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多様な背景、事情から「今夜、行き場のない人」を支える 「東京アンブレラ基金」▼人権TODAY(2019年4月27日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・多様な背景、事情から「今夜、行き場のない人」を支える「東京アンブレラ基金」

 

担当:崎山敏也

クラウドファンディング中。(2019年4月27日現在)

 

何らかの事情や背景から、自分が安心して、安定して住める場所を失い、「今夜、行き場のない人」を支える「東京アンブレラ基金」が発足しました。行き場がなく途方にくれている人が雨露をしのげるように、アンブレラ、傘をそっと差し出すという基金で、具体的には、安価なホテルやネットカフェなど緊急避難的に泊まる場所を確保するためです。路上生活者だけでなく、家はあっても安心して住める状況ではない、広い意味で「ホームレス状態」にある人が対象で、中心になって、運用などにあたるのは、一般社団法人「つくろい東京ファンド」です。そしてこの基金の特徴は、支援団体の枠を越えたものであること。取材、放送した2019年4月の時点では、7つの団体が協力し合っています。

例えば、2019年の1月から都内で運営されている、LGBTを含むセクシャルマイノリティの当事者のための個室シェルター、「虹色ハウス」。これまでに3人の方が、それぞれに利用し、次のステップである、新しい仕事や住まいにつなげたそうです。ただ、実際にはもっと多くの相談がありました。運営スタッフの一人で、NPO法人「ぷれいす東京」代表の生島嗣さんは「例えば、親からのバッシングで行き場を失った方、職場で受けたセクシャルハラスメント、パワハラの中で居場所を失ってしまった人。自分がゲイ男性でということが分かったとたん、差別、偏見、そういうことになり、着の身着のまま逃げてきてしまった方からの相談もあったりしました。虹色ハウスを運営する中で、セクシャルマイノリティがどうやって住む場所を失って、困難の中にいるのかということを、見聞きしたことを、ぜひ皆さんと共有したいな、と思っています」と話します。

自治体のシェルターなどはほとんど同性の相部屋で、拒否感があるゲイ男性もいます。また、トランスジェンダーの人の場合、安心、安全であるためにも「虹色ハウス」は個室なのですが、始まったばかりで、今は一部屋です。なので、埋まっている時に、緊急の相談があれば、今後、「東京アンブレラ基金」を利用して、当座、泊まるところを確保します。(運営は「LGBTのハウジングファーストを考える会・東京」)

また、日本に逃れてきたばかりの難民の支援にも使われます。NPO法人「難民支援協会」は日本に親戚も知り合いもいない、言葉もわからない状態で、迫害などから逃れてきた外国人難民のためのシェルターを確保していますが、財政上のこともあり、数が十分とまでは言えません。難民申請をしたあと、今の制度では公的支援を受けるまで時間がかかり、支援を受けられない難民も多いんです。日本政府の難民認定にまつわる課題も見えてくるようです。難民支援協会代表理事、石川えりさんは「一時的なシェルターというのが、2年、3年の難民申請を待つ期間過ごす場所になるという可能性もありますし、公的支援につないでいくといったモデルが作れない、というところが、非常に苦労している点です。そのあとのことも見通しが立たないまま、ご本人がなんとか生きていくというのを日々考えなくてはいけないですし、ご本人としても今後どうしたらいいのか、見通しが立たない中で、私たちは、解決策が限られる中で、ご本人の思いを傾聴していくという形です」と話します。「緊急支援」を行なうことで、様々な背景や課題が見えてきます。

「東京アンブレラ基金」には他に、「子ども食堂」や学習支援に取り組む「NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」、10代の若者たちの相談、支援に取り組む「一般社団法人Colabo」、池袋を中心に路上生活者の支援を行なってきた「NPO法人TENOHASHI」、人身取引をなくすための活動をしている「NPO法人人身取引被害者サポートセンターライトハウス」、原発事故の避難者の相談、支援に取り組む「避難の協同センター」が加わっています。

「つくろい東京ファンド」は、加わっている団体で緊急の支援が行なわれたら一泊3千円、一人4泊まで基金から出します。そして、プライバシーに配慮して、どういう事情、背景があったのかなど、使われた実績のデータを集めます。そのデータを分析し、課題をより見えるようにして、支援や、政策提言につなげるのが東京工業大学の大学院生が中心になって作った市民団体「ARCH」です。目の前の課題に取り組むためでもあり、また、本来あるべき公的支援を実現、充実させるため、調査協力という形で加わっています。共同代表の河西奈緒さんは「同じことを抱えていても、制度上とか、みんな、難民といえば、難民という一種類の人がいて、LGBTと言えば、そういう一種類の人がいて、みたいな頭になってしまいがちなんですが、皆さん一人ひとりの個人とか家族とかであって、私たちの枠みたいなものを取り払えれば、実は同じ悩みがいろいろなところにあったということが、お互いわかったし、それがつながって、今回のアンブレラ基金というものをやろうという風に一緒に立ち上がったこと自体がとても意義深いと思います」と話します。

放送した4月27日から10連休、という人も多いかもしれませんが、長い連休は、日雇いの仕事が無くなったり、何かあった時、役所などの公的窓口が閉まっていたりと、「今夜、行き場のない人」には厳しい期間です。「東京アンブレラ基金」は連休期間にテスト運用を予定し、さらなる募金も呼びかけています。

東京が「誰にとっても安心して暮らせる街」になるための新しい動き、試みです。

https://camp-fire.jp/projects/view/127236 (「東京アンブレラ基金」のクラウドファンディングのページ)