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肩の痛みは五十肩だけではない!肩の痛みとその対処法

森本毅郎 スタンバイ!

肩は日常生活で最もよく使われる関節です。痛みがあったり、動かせる範囲に制限があると、生活に支障をきたしやすいのが肩の痛みです。そんな肩の痛みや、肩が動きにくくなるのが五十肩ですが、症状が似ていて五十肩と間違いやすい「腱板断裂」という病気もあります。「五十肩」と「腱板断裂」は、原因も治療も違うので、誤った判断をしてしまうと逆に症状を悪化させてしまうことがあります。

そこで、4月22日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、肩の痛みの種類や対処方法などについてお伝えしました。

★五十肩とは?

五十肩は四十肩とも言われます。これは同じ疾患で、正式な病名は「肩関節周囲炎」といいます。「肩関節周囲炎」という病名の通り、肩関節の周りの不調や炎症で起こる病気です。30歳代から60歳代で発症し、病名の通り50歳代に最も多く起こります。通常は左右どちらか一方の肩に起こります。五十肩の症状としては「肩が重だるい感じがする」「肩を動かすと、ときどき痛い感じがある」「肩甲骨がスムーズに動かない」、また「左右の肩の高さや形が違う」などの不調も起きます。また、特に注意しなくてはいけないのは「肩に痛みがあって動かない」や「肩だけでなく腕までが痛い」などの症状がある人は、放っておかず、きちっと整形外科の専門医を受診した方がいいです。

★五十肩の治療は

五十肩の治療は、痛みの程度によって変わってきます。

まず急性期です。炎症が強くて痛みも激しい時期です。発症から3ヶ月程度続き、夜眠れないほどの激痛が起こることもあります。この急性期は無理をすれば肩を動かすことはできますが、無理に動かすと炎症が悪化します。そのため急性期の治療は、痛みを軽くするために薬物療法=薬を使います。

具体的には非ステロイド性の消炎鎮痛薬の内服です。また患部に直接注射して強力に炎症を鎮める「ステロイド薬」や、同じく注射薬の「ヒアルロン酸」が使われます。本当の意味での急性期は2週間くらいですので、しっかり薬で対応します。そして、無駄な力がはいらないように安静にしておくことが、最も重要となります。重いものを持ったり、無理に動かしたりするのは避けてください。

次いで、炎症が少し治まり痛みも軽くなると慢性期と呼ばれる時期に入ります。慢性期は3ヶ月から6か月程度は続きます。慢性期には薬物療法と併せて、状態を見ながら運動療法を開始します。

運動療法の基本はリラクゼーションです。肩の周りの筋肉からすっかり力を抜いて、肩関節を慢性的なストレス状態から解放します。そのほか、腕をダラっと落としてその腕の重みを感じることも大切です。これだけで、肩関節や筋肉が伸びて、内側の筋肉のインナーマッスルが自然と収縮します。このような肩の運動を行い、少しずつ肩の動かせる範囲を広げていきます。

そして、最後は回復期に入ります。回復期には薬物療法を中止して、運動療法だけを行います。運動療法を続けることで、肩を自由に動かせるようになります。

五十肩の多くは自然に良くなります。ただ放置していると、回復に1年半以上かかったり痛みは取れても肩や腕の動きが悪くなることがあります。適切な時期に適切な治療を行えば、早い人で発症から3ヶ月から6ヶ月ほどで痛みが取れて動きも良くなります。

★腱板断裂とは

一方で、この五十肩に症状が似ているんですが、全く違うのが「腱板断裂」という病気です。

筋肉と骨のつなぎ目を腱といいますが、肩関節では4つの筋肉の腱が集まって板のように見えることから腱の板=腱板と呼ばれています。腱板断裂は、スポーツや加齢によってもろくなった腱板が擦り切れて、肩に痛みが出たり動かしにくくなる病気です。これは、利き腕側の肩に起こりやすいのが特徴です。

腱板断裂には、腱板が完全に切れる完全断裂と、一部が切れる不全断裂があります。腕が上がらない、動かすと痛むなど五十肩と似た症状が起こるのは不全断裂です。

そんな腱板断裂になりやすい人は、テニスや野球などの腕を上げるスポーツをする人。仕事で重い荷物を持つ人、肩の骨の骨折や脱臼などの怪我をしたことのある人です。また加齢とともに腱板断裂の発症頻度は高くなり、80歳代ではおよそ30%が腱板断裂を起こしているという研究報告もあります。

整髪や洗髪、また服を着る際に、肩関節がこわばって腕を動かしにくくなります。腱板が断裂しても、ほかの腱板が代わって働いてくれます。だから、しだいに痛みが治まり、腕を自由に動かせるような人もいるのです。ただ、あまりに肩の痛みが強く夜も眠れない程だったり、腕を上げられないという場合には早めの治療が必要です。

★腱板断裂の治療は?

急性外傷で始まった時には、三角巾で1、2週安静にします。断裂部が治癒することはありませんが、70%は保存療法で症状が軽くなります。

保存療法では、薬物療法と運動療法が行なわれます。まず非ステロイド性の消炎鎮痛薬などの薬物療法が行われます。そして、痛みが治まってきたら運動療法を行い、ほかの腱板を鍛えるようにします。

それでも痛みが強くて生活の質が極めて悪い場合には手術を検討します。直視下手術と関節鏡下手術に大きく分けられ、患者さんの状態などに合わせて選択されます。

直視下手術は肩を10㌢程度切開して、断裂した部位を直接見ながら腱板をつなぎ合わせます。手術時間が短く、腱板をより強固につなげられるためリハビリを早く開始できます。

関節鏡下手術は、肩に1㌢程度の小さな孔を5カ所程度開けてモニターを見ながら手術します。今は、多くの医療機関が、関節鏡下手術になって来ています。

どちらの手術も早ければ3、4日で退院できますが、つなぎ合わせた腱板が完全にくっつくまでには時間がかかります。ですので、激しく腕を動かすと再び断裂することがあるので、安静にする必要があります。

退院後は、定期的に整形外科を受診しながら慎重にリハビリを行います。順調に進めば、4ヶ月から6ヶ月後には自分で腕を上げたり、軽めの荷物なら持ち上げられる。

このように、肩の痛みのといっても種類があり、それぞれ治療の方法も違ってきます。だから、肩の痛みも放っておかず、きちっと整形外科で検査を受けるのが基本です。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190422080130

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