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ウニに野菜を与えると・・・

森本毅郎 スタンバイ!

今日はウニのお話です。昨日横浜・みなとみらいの回転寿司で、一般の方向けの新しいウニの試食会があり、変わった特徴のあるウニが登場したということで取材してきました。7月9日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

 

 

まずはどんなウニなのか、神奈川県水産技術センターの臼井一茂さんのお話です。

★キャベツウニ!?

神奈川県水産技術センター 臼井一茂さん
五年前から研究をすすめた「野菜で育てるウニ」。三浦半島ではキャベツが特産で、餌として与えたところ、なんと2~3ヶ月飼育しただけでしっかりと実が入った。そういうことでこれを商品化しようと研究してきた。今回業界の方だけでなく一般の方にも食べてもらおうとこちらで試食をお願いしまして、本日の運びとなりました。


その名も「キャベツウニ」。主に神奈川県から西、九州まで生息しているムラサキウニに、大根やスイカなど色々なものを餌として与えた結果、三浦半島の特産、キャベツが一番よく育って、しっかりと実入りのいいウニが飼育できたんです。

★海の砂漠化現象「磯焼け」

ではなぜキャベツを食べさせたのか、そこには今問題になっている海の課題が背景にありました。再び臼井さんのお話です。

神奈川県水産技術センター 臼井一茂さん
実は海の中は今ひどい状況なんです。「磯焼け」と言って海藻が本当にない。まるで砂漠みたいな状態。これは温暖化とか、南方系の魚が食べちゃうとか色々あるんですが、原因の生物のひとつがウニだったんです。特に三浦半島ではムラサキウニがたくさんいて海藻を食べ尽くしてしまう。駆除されているんですが、ムラサキウニはなんでも食べる雑食性だというので、生産の特定地になっていて必ず生産しなきゃいけないキャベツの流通規格外を分けてもらって、うまくそれを使おうというのが今回の考え方なんです。両方ともやっかいもの、これを組み合わせたら商品になったという一石二鳥三鳥の話がこの取り組みなんです。

現在問題になっている「磯焼け」は、海藻がなくなってしまう海の砂漠化現象。原因は様々ですが、ウニの大量発生もその1つとされています。そこでその対策として、海藻の移植や、海藻を食べてしまう生き物の駆除が進んでいますが、そのひとつが大量にいる「ムラサキウニ」です。

我々が普段 目にするウニは主に北海道で取れる「キタムラサキウニ」で、体積の15%ほどが実になっていて食用になっていますが、三浦海岸のムラサキウニは0〜2%ほどしか実がなく食用にならずに駆除となっていました。しかし、駆除用に捕獲したウニにキャベツを与えたことで、去年飼育したもので平均12・5%、最大では18・6%のウニも育ち、十分食用として活用できるとなりました。

しかもこのキャベツは、毎年処分に悩んでいたというキャベツ。どういうことかというと、三浦市は、国から優遇措置を受ける代わりに、毎年、ある程度のキャベツを必ず生産してくださいとされている「指定産地」。つまり、毎年必ずたくさん生産するので、結果として、毎年必ず流通規格外の売れないキャベツも出てしまう。その売れないキャベツを使う、というわけです。

ようするに、やっかいもの2つを利用して誕生したのが「キャベツウニ」なんです。

★キャベツ+ウニ=甘い!!!!

では味はどうなのか。昨日試食していた方と、最後は会場となった神奈川県まぐろ問屋三浦三崎港の大将にも聞いてみました。

●「食べました。北海道のウニとあまり変わらないと思う、おいしいと思います。キャベツが入っていると感じない。クセがなくてたべやすい。
●「美味しいです。普通のウニ比べて水分が強いかなと思いました。
●「大将です。味は、ニガミもなくてさっぱりという感じ、薬品も使っていないし香りも最高です。やっぱり神奈川県産ということが、うちも神奈川県の名前を使っているので、戦力になると思います。


私も食べましたが、まったく臭みがなくさっぱりしていてすごく甘かったです。

実はキャベツウニを科学的に調査した結果、甘み成分の「グリシン」が多く検出されました。与えたキャベツにはほとんどグリシンは入っていないので、キャベツを食べたことでウニの体内で成分が変わったようです。

ウニとキャベツの相性が良かったというのは新発見だったんですが、実は、ムラサキウニの取り組みを行なっているのは、神奈川県だけではないんです。今度の取り組みは山口県。下関栽培漁業センターの手塚潤さんのお話です。

★キャベツの次はウニ!?

下関栽培漁業センター 手塚潤さん
下関市沿岸の実入りの悪いムラサキウニの実入りをよくして漁業価値を高めようというのが狙いです。下関市ゆかりの野菜、トマトとネギと大葉春菊をあげました。関係者の方に試食してもらった結果、トマトが一番味がよかったという結果になった。水産と農業がコラボできれば、良い取り組みになると思っています。

こちらは現在 商品化を目指し研究している最中ですが、下関ゆかりの野菜をいくつか与えて調べた結果、いまのところトマトが一番良いという結論になりました。

さらにもうひとつ。九州では、九州大の教授が中心となって、ムラサキウニに「クローバー」を食べさせる研究が進行中。四つ葉のクローバーを与えて「幸せを運ぶウニ」を作ろうとしています。

これらすべては磯焼けの悩みから始まった取り組み。磯焼けの原因は様々なので、これだけで解決するわけではないんですが、磯焼けに関するやっかいものを活かすという取り組みは、マイナスではないはず。もしかしたらこれから「ご当地ウニ」が続々出てくるかもしれません。