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武田砂鉄×中村文則「皆が選挙に興味なくても、選挙は皆に興味を持っている」

ACTION

7月19日(金)のゲストは、エッセイ集『自由思考』を出版された作家・中村文則さん。武田砂鉄さんと「今の日本の空気」についての話に。

自由思考

武田:このエッセイ集を読んでると、ご自身がロスジェネ世代という超不景気な時代に社会に出た体験が活きてるのかなと思うのですが。

中村:そうですね、大学卒業が2000年で超氷河期で。僕はフリーターやりながら作家を目指してたんですが、コンビニのバイトの面接が通ったときの倍率が8倍で。それだけ人がいるときで。経験者だからという理由で通ったのですが。

武田:自分が社会に出ていくときに、社会が自分たちの場を用意してくれてないわだかまりは、当時の中村さんは受け入れられましたか?

中村:自分が真っ当な正社員になろうとしてないので、逆にホッとする面がありました。自分がダメでも、皆もダメだから。それよりも国や社会全体が息苦しくなっていることに違和感がありました。

武田:生きにくいとか息苦しいとかって、どういう風に見えてましたか?

中村:学生の頃、ある右派系の本が流行ってたんですね。僕は小説を通じて戦争を読んでいたので騙されなかったのですが、友人が急に当時の日本軍を肯定していて。僕はびっくりして、「あれには利権や財閥が…」と話してたんですが、これは今でもよく覚えていますが、そのとき彼がとても嫌そうな顔をして、「お前は人権の臭いがする」と言われたんです。人権を考えることがすごく嫌そうだったんです。その感覚が非常に気持ち悪くて。

武田:小説家になられた1年半後、2004年にイラク人質事件が起きて、3人の日本人が誘拐されて、犯行グループが自衛隊撤退を要求したんだけど。そのときの3人に対するバッシングがすごくて。そのときに「自己責任論」という言葉も生まれて。

中村:自衛隊撤退は難しい問題として、まず安否を心配するだろうと思ってました。そこで「自己責任」という言葉が登場して。あれぐらいから「本当に社会は危ないな」と思いました。

武田:この間、安田純平さんが3年間拘束されたのち帰ってきましたが、あれだけ自己責任論の議論が行われたにも関わらず、それ以上の自己責任論が噴出しました。

中村:まずはその人の命を心配する国民性のはずだったんですがね。何か号令を掛けられている気がしますね。どうしてもネットの煽りを受けると、影響受ける方もいらっしゃいますもんね。

武田:今の国を包む気持ち悪さの一つに、「自分は今どのような意見を言えばあんまり文句を言われないか」というのを探している気がします。「こっちの意見に付くのが、今大丈夫っぽそう」というのが強まっていますよね。

中村:僕は小説家なので、社会に出して本を出す。読者さんがいらっしゃる。作家が今の社会に危機感を抱いてるのに言わないのは、読者さんへの裏切りかなと。あと萎縮って伝播するんですよね。だから黙るわけにはいかなかったですね。でも僕がこんなことを言うと、「作家は言わなきゃいけない」というプレッシャーになっちゃうのは嫌で。でも、「僕はこう思う」と言うようにしてますね。

武田:「腹の中にはあるけど、言ってない状態」というのは作家だったらやめて下さいと思いますよね。まあでも、「政治的な発言」という言葉がよく取り沙汰されますが、発言の中に政治的じゃないものはほぼないと言っても過言ではないかと思いますね。

中村:そうですよね。今は参院選じゃないですか。投票率の話だと、「選挙に行かないのは責任を放棄する」って言うじゃないですか。実はそれは違っていて、投票権持った時点で責任は免れません。投票行かなかった人の役割は、今の政治状態は組織票で動くような状況にあるので、投票率が低ければ低いほど得をする人がいらっしゃいます。そういう人たちを有利にする働きを、否応なくしています。

武田:かつてある総理大臣は「選挙に行かないで、家で寝ていてくれたそれでいいんだ」と言いましたが、それを望んでいるということですね。

中村:大人になると面倒臭い責任っていっぱいあって、選挙もその1つなんですよね。でもどうしようもないです。行かなければ組織票で勝つ人を有利にすることに加担することになっちゃうんです。本人にその意識が全くないままで。放棄できないんです。面倒臭いかもしれないけど、これはしょうがないです。逃れられないです。皆が選挙に興味なくても、選挙は皆に興味を持ってるんですよね。

武田:「選挙ってどうでもいいよね」という人を、選挙をやる側はめちゃくちゃ見てますからね。

中村:投票率が下がることを望んでる方もいらっしゃいます。投票日当日に人の動きがもし分かって、選挙に行かなければ「よしっ!」とガッツポーズする人もいると思います。こういう選挙の話にイラッとされる方もいらっしゃるかもですがしょうがないです。選挙民になっちゃったので。僕も年取ったなということです。

このあと、メディアでの選挙報道について中村さんと武田さんの白熱した議論が行われています。全編はradikoのタイムフリーで。

7月19日のGUEST ACTIONを聴くhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190719162422

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