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糖尿病に朗報!針よさらば?進化する血糖値測定器

森本毅郎 スタンバイ!

日本に、およそ1千万人いると言われている糖尿病患者ですが、その糖尿病患者さんが健康を維持するために毎日、測っているのが血糖値です。血糖値の測定は、1日に何度も指先に針を刺して、採血する大変な作業です。

そうした中、何度も針をささずに、持続的に血糖値の動きをチェックする機械が、急速に広がり始めました。赤外線を利用したり、コンタクトレンズと一体化したセンサーの実用化も見えてきた、ということで、7月15日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、進化する血糖値の測定器について取り上げました。

★糖尿病と血糖値の関係は?

なぜ血糖値の測定が必要なのか、その前に糖尿病と血糖値の関係についておさえておきます。人間は食事から糖質を摂って、それをブドウ糖に変えて、エネルギーにして生きています。このブドウ糖が血液中にどれくらい含まれるか、これが血糖値となります。

血糖値は、通常は膵臓から出されるインスリンというホルモンが働いて、一定に保たれます。ところが、糖尿病になると、インスリンの量や働きが足りず、血糖値が上がってしまいます。血糖値が高い状態が続くと、血管や神経が侵害されて、重症化すると昏睡状態に陥ったり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まり、さらに合併症から失明や足の切断のリスクもあります。

そうならないように、糖尿病では薬が効かない場合、インスリンを注射して、血糖値を調整するわけです。

そして、インスリンを適切に注射するために、自分の血糖値の状態を知る必要があり、そこで、糖尿病の患者さんは、毎日、血糖値を測っているというわけです。

★血糖値の計り方

一般的には、病院で指導を受けた上で、自分で、毎日、測ります。一言で言えば、指先から血を採って、機械で測定する、ということですが、結構、面倒です。

具体的には、まず、測定器にセンサーを準備をして、新しい専用の針を用意します。そして、手をよく洗い、指先を消毒、その指先に針をチクっとさして、血が滲み出てきたら、測定器のセンサーを血に当てて、測定する、という流れになります。

糖尿病の初期は、3回の食事の前後と寝る前、合計7回、一定期間、続ける必要があります。1日の血糖値の動きを正確に把握して、その後の治療を決める必要があるためです。その後、ある程度状況がわかったら、医師の指導で計測される回数が調整されますが、それでも、毎日毎日、針を刺すので、かなり負担で、途中で測定を止めてしまう人もいます。

しかも、この測定や、病院での定期検査だけでは、完璧とは言えないんです。一日中、連続して血糖値を測っているわけではないので、1日の中での乱高下、突然高くなった値や低くなった値までは把握できないんです。

★進化する血糖値の測定器

そこで、最近、点ではなく線で、持続的に血糖値の変化を計り続ける機械が広がっています。

まず登場したのが、体液を測って血糖値をチェックする「持続血糖測定器」というものです。2014年、ヨーロッパで発売され、日本にも一昨年から入ってきた「FreeStyleリブレ」、それから今年、テルモから発売された「デクスコム G4 プラチナムシステム」などです。

これが注目したのは、血糖値と連動している、皮膚のすぐ下の「体液」です。その濃度を連続して測定して記録することで、血糖値の動きを把握する仕組みです。

具体的には、体液を図る小さなセンサー、5百円玉位のセンサーを腕やお腹に貼り付けると、そのセンサーが体液を図り続けて、データを専用の機械や、専用のアプリを入れたスマホに送り続ける、という仕組みです。

一応、言っておかなければいけないのは、この機械は「全く針を刺さない」というわけではないです。

最初にセンサーを取り付けるときに、専用の機械でチクっと指します。その瞬間、皮膚の下に、薄いぺらぺらのチューブのようなものが挿入され、それがセンサーと繋がって、体液を図り続ける、というわけです。針は刺しますが、1日に何度もではなく、また針を刺しっぱなしにするわけでもなく、最初の1回だけチクリなので、負担は少ないでしょう。

これによって、これまでの1日に数回の測定だけでは把握できなかった、瞬間的な乱高下もわかるので、細かな食事や薬の対応ができるようになります。

気になる値段ですが、テルモの「デクスコム G4 プラチナムシステム」は、1週間連続使用できるセンサー付きで1万円です。

海外メーカーの「FreeStyleリブレ」は、本体8千円程度。センサーは別売りとなっています。こちらは、特別な認可を受けた薬局で、誰でも購入することができます。

もっともセンサーは、体に張り続けるので、衛生的にも1週間程度で替えなければいけないので、コストがかかります。このあたりはもう少し安くなってほしいですが・・・これまでの血糖値を連続測定する機械は、数十万円だったので、安いと考えられます。

ただ、こうした機械は、日常の血糖値の動きを連続的に把握し、コントロールするトレーニングに向いているとされます。数週間、集中的に使って自己管理ができるようにするという使い方になり、永久的に使う、という使い方でもないようです。

★問題はないのか?

どちらの「持続血糖測定器」も、直接血糖値を測るものではありません。そのため、医師が求める「血糖値の測定」の代わりにするには、不十分とされてきました。血糖値の測定をしながら、補助的にこうした機械をつかいましょうという位置付けで、機器に添付された文書の使用目的のところにも「補助」と明記されていました。

ただ、その状況も少し変わってきました。今年、「FreeStyleリブレ」の使用目的から「補助」の文字が消えました。「補助」ではなく、血糖値のコントロールの「主体」的な活用に前進しました。安定していれば「FreeStyleリブレ」で検査をおこない、必要な時は血糖値検査を併用する、となりつつあります。一段と、信頼性があがってきたわけです。

 

★今後の血糖値測定器は?

ここまでは1度は針をさす機械でしたが、今、全く針を使わないものも開発されています。

1つは「赤外線」で血糖値を測る装置です。ベンチャー企業のライトタッチテクノロジーが開発しているもので、缶コーヒーのような筒状の装置にセンサーがあり、その部分に指を5秒間、握るだけで、血糖値を測定できます。結果は無線通信でスマホなどに送られ、グラフ化して血糖値の推移を確認できます。開発中ですが、すでに、国際的な機関が定める測定精度を満たしているということで、2021年にも実用化される見通しだということです。

もう1つは「涙」に注目して、コンタクトレンズで血糖値を測る装置です。名古屋大学のチームが開発しているもので、コンタクトレンズに取り付けた小型センサーが、涙に含まれる糖を測定し、連続的に血糖値を割り出すということです。涙の中の糖を使って発電して、自動測定して、データを飛ばす、というすごい仕組みです。発電というとしびれそうですが、10億分の1ワットという極々小さな電力なので大丈夫と。目がいい人でも「伊達コンタクト」としてこちらを装着すれば、測定できるので便利になりそうですが・・・こちらは10年後を目処に、実用化を目指しているそうです。

血糖値の連続測定の手段が広がるのはいいこと。ポイントは、自分を観察する意識を持つこと。食事の時間や内容などもメモしておくと、血糖値の変化と照らし合わせて科学的に対処できます。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190715080130

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)