりロネッツ寄りなアレンジになっています。もう一曲、こちらも応用編です。

M5 You May Dream / シーナ&ザ・ロケッツ

YOU MAY DREAM

【高橋芳朗】
わかります? 最近朝ドラの『半分、青い。』で挿入歌として流れていたシーナ&ザ・ロケッツの「You May Dream」。

【ジェーン・スー】
このリズムを使った曲は必然的に甘酸っぱくなるんだね。

【高橋芳朗】
うんうん。これはプロデューサーの細野晴臣さん一流の遊び心が発揮された感じですね。最後はこちら。これは思いっきり「Be My Baby」です。

M6 世界中の誰よりきっと / 中山美穂 & WANDS

世界中の誰よりきっと

【ジェーン・スー】
ああーっ! ミポリン!

【高橋芳朗】
そう、中山美穂さんとWANDSですね。

【ジェーン・スー】
「世界中の誰よりきっと♪」

【高橋芳朗】
こんな感じで「Be My Baby」のイントロのドラムパターンは至るところで使われているんですけど、ここからはわたくし高橋芳朗が選んだ「Be My Baby」のイントロに影響を受けた曲の傑作選を2曲、洋楽と邦楽で1曲ずつ紹介したいと思います。まず1曲目、洋楽編はニューヨークの女性シンガーソングライター、ラナ・デル・レイとR&Bシンガーのザ・ウィークエンドがコラボした「Lust for Life」。これは2017年、最近の作品です。この曲はミュージックビデオを見てもらえばわかると思うんですけど、ロネッツ「Be My Baby」の直球オマージュ。ロネッツのオールディーズ感覚を見事に現行のポップミュージックのモードに落とし込んでいます。めちゃくちゃ遅くてものかなしいけど「Be My Baby」のビートはしっかり鳴ってるので注意して聴いてみてください。

M7 Lust for Life feat. The Weeknd / Lana Del Rey

【高橋芳朗】
では最後、邦楽編です。邦楽編は、ようやくこのコーナーで松田聖子さんの曲をかけられる!

【ジェーン・スー】
おおっ!

【高橋芳朗】
松田聖子さんの「一千一秒物語」。1981年の作品です。これは応用編というか、曲自体はサビ始まりなんですよ。でもサビ始まりなんですけど、サビが明けた後に「ドンドドンッ、パンッ!」のリズムが登場しますので注目してください。これは作詞は松本隆さん、作曲は大瀧詠一さんです。

M8 一千一秒物語 / 松田聖子

一千一秒物語

【ジェーン・スー】
もうアイドルソングのキモ中のキモっていう感じですね。

【高橋芳朗】
うん、王道ですね。

【ジェーン・スー】
この展開といい、サビ始まりの感じといいね。「ドン、ドドンッ、フウーッ!」って。

【高橋芳朗】
古いアイドルソングだと新田恵利さんの「冬のオペラグラス」のイントロも「ドンドドンッ、パンッ!」ですね。

【ジェーン・スー】
(モノマネで)「白い雪が〜♪」。

【高橋芳朗】
フフフフフ、相変わらずさらっと歌詞が出てくるね。

【ジェーン・スー】
中途半端なモノマネなら任せて!

【高橋芳朗】

というわけでロネッツ「Be My Baby」のイントロのオマージュ作品、洋楽邦楽といろいろと聴いてきました。このリズムを使った曲はまだまだ大量にあるので、皆さんのライブラリからも「ドンドドンッ、パンッ!」を探してみてはいかがでしょう。あと、ハル・ブレインについてより詳しく知りたい方はドキュメンタリー映画『レッキング・クルー 伝説のミュージシャンたち』をチェックしてみてください。アマゾンなどで配信されています。

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当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

3/18(月)

(11:09) Glamour Profession / Steely Dan
(11:28) Give it to the Kids / Ben Sidran
(11:37) I Did it All for Love / Robert Byrne
(12:14) The Wonder of it All / Adrian Gurvitz
(12:25) Let’s Just Live Together / Brian Elliot
(12:49) 愛は思うまま / 吉田美奈子

3/19(火)

(11:05) I Only Want to Be with You / Dusty Springfield
(11:27) 442 Glenwood Avenue / The Pixies Three
(11:38) Young Lovers /Lesley Gore
(12:13) He’s So Fine / The Chiffons
(12:23) I’m Into Something Good / The Cookies
(12:51) Do-Wah-Diddy / The Exciters

3/20(水)

(11:05) Radio Radio / Elvis Costello & The Attractions
(11:23) So It Goes / Nick Lowe
(11:35) Poison Ivy / The Lambrettas
(12:15) Hey Little Rich Girl 〜哀しきディスコ・レイディ〜 / The Specials
(12:50) トランジスタ・ラジオ / RCサクセション

3/22(金)

(11:04) Ten Percent / Double Exposure
(11:19) Chances Go Around / First Choice
(11:31) More / Carol Williams
(12:11) We’re Getting Stronger / Loleatta Holloway