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ペルーで流行する「ギラン・バレー症候群」とは?

森本毅郎 スタンバイ!

難病の「ギラン・バレー症候群」が南米のペルーで大流行していると報じられました。

「ギラン・バレー症候群」は、「手足に力が入らない」「手足がしびれる」症状から始まり、顔面神経が麻痺したり、呼吸困難などを引き起こす病気で、最悪の場合、肺血栓、心停止などの合併症によって死亡する怖い病気です。

実際ペルーでは、死亡者も出て、健康上の非常事態宣言が出される異常事態となっています。ペルーというと遠いですが、世界遺産のマチュピチュなど人気観光地があり、夏休みに向けて多くの日本人も訪れるので注意が必要です。

また、この病気は最近では「ジカ熱」との関連も指摘されています。ジカ熱については、近年、日本でも近年ニュースになっており、ひとごととも言い切れません。

そこで、6月17日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、この「ギラン・バレー症候群」について取り上げました。

★ギラン・バレー症候群とは?

ギラン・バレー症候群は、免疫が自分の神経細胞を攻撃するために、手足のまひなどが起きる、自己免疫疾患と呼ばれる病気です。

第一次対戦中の1916年、フランスで急激な運動痲痺を訴えた患者の症例を解明した、ギランさん、バレーさんの2人の医師の名前がついてギラン・バレー症候群となりました。

現在のところ、原因ははっきりしていないのですが、感染症が引き金になるとみられています。

★症状は?

まず、ギラン・バレー症候群を発症する前段階があります。ギラン・バレー症候群の患者さんの6割から7割が、発症の1〜3週間前に、風邪のような咳、発熱、咽頭痛、頭痛、食中毒のような下痢などの感染症の症状がでます。そして1〜3週間経つと、「左右の手足のしびれ」や「筋力の低下」などの症状が出てきます。

その後1〜3週間で症状は急速に進行し、両足全体や腕にもおよんで、歩けない、階段を昇れない、といった状態に至ることがあります。患者さんによっては、飲み込みにくい、声が出にくい、物が二重に見える、呼吸が苦しい、などの重い症状も起こることもあり、時には人工呼吸器が必要となることもあります。また、死に至ることもあります。

通常なら、症状の悪化は4週間以内で止まり、その後は改善していく傾向がみられます。回復には時間がかかりますが、3か月から1年で徐々に回復し、安定します。ただし、重症化した場合は、何らかの障害が残る方が2割くらい出てしまう病気です。

★具体的な症状とは?

以前、朝日新聞が報じた患者さんの例では、会社帰りにひざに力が入らなくなって、転びそうになり、診療所へ行くと「脳卒中かも」と。紹介された病院で診察を受けた際「最近、食中毒のような症状はなかったか」と聞かれ、1週間前に食中毒のような下痢になり、食事が取れなかったと伝えたところ、「ギラン・バレー症候群」ではないかと言われました。そして、精密検査の結果、病気が確定したそうです。

この方は、歩けなくなり、手も力が入らず、食事も自力ではままならなくなってしまい、寝たきりで、手足が、爪や髪の毛のように、力が通わない場所に感じたそうです。症状が落ち着いて半年後に車椅子で退院、手すりを使って立てるようになるのに1年。箸を持つような細かい作業ができるようになるのに5年かかったそうです。

★何科を受診するのか?

手足がしびれる、力が入らないなど、ギラン・バレー症候群が疑われる場合は、「神経内科」で診てもらいましょう。

診断では、先ほどの例のように、手足の状況に加え、主に1〜3週間前に食中毒など何らかの感染症があったか、問診によって確認します。ギラン・バレー症候群が疑わしい場合は、神経を刺激して筋肉の反応を調べる検査や、脳脊髄液を採取して調べる検査、そして自己免疫を調べる血液検査などを行います。これらの検査を受けて、ギラン・バレー症候群と診断されたら、治療に入ります。

★治療は?

治療法は、歩くことが不自由になるなどしている場合では主に2つの治療法を受けます。

1つは、点滴を行う方法です。「免疫グロブリン」という薬を、4時間から6時間かけて点滴する治療法で、5日間連続して点滴します。

もう1つは、血液浄化治療です。血液を取り出して、そのなかの有害物質を取り除いてから体内に戻す治療法です。1回の治療では3時間から4時間程度かけて、足の付け根から入れた管を通して全身の3分の2程度の血液を抜いて、有害物質を除去した後に再度体内に戻していきます。血液浄化療法は、症状が落ち着くまで、毎日、あるいは1日おきに行います。

★治療の効果は?

症状が軽い場合は、短くて3ヵ月から4ヵ月程度で元の生活まで戻ることができます。ただ、先ほどの方のように、重症の場合は、数年を要します。また「筋力の低下」については、患者さんの7〜8割が、元の筋力に戻りますが、残りの2〜3割は、筋力が低下したり、わずかな手足のしびれが残ったりするケースも。

★罹らないようにする方法は?

ギラン・バレー症候群そのものの、直接的な予防法は特にありません。ただ、発症は、食中毒などの感染症、そしてジカ熱などとの関連が指摘されています。そのため、これらを予防することで、ギラン・バレー症候群の予防とする事はできるでしょう。

ギラン・バレー症候群のきっかけとして、鶏肉を主な感染源とするカンピロバクターによる食中毒が知られています。この予防には、「肉は中心部まで十分に加熱する」「肉に触れた調理器具は使った後は消毒する」「肉を触ったらよく手を洗う」

そして、ペルーでは蚊が媒介する「ジカ熱」が発症している地域で、ギラン・バレー症候群が多いと指摘されています。ジカ熱を媒介する、ヒトスジシマカやネッタイシマカに刺されないように予防しましょう。虫除けに加え、長袖の白いシャツ、白の長ズボンを選んで、肌を露出しないように。最近では、ジカ熱は海外だけではありません。国内でも注意が必要です。

一方、重症化の予防として、早期に病院にかかることも重要です。ギラン・バレー症候群は、風邪や下痢が治った後、手足のしびれ、麻痺が重くなります。風邪や食中毒の症状の後、1〜3週間後に急速に脱力の症状が出たら、神経内科の受診を。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190617080130

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