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武田砂鉄×阿武野勝彦「分かりやすかったね」は、心に届かなかったときの言葉

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5月10日(金)のゲストは、「ヤクザと憲法」「人生フルーツ」、最近では「さよならテレビ」など、話題になるドキュメンタリーを世に出し続ける、東海テレビの阿武野勝彦プロデューサー。武田砂鉄さんと、ドキュメンタリーのお話の他、大津の保育園児が巻き込まれた事故の記者会見についてや、メディア論も。

武田砂鉄×阿武野勝彦http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190510162737

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

阿武野:今、テレビはどういう位置にあるのかというのは非常に難しいと思っていて。特に地上波のテレビをどう思っているのかと。私も還暦を迎えて、テレビに38年在籍したんですけど、テレビの位置取りはずいぶん変わってきた。これからテレビはどうなっていくべきかということを考えてみる機会として、自分達を取材対象にして、今テレビのニュースの現場はどうなっているの?ということを、自画像というか、裸というか。もう一度、地域の人たちと繋がるきっかけにしたいと思って「さよならテレビ」を撮ったんです。

■逆転する価値観にテレビは追い付けるのか

阿武野:街で取材していて「ちょっと取材中ですので、道をこちらに」と言うと、「何でお前らのためにそんなことをしなきゃいけないんだ」と言われることがあるんですね。またカメラが向いてたら「私が映ってたら使わないでね」と明確に言われたりとか。昔は「いつ放送するの?」だった。重かったものが軽くなって、軽かったものが重くなるというプラスマイナスが真反対に入れ替わる。私たちはそれに付いて行けてるのかと。とりわけ、デスクという作業をしている人たちや、テレビの経営者たちは世の中を分からないまま、テレビは依然として皆の憧れであるように思ってたり、取材されて嬉しいと思ってたりするのは間違いなんだなと思うんですよね。

武田 :その逆転に丁寧に対応するんじゃなくて、阿武野さんも講演会で仰ってるのを読みましたが、「じゃあモザイクを入れよう、テロップを入れよう。それで説明をすれば分かってくれるでしょ?」という、上から目線という言葉はあまり使いたくないですが、やっぱりそういう傾向は出てきますよね。

阿武野:あと、社会ももっと取材に対して寛容にあるべきだと思います。いろんなこと知りたいですし。元々テレビの世界に入ってくる人は、自分が見つけてしまったものを皆に言わずにはいられない、ある種のサービス精神の旺盛さみたいなものが根底にあって、そこに悪意はないんですよね。こういうものを見つけましたと、出来るだけいろんなものをオープンにやり取りして、こんな考え方、あんな考え方みたいな、多様なものの考え方というのを、社会の側も取材するメディアに対して入れ込む意識はあった方がいいと思うんですよね。

■「分かりやすさ」への反抗

阿武野:いくつも仕事して、「タブーに挑戦している」とか「境界線を行く」とか言われるんですが、そんなつもりは全くなくて。逆にそう言われることは、自分達に出来ないことをやっていることを言ってるだけに過ぎなくて、やらない自分を許すための言葉なんじゃないかと同業者としては思いますね。

武田 :阿武野さんのインタビューで納得したのは「同情する映像作りに落とし込むな」と。「分かりやすく作ろうとしない」というのがテーマだと。僕も分かりやすさに対して抵抗感や反抗心があって。テレビ見てて思うのが、箇条書きにして分かりやすく伝える。「今の北朝鮮情勢を3つのポイントで話しましょう!」とか、「カルロス・ゴーンについて、パネルで紹介しましょう!」とか。それを見ると、こぼれているものがあるわけですよね。阿武野さんの作品を見てると、箇条書きにさせないというか。後味も悪いでしょ(笑)
幸坂 :そうですね(笑)

武田 :これをどういう風に思えばいいのか。だからこそ皆語りたがるし、もう一度リピートしたくなるし。それが本来映像を見るとか、僕で言うとテキストを読むとかのことだと思うんですけどね。

阿武野:「何が言いたいのか分からない」とよく言われるんですが、「よしっ!」と思うんです。分かりやすいとうのは、一番価値が高いことではない。「分かりやすかったね」と褒められても嬉しくないんです。それは、その人の心に届かなかったから、すぐ「分かりやすかった」と言う。今はネット検索で、すぐ分からなきゃいけない世の中に、スピード化していて。すぐに分からなくてもいい状態に置いておくというか、分からずに置いておく能力が人間にはあるんじゃないかと。10年20年経って、「あの映画のあのシーンはああいう意味だったのか」とか、「あのニュースのあの企画はそういう意味か」みたいな、ふっと蘇ってくることってあるんじゃないか。テレビマンなので、そうじゃなくても分かりやすく作っちゃうものですから。そこはあえて、分かりやすさに特化しないというところは最大限話し合いますね。

約30分にわたるトーク、全編はradikoのタイムフリーでお聴きください。

武田砂鉄×阿武野勝彦http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190510162737

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