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瞬時に96%以上的中!大腸内視鏡はAIの時代へ

森本毅郎 スタンバイ!

「内視鏡」は、病気の早期発見に欠かせないものです。特に、大腸の内視鏡は、国内がん死亡数第2位の大腸がんの早期発見に役立っています。そんな中、先月、オリンパスが世界で初めてAI=人工知能を使った大腸内視鏡の画像診断ソフトを発売しました。内視鏡の画像をAIが解析して、医師の診断を補助するというものなんですが、このシステム、腫瘍かどうかの正答率が95%を超えるほどの正確性なんです。

そこで、4月1日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、内視鏡診療の質を抜本的に変えるものとして期待される大腸内視鏡画像解析ソフトについてお伝えしました。

★大腸がんについて

大腸がんは、国内のがん死亡者数第2位、罹患者数は第1位と、近年増加傾向にあります。そんな大腸がんの最大の予防は、早期に発見することです。その理由は、早期に発見して大腸内視鏡で取ってしまうと、完治が望めるからです。

そのため、大腸内視鏡を使って早期のがんや、がんの前段階の「腫瘍性ポリープ」を切除します。実際に、海外の研究でも早期のがんや、「腫瘍性ポリープ」を切除することが、大腸がんの死亡率減少に寄与することが報告されています。

ただポリープの中には、腫瘍性ポリープのほかに、切除する必要のない「非腫瘍性ポリープ」も存在します。そのため、医師は検査中にその両方を的確に判別する必要があります。ただ、日本では大腸内視鏡を行っても26%の確率で腫瘍が見落とされているという報告がある。また、腫瘍と思って取ったとしても、それを病理診断すると87%も陰性の判断だったという報告もあり、従来の内視鏡では限界があります。つまり、切除する必要のない非腫瘍性ポリープを切除しているケースが多いのです。

★520倍の拡大内視鏡

そこで去年の春に登場したのが520倍の拡大内視鏡です。それまでの拡大内視鏡の倍率は「80倍」でした。去年の春にオリンパスから発売されたのが「520倍」の拡大内視鏡です。

これはどれくらい凄いかというと、「細胞の核」まで見えるレベルということです。これまでの80倍でも、ポリープの表面構造をみることができ、例えば、毛細血管の血の流れが、見える顕微鏡に近いレベルでした。この80倍レベルでも正常か異常か、一般の私でも違いがわかるレベルでした。ただ細胞の核レベルではないので、確かな診断のためには、一部の細胞を取り出す「生検」という検査が必要となり、組織を切ったり、傷つけるリスクがありました。

ところが、520倍だと、組織を取り出して、顕微鏡で見るという、生検と同じレベルの映像が、内視鏡で、リアルタイムで見ることができます。見るだけで内視鏡医が、がんか否かを確認できることになるので、必要な場合は、今のような確定診断を待たず、すぐに治療に入れるというわけです。

★AIで解析するソフトウェア

こうした中で先月出てきたのが、この520倍の拡大内視鏡の画像をAIで解析するというソフトウェアです。これは昭和大学横浜北部病院、名古屋大学などが協力して作り上げた物です。

どのように使われるかですが、がんが疑われる部位に520倍の拡大内視鏡の先端を接触させると、AIが解析して、腫瘍なのか腫瘍でないのかの可能性を数値で表示します。その識別速度は0・4秒です。腫瘍と判断されるとすぐに治療ができ、無駄な時間を減らせます。0・4秒で本当に識別できるのかと思う方もいるかもしれませんが、そこがAIの優れているところです。

AIにおよそ7万枚件の内視鏡画像を学習させたことで、疾患のある患者さんのうち、検査で正しく陽性と診断された人の割合は、96・9%。さらに、疾患のある患者さん、疾患のない患者さんのうち、検査で正しくそれぞれ陽性・陰性と診断された人の割合は、98・0%という専門医に匹敵する診断精度が得られました。この数字は、熟練の大腸内視鏡医師並みか、いや、それ以上と言われています。

★内視鏡分野は、日本が世界のトップ

ベテランの大腸内視鏡の医師と、まだ初心者といえる大腸内視鏡医師が半々の状況です。腫瘍となると切除が必要となりますが、ベテランと初心者では診断がかなり違います。診断学を持っていない初心者の医師は、何でもかんでも取ってしまいます。

また取った病変を病理診断するのですが、それは病理の医師がすべてチェックしているのです。何でも取ると、それだけ国の医療費がアップしてしまいます。正確に摂ると患者さんを救うばかりか、国の医療費削減にも結びつくのです。ところが、多くは取る必要のない非腫瘍だというのです。病理医は大変な労力と時間を使っています。そこに、AIが入ることで非腫瘍を取ることがなくなり、病理医の労力はグンと減ります。

医師不足と言われる中、病理医も手が足りていない状態で、無駄な検査を減らすことが、さらなる正確な診断にもつながります。AIを使った大腸内視鏡では初心者の大腸内視鏡医師のレベルアップをサポートすることもできるのです。

★さらに高まる正確性

現在、AIはおよそ7万枚の内視鏡画像を学習していますが、今後もデータを追加する予定。データを追加すると、およそ10万枚の内視鏡画像を学習することになります。内視鏡の世界ではAIは初めてですが、検査・診断の正確性が極めて高いので、今後、大きく飛躍することは間違いありません。

4年前に、東大医科学研究所病院で、人工知能ワトソンに患者さんの遺伝子を読み込ませて正しい診断に結びつけました。患者さんは「急性骨髄性白血病」と診断されていました。それがAIによって、急性骨髄性白血病の中でも「二次性白血病」と診断がついたのです。AIの指示した抗がん剤を使うことで患者さんは良くなりました。

もうこれからはAIの時代だ、ということがはっきり頭にインプットされたと思います。それが大腸内視鏡でも現実のものになったということは、とても安心できますね。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190401080130

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