お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ

職場はお風呂です?! 岸惠子さん

コシノジュンコ MASACA

2019年5月5日(日)放送
岸惠子さん(part 1)
女優、文筆家。1957年に結婚のためフランスに渡って以来、日本とフランスで女優として活動。また、海外での豊富な経験を活かして、作家、ジャーナリストとしても活躍しています。

出水:お二人の出会いはいつごろですか?

岸:つい最近なんですよね。去年の11月ぐらい?

JK:そう、飛行機で。

岸:帰り? いえ、行きですね。ご一緒の飛行機だったんですよ。

JK:私としては、岸惠子さんと言うともう憧れの方でしょう! あっいる!っていう感じ。すごく自然にお話しされてね。「ソニア・リキエルさんが亡くなったでしょう」って。

岸:ソニア・リキエルがまだニットの小さなお店をパリのはずれでなさってたころから、彼女のものを着てたんです。

JK:ソニア・リキエルが一番似合ってたわね。

岸:ソニアというのはね……ごめんなさい、私好きだから夢中になって話してしまいますが、最初のうちは「太った人とか、体型の悪い人には着てほしくない」って言って、サイズを38までしか作らなかったんです。それもひとつのポリシーとしてすごいでしょう。

JK:でもすごく着やすいニット。ストライプとかね。でも古くならないんですよね、ナチュラルだから。

岸:そうなの。これなんか10年ぐらい前に買ったんですよ。着心地がいいんです。洋服を意識しないでも、ぴたっと身に沿ってくれる。でも、あの方にもインタビューさせていただいて、あの時にも素敵な洋服を下さって。とっても個性的で、素敵な方でした! でも亡くなっちゃったので……。それでジュンコさんに飛行機でお会いしたから。偶然というのは活かすべきだと思ってるんです。運命として。

JK:私もうれしかったわ、お会いできて。

岸:それで今度舞台をやるんですけど、一幕目は一人語りなので、あんまり洋服が個性的では困るのでパリで買ったものを着るんですけど、二幕目にコシノさんのとっても素敵なドレスを着させていただくんです!

JK:飛行機のご縁からっていうのもいいですね。私も飛行機の中でいろんな考えが出てきて。デザインしたのも飛行機の中で書いたものが多いんです。紙がないから、目の前のノートとか新聞とかに絵を描いたりしてました。急に思いつくから(笑)

岸:私は毎日ノートを持っています。その時々、いい言葉だな~と思うことを書いてみたり、ふっと思い浮かんだことを書いてみたり。これは舞台で話そうと思ったんだけど、私よく独り言を言うんですよ。独り言じゃなくて、会話になっちゃうんです。

JK:じゃあ、相手役もやるの?

岸:やるんです。ナレーションもいれちゃう(笑)それをどこでやると思います? お風呂のバスタブの中でやるの! 大きな声で言って。パリで一度、自分で講談師になったつもりで、お風呂場の中で韻を踏んでやってたら、娘が「どうしたのママ、二階まで聞こえるわよ!」って(^^)で、それらのことをエッセイにするんです。

岸:ちょっと前に『愛のかたち』っていうのを出したんですけど、最後が「南の島から来た男」。それは全部、お風呂場でやったことを書いたものです(笑)地の文までつけちゃって。

JK:へぇ~(^^)でも、お風呂場ってペンもノートもないじゃないですか?

岸:だから、あとで思い出すの。一週間ぐらい経ってから、「あの時面白いこと言ってたなぁ」って、それで書いたり。

JK:お風呂場ねぇ! じゃあ、男の声も出しちゃったり?

岸:そう! 掛け合いの会話。「その時空は青かった」なんてね。

JK:テープに録っとくとかすればいいのに。お風呂の中に仕込んでおくの。

岸:そうなったら……できないわよねぇ(笑)なんとなく、ムラムラっとしてやるのがいいんですよ!

=============================

岸惠子 ひとり語り「輝ける夕暮れ」

日時:2019年5月18日(土) 14:00 開演(13:15開場)
会場:新宿文化センター 大ホール
出演:岸惠子
料金:全席指定 6,500円(未就学児童は入場不可)
お問い合わせ:0570-00-3337(サンライズプロモーション東京)

全国10か所で開催!

=============================

出水:このトークショウは毎年恒例だそうですが、今回で何回目の開催ですか?

