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争点は「年金」より「消費税」「格差」 政治学者・中島岳志さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
6月15日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、政治学者で東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の中島岳志さんをお迎えしました。

夏の参議院選挙が近づく中で、「老後2000万円問題」が争点に急浮上。与党は火消しに躍起、一方の野党は鼻息荒く攻勢を強めています。「今日はぜひ参院選の話をさせてください」とやってきた中島さんが注目するポイントは…?


中島さんは1975年、大阪府生まれ。専門は政治学や日本政治思想など。インドの政治運動の研究で注目され、その後は保守派の論客として活躍。この番組では去年「保守と革新」をテーマに取り上げたときにスタジオでお話を伺いました。これまでに『「リベラル保守」宣言』、『保守と立憲』など多くの本を出版し、「保守」を自認する安倍政権に対してはこれまでたびたび問題点を指摘してきました。先月(2019年5月)出版した『自民党 価値とリスクのマトリクス』では安倍総理をはじめとする自民党の9人の政治家を徹底分析し、いまの自民党政治の本質をあぶりだしています。

なぜいま山本太郎に人々が集まるのか


本のあとがきで中島さんは、選挙の街頭演説で見せる立候補者たちの態度に目を光らせていると書いています。同じように政治学者の岡田憲治さんも新著『なぜリベラルは敗け続けるのか』のあとがきで街頭演説について書いています(岡田さんにはこの日の「今週のエンターテインメント」コーナーにコメントを寄せていただきました)。

「山本太郎くんの最近の街頭演説の写真をネットで見たんですけど、ものすごい人が集まってるんですよ。かつての小泉純一郎・田中真紀子コンビの街頭演説並みに集まっていて、これどうしちゃったのかと思ってびっくりしちゃったんです。彼、去年この番組に来たときにはまだ自由党にいて、それをお辞めになって自分で新しいグループ(れいわ新選組)を立ち上げたんですけど、そんなに話題にはなっていなかったと思うんです。なんで街頭演説にあんなに人が集まるのか疑問に思ったんです」(久米さん)

「まだ大手のメディアが取り上げていないんだけど、おそらくインターネットを通じて支持が広がっているというのが現状なんです。2年前に枝野幸男さんが立憲民主党を立ち上げてひとつの大きなブームを作り出したんですけど、あれと何が同じで、何が違うのかというのが非常に重要なことだと思うんです」(中島さん)

立憲民主党にいまはなぜ風が吹かず、山本太郎さんに風が吹いているのか。それを分析することが現時点での最大のポイントだと中島さんは考えています。2年前の枝野さんといまの山本さんが同じところは、大きな逆境の中で、2人ともどうしても主張したいことがあってひとりで立ち上がった姿。一方、違っている点は、地方の農家や中小企業の人たち、商店主といった旧来、自民党を支持してきた人たちが、いま山本さん支持に流れてきているというところ。これは2年前の立憲ブームとは違うと中島さんは言います。

争点は「年金」より「消費税」「格差」?


「先週、街頭演説の動画マップを公開している『チャリツモ』の船川諒さんという方に興味深い話を聞いたんです。若い人がなぜ投票に行かないのか船川さんがインタビューしてみると、若い人は選挙に関心がないわけじゃないんだけど、『自分が投票した人がもしとんでもない人だったら責任が取れない。それが怖い』という人がかなり多いというんです。だから彼らに情報を提供して、ちょっときっかけがあれば、彼らは投票に行くよって。そういうネットを見ている若い人たちの心に届く可能性があるわけですね、れいわ新選組は」(久米さん)

「データでも出ていますけど、立憲民主党を支持している中心的な層は年齢の高い人たち。それに対して山本太郎の支持層はかなり若い世代に食い込んでいる。これもまた違うポイントなんです。山本さんが目を向けているのが、若い層の貧困の問題です。いま年金問題が出ていますけど、若い人たちにはぴんとこないと思うんです。それより、大学の奨学金でローンを組んで借金を背負って社会に出てきて、あっぷあっぷしている。また、日本全体で言うと30%を超える人たちが預貯金ゼロ世帯。こういう状況の人たちに対して『いまの社会はおかしいじゃないか』と率直に声をあげているのが、いまの山本太郎。それが、彼の話を聞いてみようという流れになっていると思います」(中島さん)

野党は共闘できるの?


「野党は共産党を含めて共闘すると言ってるんですけど、できそうなんですか?」(久米さん)

「まず、1人区で候補を統一したというその努力は高く評価すべきだと思います。しかし、もうひとつ大事な〝理念の統一〟。これが必要なんですが、ここがやっぱりばらけてしまっていると思うんです。どこに目を向けるのか。例えば、安倍内閣になって進んだのが格差であり、経団連中心主義であり、一部の富裕層ばかりが得をする社会。こういうところにメスを入れて、何が争点なのかをしっかりと提示するというのがとても重要です。そのためには消費税というのは非常に大きな関心事だと思うんです。上げるのか、下げるのか、というところからそれぞれが経済政策やビジョンを語る。それが参議院選挙の投票率を上げるためにも重要なんじゃないかと思います」(中島さん)

政治家の「ことば」をしっかり読もう!


中島さんは、「いま政党は自分たちの理念を丁寧に説くことより、キャッチーな広告的なもので支持を集めようとすることが多くなっている」と警戒します。そういう中で私たちは、政治家がどういうビジョンを持っているのかということを、過去の発言を系統立てて見てみるということを忘れがちです。だからこそ、いま改めて政治家たちの「ことば」に耳を傾けて、どこにどんな問題あるのか分析し、指摘することが重要だということでした。

中島岳志さんのご感想


ぼくにとって久米さんは「ザ・ベストテンの人」というより「ニュースステーションの人」なんです。ぼくは東欧の改革、ソ連崩壊、細川内閣…全部、久米さんのニュースを見てこうなった(=政治学者になった)ので(笑)、その方といまの政治の話をすごいテンポで交わせるというのはとても幸せな、楽しい時間でした。

今日、本当は久米さんに聞きたかったことがあって、それは、久米さんがぼくの本(新著『自民党 価値とリスクのマトリクス』)の帯に「語られた言葉から、政治家を見極める。言葉には、真実もあるが虚構も隠れている」と書いてくださったんです。ここがすごく久米さんらしくて、久米さんは政治家が「イエス」と言っていても、「お前、ノーだろう?!」というのをうまく引き出す方だったんです。それがニュースを見ているぼくたちにとって、いちばんの情報だったんです。政治家のサッと顔色が変わった瞬間をカメラで押さえろよ、という人ですよね。それで「ウヒヒヒ…」と横で言ってらっしゃるという感じなんですよね、久米さんて。

その久米さんがこの本について、言葉の陰に隠れているものをどう読むのかというコメントをくださったことは大変光栄で、今度はぜひ久米さんに、いまの政治家をどう見るのかという話をお伺いしてみたいなと思いました。ありがとうございました。





「今週のスポットライト」ゲスト:中島岳志さん(政治学者)を聴く

次回のゲストは、「空調服」開発・市ヶ谷弘司さん

6月22日の「今週のスポットライト」には、いまや夏の工事現場では必須アイテムとなっている熱中症対策の作業着「空調服」を開発した株式会社空調服の会長、市ヶ谷弘司(いちがや・ひろし)さんをお迎えします。小型のファンで外気を取り入れて快適な体感温度を保つ空調服。大手ゼネコンや電力会社などにも採用され、年間生産100万着の急成長!

2019年6月22日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190622140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)