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1cm以下の早期発見なら5年生存率86%!膵臓がんの早期発見を

森本毅郎 スタンバイ!

膵臓がんは、がんのなかで最も発見や治療が難しいとされています。膵臓がんは、近年増加傾向にあり、死亡者数が年間3万4000人を超えています。さらに、全体では5年生存率が7%と、極めて厳しい状況です。

こうした中、膵臓を早期に発見できる検査法も進歩していて、超早期に発見できれば長期生存も可能です。

そこで、6月3日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、膵臓がんの検査方法、治療方法などについて取り上げました。

★膵臓がんとは?

膵臓は、胃の後ろにある、長さ15cmほどの左右に細長いオタマジャクシの形の臓器です。年間死亡者数は肺がん、大腸がん、胃がんについで死因の第4位となっています。

日本の膵臓がんは近年増加傾向にあって、毎年3万人以上の方が膵臓がんで亡くなっています。膵臓がんで亡くなった方は、この30年で8倍以上に増加しています。膵臓がんと新たに診断される人数は、男性では1年間で10万人あたりおよそ29人、女性では1年間で10万人あたりおよそ26人と男女ほぼ同じくらい発症します。

年齢別では、60歳頃から増え、高齢になるほど多くなります。

そして、膵臓がんの発症には、膵がんの家族歴、糖尿病の発症・悪化、慢性膵炎、膵のう胞などとの関連が指摘されていることは、覚えておきたいポイントです。

そんな膵臓がんは、特徴的な症状がないことから早期発見が難しいがんのひとつです。早期の状態では、腹部の違和感や食欲不振、体重減少などが出ることがありますが、他の病気でも起こるような症状がほとんどです。もう少し進行すると、腹痛、腰・背中の痛み、体重減少、黄疸等で気がつくことが多くあります。そのため、膵臓がんと診断されたときには、およそ50%が進行した末期がんの状態で見つかることが多いのです。

★膵臓がんは早期発見が重要

膵臓がんの長期生存には、がんをごく小さい段階で発見することが必要です。特に1cm以下で発見できれば、5年生存率は86%と高くなります。

一方、1cm〜2cmでの発見では、50%に下がってしまいます。ですので、より小さな時に発見するために、小さな変化を見逃さないことが重要です。

膵臓がんができると、ごく小さい段階から「主膵管の拡張」または「膵のう胞」という病変が現れることがあります。主膵管の拡張とは、すい液が分泌されるすい管の幹に当る部分が拡張することです。すいのう胞とは、すい液などのたまった袋がすい臓の中にできるものです。これらを見逃さないことが重要になってきます。

★変化を見つけるには?

これらの変化を見つけるには腹部超音波検査が有効です。腹部超音波検査はおなかの上から超音波を当てる簡単な検査で、多くの医療機関で受けられます。この検査で小さいがんを見つけるのは困難ですが、先ほど説明した初期の病変である「主膵管の拡張」や、「膵のう胞」などの間接所見なら比較的見つけることができます。

こうした検査などで膵臓がんが疑われると、精密検査でCTやMRI検査が行われます。それで疑わしいと、最終的な精密検査の超音波内視鏡検査です。超音波のついた内視鏡を胃まで挿入し、超音波で胃の後ろの膵臓を詳しく観察する検査です。これなら1cm以下のがんも発見できます。さらに組織を採取して、がんを早期診断します。

★早期に発見するための試みが続々

こうした中、近年、膵臓がんを早期に発見するための試みが続々と出てきています。

1つ目が、膵臓がんの有無を、血液中の遺伝子を調べることで判定する国内初の検査キット。ベンチャー企業の「キュービクス」が開発したのですが、かなりの確率でがんを発見できます。

金大附属病院など北陸三県の10の病院でおよそ200人を対象に実施した臨床試験の結果、早期のがん患者さんに対して、およそ80%の割合で陽性反応を示したそうなんです。一般的な腫瘍マーカーによる血液検査はおよそ30%なので、格段に数値が高いことがわかります。

早ければ1年後の製品化を見込んでいるということですが、将来的に保険が適用されれば、1万円程度で検査を受けられる可能性もあるということです。

★ほかの早期発見方法も

もう1つは、国立がん研究センターが膵臓がんを効率的に見つける新しい方法です。

血液中の特殊なたんぱく質の量を調べることで、早期の膵臓がんや、慢性膵炎など「がんを引き起こす可能性の高い病気」を見つけ出す方法を開発しました。この方法で陽性となった人に詳細な画像診断を受けてもらうことで費用を抑えつつ、膵臓がんを手術ができるうちに効率的に見つけ出す研究を進めています。

この方法は有用性を科学的に証明するため、2017年度から3年間でおよそ1万5000人を対象とした臨床試験が行われていて、今年度は札幌で実施されています。有効性が証明されると、実際の検査にも活用されることが見込まれています。早期発見できるようになると、発見後の治療も違ってきます。

★膵臓がんの治療は?

膵がんの治療は、がんの状態や進行度などによって異なります。

精密検査の結果、膵臓がんが膵臓内に限られている場合手術が治る可能性のある治療法となります。特に1cm以下で発見できれば5年生存率は80%と高くなります。

精密検査の結果、他の臓器に転移が見つかった場合や、がんが膵臓の近くの主要な血管に広がっている場合は、抗がん剤や放射線療法を選択することになります。

最近では、手術ができるかどうか迷う場合は、まずは抗がん剤を行って、その効き具合によって、その後に手術ができるようになる患者さんが増えてきています。また、手術の後にも抗がん剤を行うことで、膵臓がんが根治する可能性がより高まります。

★改めて早期発見のポイント

膵臓がんの治療もしっかり進歩しています。免疫細胞を使った臨床試験も始まっています。しかし、膵臓がんは発見が遅れがちで、膵臓がん全体の5年生存率は7%にすぎません。それをアップさせるには、やはり1cm以下の早期発見が何より重要だと思います。

現在は、現実的に膵臓がんになりやすい人がいます。膵臓がんになりやすい人は、

  1. 「家族に2人以上膵臓がんになった人がいる人」
  2. 「糖尿病の発症・悪化」
  3. 「慢性膵炎の有る方」
  4. 「膵のう胞のある方」

このような方は超音波内視鏡を受けて下さい。初期の病変「主膵管の拡張」や、「膵のう胞」があれば、精密な検査へ進んでください。消化器内科で、膵臓がんに力を入れている病院では行っています。是非受けてください。

怖いすい臓がんですが、1cm以下で見つかると、5年生存率は86%あります。今はこの段階で発見するに限ります。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190610080130

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)