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小田急線15万人足止め、なぜ運転再開に70分もかかったのか?

森本毅郎 スタンバイ!

きのうのまさにこの現場にアタックの時間、神奈川方面と東京・新宿を結ぶ小田急線が、およそ70分間にわたって全線で運転を見合わせというトラブルがあり、15万人に影響が出ました。そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!4月9日(火)は、レポーターの近堂かおりが『小田急線15万人足止め、なぜ運転再開に70分もかかったのか?』をテーマに取材をしてきました。

 

★新年度スタートの月曜日なのに・・・!

小田急線が全線で運転を見合わせたのは、午前7時半からおよそ1時間10分。朝の通勤・通学で大変混雑する時間に、一時間以上、しかも全線で!!

さらに、よりによって会社や学校で新たなスタートを切るタイミングということで、大変な一日になった方も多かったようです。

新社会人の女性
「私、引っ越してきたばかりで、初混雑です。人だかりがすごくて。新入社員で今年ほんとに最近引っ越してきて、東京はこうなのかな。」
転職1年目の男性
「ぼくぎりぎりだったんですね。新しく入った会社なので朝のうちに色々と覚えようと思って早めに行ったんですよ。ちょっとの差でえらい目に遭ってますよね。」
入学式を迎えた親子
「中学の入学式で10時ちょっと前だったのでそんなに混雑はしてなかったので、逆にもっとスムーズに電車が動くのかなと思っていたんですけど。下北沢で1つの駅の区間に4つの電車が溜まっているということでずっと停まっていました。」
50代男性
「登戸で止まっちゃいまして、向ヶ丘遊園まで歩いて、災害時の帰宅難民みたいな状況でした。駅間ずっと人が歩いていて。災害時はこんなふうになるのかなと思いました」

ホームだけでなく、改札の前にも人があふれたり、振り替え輸送のバスにも何百メートルの長蛇の列ができたり、とみなさん大変だったそうです。

★なぜこんなに大規模になったのか?理由その1!

原因は、【保安装置】=走行中の電車に異常発生を知らせて緊急停止を求める【無線システム】に不具合があったため、というのですが、保安装置の不具合ってどういうことなの?こんな大規模に運転を見合わせるほどの不具合なの?専門家にお聞きしました。鉄道ライターの杉山淳一さんのお話です。

杉山淳一さん
「この無線の通信網というのは【ツリー形式】といいますか、本部があって、新宿からA地点まで、A地点からB地点まで、B地点からC地点までというふうに、そのエリアごとに基地局があるんです。本部から各基地局までは、光ファイバーでつながっていて、基地局から各列車には無線でつながっています。基地局(どれか1つ)が壊れてしまった場合は、その基地局が管轄するエリアだけ列車を止めるとか、あるいは車掌さんが持っている業務用のPHSで無線の代わりにやりとりしながら何とかしのげるんです、他の区間は全然影響なく。今回は列車と基地局の間ではなくて、基地局と司令所=中心のところが故障してしまった。根本がいっちゃったのでそこから枝分かれしていく前後のところが止まってしまったということなんです。」

鉄道に限らず、通信手段は、本線のほかに予備の回線でバックアップをとるもの、という風に思っていましたが、この鉄道のシステムの場合は、いちばんの大もとは二重回線にはしないそうなのです。(これは、大もとを二重にするとそれぞれちがう指令を出してしまった場合にどちらが本当か見分けにくいなどの理由です)

今回、小田急のトラブルはまさにこの【大もとの部分】だった。これが全線で運転見合わせる、と規模が大きくなってしまった理由の【1つ】。

★なぜこんなに大規模になったのか?理由その2!

では、運転見合わせからの復旧に70分間もかかったのはどうしてなのか?これも杉山さんに聞きました。

杉山淳一さん
「その理由は何かというと、中央にある制御装置はコンピューターですから、みなさんもご自身で使っているパソコンがちょっと調子が悪いなと思ったら再起動しますよね。それと同じことをやっているんです。ただパソコンと違うところは、再起動したあとで、本当にすべての列車と連絡が取れるかというのをマンツーマンで確認をとっています。(1つずつ?)はい。これは放送とかチャットとかLINEみたいに全員同時にできるシステムではないんですね。『○○列車、応答してください』『○○列車、受信しました』みたいなやりとりを全部確認してみたところ、1回目の再起動では一部の列車の応答がなかったんです。おかしいな、もう一回やってみるかということで、もう一回再起動しました。この2回目の再起動で全ての運転士さんと確認を取ってオッケーができたというところで、じゃあ運転を再開しますよとなったんですが、ここから先また問題があって、どの列車から動かしたらいいでしょうって、パズルみたいになっちゃってるわけですよ。あちこちで列車が止まっちゃってますから。」

一台ずつ応答を確認するのは、時間もかかりますし、大変な作業です。無線が正常に使えるかの確認は一斉にできるようなってほしいですね・・・。

それに加えて、復旧のさせ方も課題。なにしろ、全線で運転が止まったわけですから。小田急線は東京メトロ千代田線と相互乗り入れしていますし、ロマンスカーもあります。でもまず通勤・通学の列車が先じゃないか、だったら単純に動かすだけなら全部各駅停車で動かしたほうがいいけれど、急行で急いでる人もいる・・・。

といろいろ考えなければいけなかった。その結果が、復旧までの70分間。

★新年度スタートの月曜日なのに・・・!

そしてもう一つ、きのうのトラブルに巻き込まれてしまった人たちに、今回不安だったことは何か、と聞くと、こんな話が出てきました。

●「【保安器具の不良】という説明があったけど、それが何だか分からないので結局不安・・・。」
●「仕事前だったので復旧時間がどうなのかもう少しきめ細やかに教えてほしかったですね。」
●「”運転再開します”と言われて乗り込んだら、結局、見合わせのままだった。」

駅や電車内でのアナウンスについての話。聞いた駅員さんによって、駅によって、さまざまな情報が飛び交い、混乱してしまったり、振り回されてしまった・・・ということなのです。こうした声があったことについて、鉄道ライターの杉山さんのお話です。

杉山淳一さん
「インフォメーションをどうするのかという部分は、情報がバラバラになっているとか、きちんと乗客に届いていないということは本当は問題が大きいことなので、ここはきちんとお客様に情報を与えて、移動の選択肢をそれぞれのお客さんが判断できるような材料をだしてあげるということが大事ですね。」

鉄道ライターの杉山さんによると、無線システムの大もとのトラブルというのは、これまであまり聞いたことがないという。それだけになぜ大もとが故障したのか原因究明が待たれます。

これは鉄道というよりコンピューターのトラブルなので、それをまずはっきりさせて対策をきちんと取ることが課題だということでした。

そして、鉄道としては、全線停止後からの運転再開の手順の見直しと、利用者への情報の伝え方、を考えておく、ということがもう一つの課題です。

今回はほかの鉄道会社でも頻度が少ないようなトラブルなので、ほかの鉄道にとっても課題は同じということです。

今はいろいろなシステムが巨大化しているし、他社・他業種とのネットワーク化も進んでいるので、平常時はとても便利である反面、なにかトラブルがあると広範囲に影響が及んでしまいます。今回のトラブルが、今後に活かされることを期待したいですね!

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。