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痛い、理解されない、そして正しく診断されない「強直性脊椎炎」

森本毅郎 スタンバイ!

ある日、突然、激痛が走り、やがて体が硬直していく難病「強直性脊椎炎」。早期発見して治療していくことが大切な病気ですが、お医者さんも見落とすことが多く、何年も間違った治療をされるケースが多いんです。

そこで、まずはこの病気を知っていただくために、そして近年では新しい薬が出て効果が出ていますので、そのことも知っていただくために、5月27日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、この「強直性脊椎炎」について取り上げました。

★強直性脊椎炎とは

「強直性脊椎炎」、強いに、直線の直、性格の性で、強直性ですが、この病気は、英語名の頭文字をとって「AS」とも呼ばれます。

原因不明で、ある日突然発症する病気で、はじめは、背中や腰、お尻や股、肩や膝、そして、かかとなどが、激しく痛む、あるいは、体がこわばる、という症状が出ます。激痛でのたうちまわり、腰が曲げられなかったり、逆に伸ばせなかったり、という状態です。

この強直性脊椎炎は、はじめは、ずーっと痛いわけではなく、激しく痛む日があったり、全く問題ない日があったり、と繰り返していきます。また、安静にしていると痛みが増し、運動すると軽くなるのが特徴で、そのため、寝ているうちに激痛が走り目が覚める、そして起きているとおさまったりします。

★重症化すると怖い

発症は、10〜20代が多く、女性より男性が多い傾向があります。40代になると、おさまっていくケースもありますが、およそ2割の方が重症化し、骨と骨がくっつき、固まってしまい、脊椎や関節が1本の棒のようになって、動かなくなってしまいます。

★理解されない辛さ

それも曲がった棒のようになるので、体が前かがみのまま固まってしまい、体をひねって振り返ることもできず、会釈すらできなくなる辛い病気です。会釈できないため、「なんであいつは挨拶もしないんだ」と誤解され、怒られることもあるそうです。理解されないのも、この病気の辛い部分です。

★正しく診断されない

さらに辛いのが、この強直性脊椎炎は、他の病気と間違えられることが多いことです。座骨神経痛や、ヘルニア、椎間板ヘルニア、関節リウマチ、ぎっくり腰などなど、いろいろな病院をたらい回しにされて、間違った手術をされてしまうこともあります。発症してから、強直性脊椎炎だと正しく診断されるまで、平均すると、およそ10年近くかかっているというデータもあります。10年ですから、当然、その間に進行し、重症化して行ってしまうケースも多いわけです。

★なぜ誤診が多いのか

まず、血液や体の組織を調べて「強直性脊椎炎で間違いない」と断定できる検査はありません。問診や触診と、MRIやCTなどを見て、強直性脊椎炎だと推定することになります。ところが、情けない話なんですが、日本では、患者の数が3万人と、比較的少ないため、この病気を専門とするお医者さんが育っていない、少ないということがあります。そのため、似たような痛みの別の病気と間違えてしまうというわけです。これではダメです。

★強直性脊椎炎の治療

治療は、主に整形外科で、主に薬によって行われますが、残念ながら、完全に治す治療は開発されていません。40代になると自然とおさまっていくケースはありますが、進行し、重症化したものを治すことはできない、辛い病気です。ただ、近年、薬が発達して、進行を抑えることもできるようになってきました。

薬による治療は、まずは消炎鎮痛剤から始まります。ロキソニン、ボルタレン、セレコックスなどと呼ばれる薬が、比較的よく効き、骨が強直するのを防ぐ効果もあると言われています。また、手足の関節炎が中心の場合は、抗リウマチ薬を飲んだりすることもあります。時には、ステロイド薬の局所注射という選択肢もあります。

★最新の注射薬で効果

それでも効かない場合は、生物的製剤と呼ばれる特殊な注射による治療となります。この注射による治療が、近年進化を続けて、効果をあげています。

その最初の薬がまず、2010年に発売された、「ヒュミラ」という薬です。強直性脊椎炎では、炎症を引き起こす特殊な物質が大量に出ます。このヒミュラという薬は、その特殊な物質にひっついて、攻撃できないようにしてしまいます。

さらに、その特殊な物質を作る細胞にもひっついて、その細胞を殺してしまうのです。2週間ごとに1〜2本、注射していくと、12週目で、患者さんの3割で症状が70%以上改善、別の3割で症状が50%以上改善したという結果が出ています。60週まで続けると、およそ6割の方、がかなり楽になったということです。

さらに、このヒュミラでも効かない人に対して、今年、新たに「コセンティクス」という注射の薬が承認されました。これも、痛みを引き起こす体内の特殊な物質に結びついて、痛みを抑える薬です。この「コセンティクス」は、最初の1か月は毎週、注射して、その後は4週間ごとに注射します。16週以内に効果が出始めて、治験では、3割で痛みやこわばりが50%以上和らいでいます。

どちらの注射も、保険適用なので、患者さんの負担は限られていますので、安心です。

★必要なのは早期発見

とはいえ、どちらの注射も、重症化してしまった場合は、効果が上がりません。その意味でも、早期発見が重要なので、正しく診断されるまで10年かかっている今の状況は、改善してもらいたいものです。まだまだ専門医が少ない状況ですが、「順天堂医院の整形外科・スポーツ診療科」には、この強直性脊椎炎の専門外来があります。英語の略称をとって「AS専門診」です。

こちらには、ご自身も強直性脊椎炎と戦っている専門医がいて、とても診療が充実しています。強直性脊椎炎ではないかと思われる方は、こちらを訪ねてみてもいいでしょう。

★股関節硬直には手術も

今回は、一般的な強直性脊椎炎についてお話してきましたが、重症化して骨が固まった場所が「股関節」部分に限られていれば、そこを人工関節に変える手術が受けられる場合もあります。大きな手術ですので、メリット、デメリットを医師によく聞き、必要ならセカンドオピニオンも求めて、納得して受けるのがいいでしょう。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190527080130

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