お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ
  • 音声あり

知っておきたい食道がんの検査と治療

森本毅郎 スタンバイ!

食道がんは、患者さんが右肩上がりに増えてきているがんの1つです。そんな食道がんは、早期には自覚症状がないだけに、早期発見には定期検診が重要です。一方で、原因となる要因がわかってきているほかに、検査方法や、治療方法なども確立されてきているほか、新たな治療法も出てきています。

そこで7月29日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、食道がんについて取り上げました。

★食道がんとは

食道は、のどぼとけの下ののどから、胃に至るまでのおよそ25cmの細長い管状の臓器です。その食道の内側の表面にできるがんが食道がんです。

食道がんと診断される人の数は、2018年がおよそ2万3000人、死亡者数はおよそ1万2000人です。男性が女性より5倍くらい多い状況です。年齢としては50歳代から増加し始めます。

★食道がんの要因

食道がんは、遺伝など様々な要因がありますが、がんのリスクを高めるものとして「飲酒」「喫煙」「熱いもの・辛いもの」「野菜や果物をあまり食べない」など、生活習慣も関わっていることが分かっています。

アルコールやたばこ、熱い食べ物や飲み物などの刺激を受け、食道の細胞が何度も傷つくと、次第に修復しきれなくなり、がん細胞が発生します。がん細胞ができても通常は免疫の働きで排除できますが、生活習慣が乱れることでがん細胞が排除しきれなくなり、がんを発症します。

また日本人の食道がんのおよそ90%といわれる扁平上皮がんは、喫煙と飲酒に強い関連がある。特にお酒を飲んで顔が赤くなるタイプの人は注意が必要で、お酒を飲み続けるとアセトアルデヒドという発がん性のある物質が分解できずに体内にたまってしまい、食道がんになるリスクが高まりますので、注意が必要です。

★食道がんの自覚症状は?

食道がんは、早期にはほとんどが自覚症状はありません。物を食べた時につっかえたり、引っかかったり感じがすることや、物を食べた時に喉がしみる感じがするなどの症状に気づいた段階では、すでに進行がんの状態です。

このように、早期には自覚症状がないため、多くの方が検診や人間ドックなどで見つかります。そして、食道がんが疑われた場合、精密検査を受けることになります。

★食道がんの検査〜内視鏡

食道がんの検査方法で基本となり、最も重要な検査は内視鏡検査です。内視鏡を口から食道に挿入し、病変を診ます。病変の位置や大きさ、数、広がり、形、色などを診て進行度を判定します。

また、診断能力を上げるために、通常の内視鏡検査に加え、特殊な光を使って食道がんを見分けるNBI(ナローバンドイメージング)検査や、特殊な液を使って、がん細胞があるかどうかわかる検査、拡大内視鏡を用いた検査などが行われます。

そして、がんが発見されると、深さを調べる超音波内視鏡が行われます。内視鏡検査以外にも検査はあります。

加えて、CT検査では、がんの進行度や広がり方を調べ、治療方針の決定に役立ちます。さまざまな角度からX線を当てることで、食道の周囲を詳細に確認できます。

また、食道がんはほかの臓器のがんと比べ、早期の段階から周囲への転移を認めることがある。特に早期がんの転移では、リンパ節という免疫を担う組織に多く認めます。

CT検査は早期診断においては内視鏡検査には劣りますが、内視鏡検査は食道の内側しか評価できず、リンパ節転移の評価はCT検査が有効です。

さらにCT検査の補助としてペット検査があります。検査用のブドウ糖液を腕に注射して、細胞への取り込まれ方を画像にしてがんの転移を調べます。食道がんは早い段階から遠隔転移があるからです。

こうした検査で食道がんが発見されると、治療に入ります。

★食道がんの治療法は?

食道がんの治療としてはまず、内視鏡治療があります。最も内側の粘膜に飲み留まっている早期がんが対象です。内視鏡を食道に挿入し、モニターを見ながら、がんを切除します。現在は、粘膜の下に止血剤を入れた液体を注射をして、病変を浮かせた状態にします。そこを電気ナイフで剥離していく方法です。全身麻酔は使わないことが多く、内視鏡室にて鎮静剤で眠りながらの治療が可能です。万が一、がんを取りきれなかった場合や、リンパ節転移の可能性が高い場合には、手術や化学放射線療法が追加で行われます。

手術は、基本的には食道の大半を切除し、胃を細長く管状にして食道の代わりとします。ただ、食道がんの範囲や大きさ、位置によっては、大掛かりなものになり、全身麻酔で6時間から8時間かかる手術となってしまいます。入院期間も3週間から4週間はかかります。さらに、食べ物を飲み込む、痰を出すなどのリハビリも必要です。患者さんの身体的負担は大きいものの、耐えられる体力がある場合には手術は最も効果が高い治療法といえます。

化学放射線治療は、抗がん剤治療に放射線治療を組み合わせた治療です。この2つを併用することで効果を高めます。化学放射線治療は、放射線を週5日間、6週間ほど継続して行います。通院治療も可能です。1回の所要時間は15分程度です。ここに抗がん剤治療が加わります。

そのほかに、近年、食道がんに対する胸腔鏡手術や腹腔鏡手術も普及しつつあります。体の表面に小さな孔を開けて、手術器具を挿入し、モニターを見ながらがんを切除します。切開する手術に比べて身体的負担が少なく、手術後の回復も早いのがメリットです。

また、去年4月から、ロボット支援手術も保険適用となりました。ただし、高度な技術を必要とします。そのため、どこの病院を選ぶかがポイントとなりますが、1つの指標として、日本食道学会の食道外科専門医の資格があるかどうかがあります。学会のホームページで、全国の200人以上の専門医を紹介しているので参考にされると良いと思います。

ただ、胸腔鏡手術と腹腔鏡手術での食道がん手術を開発した昭和大学病院食道外科の村上雅彦教授は、その専門医リストには入っていません。そういうケースもありますので、参考に

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190729080130

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)