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瓢箪から駒ならぬ、鼓からオートバイ?!~大倉正之助さん

コシノジュンコ MASACA

2019年4月14日(日)放送
大倉正之助さん(part 2)
能楽師、大鼓奏者。1955年生まれ。室町時代から続く宗家大倉流の長男として生まれ、初舞台を踏んだのは9歳。能舞台での活動の他、総理官邸で行われる晩餐会での演奏、政府主催の演奏会など、国内外を問わず、様々なパフォーマンス活動など幅広く活動していらっしゃいます。重要無形文化財総合認定保持者。

出水:初めて鼓を手に取った時のことを覚えてますか?

大倉:それがね……覚えてないんだよね(笑)気が付いた時には周りにあった、というような。うっすら覚えているのは、祖父が膝の上で何か、おもちゃじゃないけど、何かいじっているというか。

JK:そういう家系の中で育って、やっぱり反抗期ってありますよね?

大倉:反抗期っていうよりか、父の稽古が非常に厳しくなってきたときに、自分は向いてないんじゃないか、父の期待に応えられないんじゃないか、っていう気持ちがしましたね。

JK:大倉さんって、どっちかっていうとスポーツマンというか、ハーレーに乗って、K1とかどっかの選手みたいじゃないですか! そういうアクティビティな感じがするんだけれども……ぜんぜん繊細なところで生まれてるから(笑)

大倉:全然真逆(笑)まあ、結局紆余曲折して、私もいろんなところを回りましたよ。世界のネイティブのところに入って言ったり、アメリカンインディアンと一緒に暮らしたり。そういう暮らしの中に入ってね。人間っていうものの発祥というか、原初に興味を持って。農業もそうだし、畑を作れないと人間として生きていけないんじゃないか、とかね。

出水:そう思ったのが18歳のときですよね?!

大倉:(笑)まあそう思って、農家に住み込みに行ったんですよ。農家の物置小屋みたいなところに泊めてもらって。そこも横浜の保土谷の大家族の農家でね。まだ保土谷バイパスもない時代。当時はすごく田舎だったんですよ。

JK:でも農業って自然じゃないですか。宇宙。神様が作ったものは自然ですよね。そのダイナミズムの何に憧れて? 鼓とは関係なく?

大倉:鼓もそういう意味では、自然との調和、人と自然との橋渡しをする役割があることが後でわかってくるんだけど、最初のうちはわからない。自分は生まれてきてどういう役を担うんだろう、農業のような実益のあるもの、手で生み出すものにいったん触れないことには、と思って。鼓はその次だろう、と。

JK:エライ! 若いのにね。地味に見えるじゃない、農業って。晴れやかな舞台じゃなくて。でもそれを経験したことは、それはエライことですよ。

大倉:そのときのことが基本になっていますね。

JK:農業の「農」って上に「曲」って書くでしょう。だから知らないうちに音楽と関係していたんじゃないかって。山の中に住んでるアーティストがいるんですけど、山の中ってものすごく忙しくて、騒がしいんだって。虫の声とか、鳥の声とか、木のざわざわする音とか。だから静かじゃないって。

大倉:たしかに。山暮らしっていうのは365日いつも山に暮らしてたときは、そりゃ人っ子一人いないんだけど、動物やら虫やら、なんていうんだろう、自然に抱かれているという感じ。

JK:そういうの、都会にいて突然行くと、慣れないっていうか(笑)あまりにも静かすぎるのもなれないし(笑)私、鞍馬の旅館に泊まったことがあるの。川のすぐそばで、本当に……川の音が一晩中止まらないの! 止めるところはないんですか??って感じ(笑)ぜんっぜん寝れないの! 素敵だなあって思ったら、そうではなかったの。

大倉:ははは! たしかに。そういうことってあるだろうね。

JK:だから自然って永遠に生きてるんですよ。常に動いてる。人間ってやっぱり自分で調節できるんだけど、自然は調節してくれないから(笑)

大倉:湧き出てくるんです。だからこういう(スタジオの)空間なんかは音をシャットアウトするじゃないですか。劇場なんかもきれいな澄んだ調べが聞けるわけです。でも考えてみれば、外の音とか、風の音、雨の音も全部入ってきた。

JK:大倉さん、最高のシチュエーションで鼓をやるとしたら、どんなところでやりたいですか?理想は?

大倉:そうですね……あの、あそこのコロシアムとか、外の音の反響がいいところがあるじゃないですか。そういうところでやってみたいですね。すり鉢状になっていて、コインを落としたら全部に響くような場所。ああいうところではやってみたらと思うと、ワクワクしませんか?

JK:それ、ぜひ実現させてください! オリンピックでもやりたいわね。

大倉:あ、それもいいですね。One of themとして(笑)

JK:大倉さんにとってMASACAは何ですか?

大倉:マサカ、ね。こういう鼓の家に生まれて、紆余曲折もしたけれど、最終的に戻ってきてやるようになった。その時にオートバイもずっと好きだったんですよ。

JK:初めて見たときに乗っててびっくりした! パンクの人かと思ったわ! 今日も革ジャンを着て。

大倉:アメリカ公演したときは「Japanese Rock!」って言われた(笑)まあ、オートバイが好きだからずっと乗り続けていたんだけれど、スポンサーにもなってもらったりもしたんです。そのうち、有名なオートバイデザイナーの石山篤さんって方と知り合って、毎回僕の舞台を見に来てくださって。10年ぐらい経ったときに、「今度モーターショウ見に来て」って言われて、行ったんです。そしたら、タイトルが「鼓動」っていうんです。「鼓の音からデザインしたんだよ」って。「あなたの演奏を聴いてて、そういう表現をデザイン化したのがこれなんだ」って。

JK:うわぁ、見てみたい。それ乗ってますか?

大倉:乗ってますよ! 2005年かな、製品化したの。

JK:そのオートバイの音も鼓の音に似ているんですか?

大倉:そう、鼓のインパクト、そういうパッションはこれだろうって言って、エンジンの大きさまでこだわっちゃった。何度も私の舞台を見に来ていただいたり、鼓のことをご紹介している間に、ピーン!とひらめいた。それはマサカでしょう! それでメーカーが作って製品化しちゃった。今だったらもっと売れたかもしれないね(笑)今もし作っていればね……大ヒットしたかもしれない。

JK:今からでも遅くないんじゃない? 今も乗ってるんでしょう? じゃあそれで宣伝して。蒔絵を入れたりとか(笑)

大倉:そうね、蒔絵とか漆のきれいなコーティングをして。本当にジャポニズムをオートバイで出す。

JK:あ、こうして見るとよくわかった! ここが車輪みたいで……やっとつながったわ。だいたい大倉さん、おうちが厳しいからはみ出てるのよ(笑)そうなるんだろうな、とわかるけど、ようやく鼓とオートバイがつながった(^^)

=OA楽曲=
M1. 六助 / 大倉正之助

M2. 獅子/ 大倉正之助

「コシノジュンコ MASACA」
TBSラジオで、毎週日曜17:00-17:30放送中です。ラジオは、AM954kHz、FM90.5MHz。パソコンやスマートフォンでは「radiko」でもお聴きいただけます。