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将棋界も人手不足! 裏方にAIを導入するいろいろな背景

森本毅郎 スタンバイ!

今日は「将棋とAI」についてのお話です。将棋とAIの関係といえば、プロ棋士とAIが対戦して、勝った負けたというのがたびたび話題になりますが、今日は、先週発表された将棋の裏方にAIを導入するという話です。どんなものなのか、6月25日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

 

 

まずは日本将棋連盟とともに発表を行なった、株式会社リコーの馬上 勇人さんのお話です。

★棋譜を自動で記録する、将棋のAI記録係!

株式会社リコー 馬上 勇さん
今回、日本将棋連盟さんと共同で「記録係を自動化する記録システム」を開発しました。現在プロの公式戦の対局では必ず記録係がついていて、実際に指したプロ棋士の棋譜を解くという作業がある。それを自動化する仕組みで、天井からカメラで撮影してクラウド上のAIで棋譜を生成して将棋連盟のデータベースに取り込むという流れになります。本格的な導入は来年度の4月からと考えています。

棋譜は、音楽でいう楽譜みたいなもの。プロ棋士の対局で指される平均120手を、一手一手記録していきますが、これをAIを使って自動でできるようにする。というもの。記録係はすごく大変で、朝10時から始まって日付を超える場合もあるプロの対局を一人の人が担当しています。

★記録係の人手不足の原因①

ではこの記録係はどんな人がやっているのか。そして導入に至った背景を聞いてみました。

日本将棋連盟 荻間 祟暢さん
導入に至ったのは、記録係の不足が経緯です。現状、棋士の育成機関である奨励会員が行なっております。プロになる前の修行段階であるプロ棋士の卵といえる存在です。ここ10年で棋戦、トーナメント戦が増加していて、そのため各対局に記録係が必要だが対局が増えたことでその分、奨励会・記録係の不足が将来に向けて危惧されています。

現在は男性棋戦、女性棋戦あわせて年に3000局が行われています。これは10年前より500〜600局増えていて、いままで担当してきたプロ棋士の養成機関である奨励会の人だけでは足りなくなってきている。場合によっては、1人の記録係が2局を並行して記録している場合もあるそうです。将棋人気からタイトル戦が増えるのは喜ばしいことなんですが、その分記録係が足りなくなってきているんです。

★記録係の人手不足の原因②

さらにもうひとつ、記録係の人手不足の原因があるんです。再び荻間さんのお話です。

日本将棋連盟 荻間 祟暢さん
 もうひとつの原因は、最近はプロになるために修行しながら大学進学・高校進学も原因。授業に出席するには記録係を休まなければならない。昔はプロになるために、中学を卒業して東京に出て師匠の家の近くに住むのが多かった。いま現在、10代でのプロ棋士は藤井聡太のみだし、ここ数年でプロになった人は、大学卒業後や在学中にプロ合格になっている印象を受けます。

14歳でプロデビューした藤井聡太7段のイメージが強いですが、現在、10代のプロは藤井プロ一人だけで、藤井7段も、現在 愛知県の高校に通っています。奨励会には年齢制限もありますし、高校や大学に通う奨励会員が増えたことで、お昼の対局の記録係ができず、人出不足になっているという背景もあるようです。(※奨励会のルール=基本的には満21歳までに初段、満26歳までに四段に昇段できなかった場合は退会となる)

だからこそ、AIを使って自動で記録を取ろうという動きが活発化しているんですが、実はこのAIシステムにも面白い背景があるんです。本当はこのシステム、将棋のために作られたものではないんです。

★原点はバックギャモン!?

実際に開発を担当した、日本バックギャモン協会に所属している、株式会社リコーの木曽野 正篤さんのお話です。

株式会社リコー 木曽野 正篤さん
バックギャモンというのは、日本では「西洋すごろく」と呼ばれていて、2人で対戦して駒を進めていくゲーム。世界的には3億人プレイヤーがいると言われていて将棋よりも多い。真剣に競技としてやっている人は、将棋と同じように棋譜を記録して自分のプレイを分析する。それをいちいち手で入力するのは大変なので、私の趣味としてアプリを作った。それがプロジェクトのきっかけになります。

そうなんです。このシステム、元々はバックギャモンというボードゲームの棋譜を作るために、木曽野さんが趣味でつくったもの。それを去年の秋、バックギャモンの実力者でもある将棋の森内 俊之九段がたまたま見て「将棋でもできないかな」と提案して話が始まりました。木曽野さんは将棋に詳しくなかったんですが、これもたまたま、リコーには企業日本一を決める将棋の全国大会で7連覇をしている将棋部があったんです。偶然が重なり、去年の秋から1年も経たずに先週 開発を発表ということになりました。

そんな色々な背景があって作られた将棋のAI記録係。来年4月の本格導入に向けて、来月から実証実験が始まります。