岸:去年はやらなかったんですよね。4回目です。最初の2回は『わりなき恋』という私が書いた小説を、お芝居モドキの一人語り全部やったんですけど、それを皆さんに大変喜んでいただいて、最後泣いてくださった方までいて。それを2年やりました。3年目はトークショウにしたんです。『夢の後先』……いつも恥ずかしいタイトルを付けちゃうんですよね! みっともない(^^;)

JK:今年は『輝やける夕暮れ』(^^)

岸:ちっとも輝いてないですけど。輝きは自分で呼び寄せる者だと思って。まぁいいでしょう!と思ったんですけど、ちょっと恥ずかしいですね(^^;)

JK:大丈夫、輝いてますよ! 『わりなき恋』ってわりに珍しい。

岸:これは清少納言の曾おじいさまに藤原深養父という歌人がいらして、その方が古今和歌集に書いた句なんです。旧仮名遣いで「わりなき」と書いて、いまの言葉でいうと「断りなき」。つまり、理由がない、どうしようもないという意味です。昔のおばあさんなんかが、「あんたはわりない子ね」って言ったんです。やんちゃで言うこと聞かなくて、っていうこと。

心をぞわりなき物と思ひぬる見るものからや恋しかるべき――藤原深養父(古今和歌集)

岸:私、これはすごく素敵だと思って。「今会っているのに、もっと会いたい」って歌ってらっしゃる。深養父さんは「わりなし」という言葉を使って2首古今和歌集に書いているんですが、私は偶然読んだんですよ。あんまり古典は読まないんですけど。

JK:情熱的ですね。切ないですよね。

岸:切ないですよね。もう長い話で、4年かかって書きました。今回は『わりなき恋』を2年間かけてやったので、リピーターがいらしてくださるから、同じものをやったら失礼だから、凝縮版で。ここはもう一度読んでみたいというところを50分ぐらいに縮めて。2幕は、これから何を話そうか考え中なんですけど。

JK:でも楽しみだわね。これからお風呂に入って、考えて、独り言言って(笑)

岸:朝お風呂に入らないと、ぴっとしないんです。夜はお風呂に入らないと寝つきが悪い。私、すっごい不眠症なんです。

出水:きっと、ぎりぎりまで頭の中で推敲したり考えていらっしゃるんじゃないですか?

岸:なんかいろんなものが詰まってて……フランスでもいろんな問題があるし。両国に家を持ってると大変です。麻薬じゃないけど、睡眠薬を60年間ぐらい飲んでるんです。フランスに初めて行ったときに、あまりにも文化が違っていて、しかも素晴らしい家庭に舞い降りちゃったもんで、やっぱり不安定だったんでしょうね。結婚した相手が医者だったんですが、第2次世界大戦のときにドゴール将軍がナチスドイツから救おうと、ロンドンに亡命して「自由フランスよ、立て」と呼びかけたんです。そこに、ピレネーを越えて行った12人の医科学生のうちの1人なんです。12人行って10人亡くなったんです。

JK:ええっ、本当に?!

岸:2人しか生き残っていないんですけど。ノルマンディー上陸作戦の時にも若い医師として参戦しているんですよね。それで私があんまり眠れなくなったので……「何にもしなくていい」って言われるのが一番つらくありません?

JK:そうですよ。優しい言葉じゃないですよね。酷ですよ。

岸:私をあまりにも大事にしてくれるがために、料理人もいて、家政婦さんもいて、その下に下働きの女中さんがいて、秘書がいて。私、何にもすることがなかったんです。それが私をむしばみ始めて、だんだん眠れなくなった。自分ができることといったら、お茶とお華をやっていたので、お客様がみえるとすっごいお花を活けるんです。みなさんは「素晴らしい」と言ってくださったけど、うちのブルターニュ生まれの頑固な働き者の女中さんは、「マダム惠子の花は建造物みたいで目立ってしょうがない」と言って、ばらばらにして活け直したんですよ。それがもう限界で。主人が5分で彼女を辞めさせちゃった。そしたら今度はそれが重荷になって。何十年もいた人ですから、ボロボロ泣いちゃって。私は自分の洋服とかバッグとかいっぱい差し上げて。主人も解雇するのはつらかったでしょうし……そんなことが重なって眠れなくなりましてね。すごく辛いです。飲まないと眠れないし、飲んでも眠れない。

=OA楽曲=
M1. Bal, petit bal / Francis Lemarque

M2. Boum! / Charles Trenet

「コシノジュンコ MASACA」
TBSラジオで、毎週日曜17:00-17:30放送中です。ラジオは、AM954kHz、FM90.5MHz。パソコンやスマートフォンでは「radiko」でもお聴きいただけます。