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ドラクエ5を語る大沢在昌さん「知り合いの直木賞作家が『小説勝てないじゃん!』と言っていた」

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ

■ドラクエ5は、人としてビアンカですよ

「マイゲーム・マイライフ」のゲストは前回に引き続き、小説家の大沢在昌さんです。まずは大沢さんの「マイベストゲーム」の話から始まりました。


大沢「『ドラゴンクエスト5 天空の花嫁』ですね」

宇多丸「5!」

大沢「これはやっぱり、ゲームで奧さんを選ばなきゃいけないというのが、実に苦しい流れの中で、まあ結局全部選んでみるっていうね。しかもこの天空の花嫁って三代に渡る物語じゃないですか。小説だったら大河ロマンですよ! これもすごい。しかもそれを飽きさせずプレイさせるというのが気に入りましたね」


宇多丸「ストーリー運びとしてもやっぱり見事ですか?」

大沢「序盤で主人公が捕まって、奴隷にされてしまうというところも、まるで冒険小説じゃないか、と。当時、作家の逢坂剛という直木賞作家がいるんですけど、『ゲームってそんな面白いの?』って言うから、こんな話もあるんだよって言ったら、『それすごいな! 小説勝てないじゃん!』って逢坂剛さんが思わず口走ったということがありました」

これはすごい! 直木賞作家に「小説勝てないじゃん!」と言わしめるとは……です。
ちなみに大沢さんはビアンカ・フローラではビアンカ派。一応、フローラの姉であるデボラ(リメイク版にのみ登場)含め、ビアンカ以外にも選んだことはあるようですが、最後はやっぱり「人としてビアンカですよ」とのことです。デボラはその超ツンデレなキャラクターが面白いので、意外と楽しい冒険ライフを送れて悪くないんですけどね。

そして今回の放送では、大沢さんの小説家という職業ならではのお話も非常に面白かったです。小説とRPGとの類似点について、大沢さんはこう語ります。

宇多丸「ちなみに、ご自身の小説にゲームからの影響をフィードバックしたことはありますか?」


大沢「んー、ロールプレイングゲームはね、私立探偵ハードボイルドと似ているとは思います。つまり、主人公が(ゲーム内で)経験値を上げていくってことは、(小説における)主人公の探偵が一生懸命いろんな人に会って、いろんな情報を仕入れていって、最後真実に突き当たるという、ロープレのゲームに近いかもしれないです」

宇多丸「最初は五里霧中の状態なのが、少しずつ霧が晴れていって」

大沢「経験値が上がっていくにつれて、情報量が増えていくというのもよく似ている。ただまあ、あまりそれを繰り返すと、ゲームと違って、小説の読者にはそんなもの飽きたよって言われますから、そこは考えなきゃいけない部分ですね」


宇多丸「やっぱり、分かりやすい一方向に行くだけでもダメなのが小説でもある」

大沢「はい」

宇多丸「面白いですね。同じストーリーを語るにも、メディアによって最適解というのがあるんですね」

大沢「あとはキャラクターですね。特に今ハードボイルドなんかは、主人公がトラウマを抱えていたり、家族問題で悩んだりとか、僕の嫌いな余分な要素が多いので。それがまあ、小説だから許される、小説の魅力だ、と考える作者や読者もいますが。僕はあまりそういうの興味ないので」

宇多丸「そぎ落としたい」

大沢「はい。そういうところも好みは分かれるところですね」

宇多丸「それもゲームのプレイヤーキャラクターに対する考え方とお近い感じがしますよね」

大沢「そうですね。だから僕はFFよりドラクエなので」

そして、大沢さんは小説とRPGについて、このようにまとめます。


大沢「結局、RPGの元をたどっていけば、テーブルゲームだし、さらに言えば、神話じゃないですか。それは小説も同じなので」

宇多丸「物語ですもんね」

大沢「神話から出てきて、小説になったのか、ゲームになったのか、枝分かれだと思うんです。根っこは一つだと思うんで」

今回のお話を聞いていて思ったのですが、もしかしたら、ドラクエ派かFF派かで、好みの小説のタイプにも傾向が現れるのでしょうか。こちらは今後の研究課題とさせていただきたく思います。

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ

■今回のピックアップ・フレーズ

大沢「(ゲームのしすぎでやらかしてしまったことは)ないです。それはないです。でも、原稿の一回の掲載料を値切ったことはありますよ(笑)。連載50枚っていうのを、30枚にしてくれない? って。『なんでですか?』って聞かれて、『いや、バイオの新作が出たから』」

文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)

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