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赤ちゃんへの感染防ぐ!新たな薬や検査が保険適用に

森本毅郎 スタンバイ!

赤ちゃんの病気というと、妊娠したお母さんがウイルスなどに感染することで、赤ちゃんに発達の遅れなどが出てしまったりする感染症があります。その赤ちゃんへの感染症について、ここ最近、治療薬や検査が続々と保険適用になっています。

そこで、6月3日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、赤ちゃんへの感染症の早期発見・早期治療に結びつく新たな薬や検査について取り上げました。

★赤ちゃんへの感染症とは?

妊娠中にお母さんが感染した結果、お腹の中にいる赤ちゃんに感染して、生まれてくる赤ちゃんに異常をきたすことがある感染症があります。

  1. それが、毎年、出生児のおよそ3000人以上が感染して、その3分の1の1000人程度に障害を発生させる「先天性サイトメガロウイルス感染症」。
  2. もう一つが、年間でおよそ130から340人に発生する「先天性トキソプラズマ感染症」です

この2つの感染症について、新たな検査や治療薬が保険適用になりました。

★先天性サイトメガロウイルス感染症とは?

まず新たな検査が保険適用になったのは先天性サイトメガロウイルス感染症です。妊娠中に感染すると赤ちゃんへの影響が心配される病気です。

サイトメガロウイルスは、唾液や尿などを通じて、多くが子どものうちに感染します。乳幼児から感染する場合が多く、上の子どもと妊娠中のお母さんが食器を共有したり、食べ残しを食べたりして感染することが多くなっています。

健康な子どもや大人には無害なありふれたウイルスなので、妊娠中でなければ感染しても問題はないのですが、妊娠婦している場合、様々な症状が出る恐れがあります。

症状としては、脳症やけいれん、網膜症や白内障など視力の障害、皮膚や体の組織が黄色くなる黄疸、肝臓・脾臓の腫れなど脳や目、臓器に先天的な障害を残す場合があります。

★先天性サイトメガロウイルス感染症の課題

重い障害が起きる恐れがあるのですが、症状が目立たない子もいます。そのため、確定診断されず適切な対処の機会を逃す例が多いといわれています。

例えば、誕生直後の聴覚のスクリーニング検査では「要再検査」で難聴の疑いがあった。それにも関わらず、妊娠や出産が順調だったり、感染しても症状が出ないことも多く、大丈夫だろうということで、そのままにしてしまうケースがあるのです。その結果、重度の難聴が残ってしまうのです。

こうした中で、去年1月に保険適用になったのがサイトメガロウイルスに感染しているかどうかを調べる新たな検査方法です。

★先天性サイトメガロウイルス感染症の検査方法

とても簡単な検査方法で、「サイトメガロウイルス核酸検出」と言う検査名です。検査の対象となるのは、先天性サイトメガロウイルス感染が疑われる生後3週間以内の新生児で、尿の中のサイトメガロウイルスを検出するというものです。およそ2時間以内で判定できます。

これまでも新生児の検査方法はあったのですが、今回の新生児の尿を使った検査方法は既存の検査に比べて感度が高いということです。近年、先天性サイトメガロウイルス感染による症状が見られる赤ちゃんに対して、早期に抗ウイルス薬で治療を行うことで難聴や精神遅滞を抑えられることが分かってきている。

今回の検査方法で、早期に適切な診断が行え、治療に結びつくと期待されています。

★先天性トキソプラズマ感染症とは?

トキソプラズマは寄生虫の一種です。ネコのフンを通じて広がっていきます。そして、豚や馬、牛、鳥などに寄生する。生肉や加熱不十分な食肉を食べたり、園芸、砂場遊び、洗浄不十分な野菜・果物を介して、トキソプラズマが口から体内に入ることで発症します。

通常は、健康な成人に感染しても、ほとんどの場合は症状が無く、およそ1割の人に風邪に似た症状が出ますが、数週間で回復します。

ただ、妊婦さんが初めて感染した場合には、トキソプラズマが胎盤を介してお腹の中の赤ちゃんに感染します。すると、赤ちゃんに脳症やケイレン、低出生体重、肝機能異常などを起こすほか、何も症状がない状態で生まれても、その後、視力障害や発達障害が出てくることがあります。また、流産や死産になる恐れもあります。

先天性トキソプラズマ感染症にも課題

治療にはこれまで公的医療保険が適用となる薬がなかったんです。こうした中で去年8月、治療薬として初めて公的医療保険の適用となったのが「スピラマイシン」という薬です。

「スピラマイシン」は、海外で30年以上前から使用されている薬だったんですが、保険が利かず、処方する医療機関も限られていました。ただ、日本産科婦人科学会などが国内でも使えるようにしてほしいと要望していてようやく保険適用になりました。

服用方法は、妊娠中の感染が分かった時から、1日3回、2錠ずつを出産まで飲み続けます。海外の報告では、重症で生まれてくる赤ちゃんを8割以上減らす効果があったそうです。

この「スピラマイシン」が保険適用になったことで、妊娠中に検査を受ける人が増えることにつながるのではないかと思います。そうなると、早期発見につながり重症化を食い止められるほか、病気が見逃されるということが減ると思います。

一方で、先天性サイトメガロウイルス感染症は、生後3週間までの赤ちゃんで、尿の検査が保険適用となりました。このように早く発見されると、難聴などを改善する薬もあります。主治医と相談して、的確に対応を決めるようにしてください。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190603080130

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