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映画『新聞記者』を見て考えたこと

ACTION

興行収入ランキングでトップ10に入り、是枝裕和監督も大絶賛の映画『新聞記者』を見て考えたことは。武田砂鉄さんのコラムです。

武田:松坂桃李さんが演じる、内閣情報調査室というところにいる杉原という男は外務省から出向してきたエリート官僚で、政府に逆らおうとする人たちのスキャンダル作りをしているんですね。情報操作とかマスコミ工作をメインの仕事にしているんですが、例えばレイプ被害にあって実名公表した女性を「あの人は実際は一般の人じゃなくて、野党と繋がりがあるんだよね」と仕立てようとしたりとか、国会前でデモ活動をしている人たちの素性を洗い出そうとしているんですけど。

そんな中、杉原の慕う先輩の官僚が自殺しちゃうんですね。これも森友・加計学園問題のときに実際に自殺された方もいるので、そういったものを思い出させるような作りになっていますね。

内閣情報調査室って実際に存在する組織で、内閣が直接管轄しています。内閣官房のホームページを覗いてみると、「内閣の重要政策に関する情報の収集及び分析その他の調査に関する事務並びに特定の秘密の保護に関する事務を担当」していますということでね、何やってるのかよく分からないですが(笑)まぁ内緒のことをやっていると。おそらく政府に不利益になる人物とか情報をチェックしていると言われてますね。

昨日見て「素晴らしい映画だな」と思ったのですが、翌日になって「この映画が何故タブーに挑んだことで賞賛されるのかな?」っていう疑問が出たんですね。映画云々じゃなくて、「こういう映画を作ると俳優さんも出づらいよね?」みたいなタブーをたくさん設定しちゃうのって逆に思うツボなんじゃないかなって思うんです。映画では内閣情報調査室がずっと薄暗い部屋で描かれていて、「この人たち何か悪いことしてるぞ〜」という感じで描かれてるんだけど(笑)本当の悪い人たちってここまで悪い顔をしているか分からないですよね。

で、今日出た広告に「映画こそ真に自由な表現を」と書いてあって、映画はすごいなと思うのと同時に、新聞が自分のオピニオンを発することを恐れているんじゃないかなって思うんですね。

今週のニュースを振り返ると、映画と同じことが起きてますね。

老後2000万円必要ってことで金融庁の報告書が問題視されましたけど、この報告書をまとめた担当局長が退任すると。60歳で定年される方もいますけど、局長クラスだと引き続き務めるケースも多いみたいで、映画を見たあとだと恐ろしいなと思っちゃいますよね。

そのときに、映画の話や「俳優さんは勇気があってすごいね」と称えることも大事なんだけど、何でこういう映画という手法で描く必要があったのか、この閉塞感はどうして生まれたのかを考えるのが大事な気がしますね。「よく描けてますね」じゃなくて、何でこの映画が生まれたのかを立ち返って考える必要があると思います。「映画こそ真に自由な表現を」という広告は、新聞記者が挑発されてるんですよ。そういう風に見ないといけないと思いますね。

現実社会を想起させるような映画が何故作られたのかを考えた武田さん。全編はradikoのタイムフリーで。

7月5日のPARSONALITY ACTIONを聴くhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190705160000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)