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C世代

森本毅郎 スタンバイ!

忙しい朝でもニュースがわかる「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)8時からは、話題のアンテナ「日本全国8時です」

全国ネットで、日替わりゲストとともに放送。
毎週木曜日は、東京大学名誉教授、月尾嘉男さんの「雑学コラム」!

月尾嘉男

解説は東大名誉教授の月尾嘉男

5月23日(木)は「C世代」

C世代

今週は先週の「Z世代」に続いて、さらに新しい「C世代」をご紹介します。

先週はアメリカを中心に世代ごとに名前が付けられ、現在の年齢で表現すると、45歳から60歳くらいになっている人々が「X世代」、25歳から45歳くらいが「Y世代」、10歳から25歳くらいが「Z世代」と分類されていることを紹介しました。

世代の特徴に影響しているのは新しく利用できるようになった情報手段で、X世代はテレビジョンと電話、Y世代はパーソナルコンピュータとインターネット、Z世代はスマートフォンとWiFiのような何処でも何時でも利用できる通信回線ということです。簡単に言えば、時間と空間に制約されない方向に情報世界が拡大してきたことになります。

X,Y,Zと進んできて、この先はどうなるのかと心配されていたかと思いますが、新たに登場してきたのが「C世代」です。

一気にCまで戻りましたので、以後はD,E,Fと当分、頭文字に困らないことになったのですが、これはイギリスの新聞「フィナンシャル・タイムズ」のアメリカ版の編集長ジリアン・テットが提唱している世代概念です。

★カスタマイズ

実はC世代は2010年代の初期に別の意味で登場したことがあります。

この時の「C」は(パーソナル)コンピュータ、常時接続のコネクテッドなどZ世代の特徴に近い概念ですが、今回、提案されている「C」はカスタマイズ、自分の好みに編集する世代という意味です。かつて音楽を聴くというと、限られた小遣いでレコードやCDを買う、映画を見るというと、これも限られた小遣いでビデオテープやDVDを買う。文字情報を読むというと自分の資金の範囲内で新聞や書籍を買うというように、わずかな限られた情報源から選ぶというライフスタイルでした。

しかし現在、アップルミュージックであれば月額1000円程度の料金で5000万曲の音楽、キンドルも月額1000円程度の料金で120万冊の書籍、Huluであれば、これも月額1000円程度で5万本の動画という膨大な情報から選り取り見取りの世界が登場してきました。

そこで新しい世代は膨大な情報源から自分の趣味や思想に合わせて自由に選択、すなわち編集する=カスタマイズすることが可能な社会に生活しはじめています。

これは情報の世界だけではなく、モノの世界にも波及しています。

★サブスクリプション

今年の1月に新しい消費の形態としてサブスクリプション=定額購入という流通方式が登場しているということを紹介しました。

生活費を節約して購入したわずかな洋服を何回も着るという生活様式ではなく、メチャカリであれば毎月7000円程度の金額で、数万着の洋服の中から自由に選んで借りて、1回着たら返却して、何度でも新しく借りることができます。

せいぜい1着あたり700円から800円で選り取り見取りで選ぶことができるという生活が可能になっています。

自動車も新品を買って、ローンを払いながら何年も同じ自動車に乗るのではなく、ノレルというサービスでは月額4万円から8万円で多種類の中から選んだ自動車を借りて乗ることができるということです。

ここまでであれば、新しい消費生活が登場したということですが、C世代を提唱しているジリアン・テットが分析しているのは、世界の政治がカスタマイズ、すなわち自分の好みを選ぶ方向に動いているということです。

★政党も多種多様化

独裁国家を別にすれば、かつては多くの国で政党は保守と革新の二大政党が対立するという構図でした。

ところが日本では現在、国会に議席を持つ政党だけで10党があり、保守と革新と明確に分けることができない状態です。

フランスでも極右のル・ペン党首が率いる「国民連合」から、マクロン大統領が率いる中道の「共和国前進」、極左の「労働者の闘争」まで11の政党が存在しています。

ドイツでは連邦議会に議席を持つ政党だけでも、昨年までメルケル首相が党首であった「ドイツキリスト教民主同盟」をはじめ7政党、それ以外にも4政党があります。

イタリアでは下院か上院に議席を持つ政党が18もあるという状態です。人口1000万人のスウェーデンでも国会議員を擁する政党だけで8政党も存在しています。

アメリカは一般に歴史のある共和党と民主党の二大政党で構成されていると理解されていますが、党員10万人以上の政党は他に2党あり、さらに連邦制ですから州単位で活動する政党などは50近く存在しています。

その二大政党の一つ民主党の次期大統領選に立候補しようとしている人が現状では26人もいるということもC世代を象徴しています。

この現状を一言で表現すると多種多様ということになりますが、それこそが情報社会の特徴を象徴していることになります。

第一に情報は違う内容に価値があり、同じ内容には価値がないという特徴を持っていますから、その結果、社会は多様になることが必然の結果ということです。

トランプ大統領は確かに共和党所属の大統領ですが、その政策は伝統的な共和党の方針と同じではなく、よく言えば課題ごとに最適な政策を提唱し、悪く言えば思いつきであるという意味でもカスタマイズですし、その内容を一般社会に伝達するのはツイッターというSNSを駆使しているという意味でもC世代を象徴する政治家といえなくもありません。

第二に、かつては少数の意見を多数の人々に伝えるのには適切な手段がないか、あったとしても大変に費用がかかって誰でも多数の人々に意見を伝えられなかったのですが、現在ではSNSで、ほとんど費用をかけずに多数の人々に簡単に主張を伝達できるし、選挙活動に必要な資金もマイクロファンディングによって簡単に集めることができるようになっています。

このような巨大な転換が進行している中で、未だにマスメディアと呼ばれている放送や新聞がもっともC世代から遠く離れているのかもしれません。どのように時代の変化に合わせるかは重要な課題だと思います。

月尾嘉男の日本全国8時ですhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190523080130

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