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「アメリカ銃規制を訴えるメッセージソング」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「アメリカ銃規制を訴えるメッセージソング」

アメリカ銃規制を訴えるメッセージソングhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190809123532

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお送りいたします。「アメリカ銃規制を訴えるメッセージソング」。日本時間の先週の土日、アメリカで相次いで銃乱射事件が起きました。3日のテキサス州エルパソ。こちらでは22人の命が奪われました。そして翌日4日のオハイオ州デイトン。こちらでは9人が亡くなっています。

2019年に入ってからのアメリカでの銃乱射事件、すでに250件以上に達しているというデータもあるようで。このデータに則るならば、現状アメリカではほぼ毎日のように銃乱射事件が発生しているということになるわけです。

【ジェーン・スー】
銃乱射事件というと、我々がいちばん最初に思い出すのは1999年のコロンバイン高校銃乱射事件ですよね。あそこから20年経っているけど事件は減っていない、むしろ増えているということですよね。

【高橋芳朗】

そうですね。当時は事件を受けて公開されたドキュメンタリー映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』が日本でも大きな話題になりました。

こうした状況のなか、アメリカではここ一年ほどで銃規制を訴える曲がたくさんリリースされています。特に去年の2月14日、17人が犠牲になったフロリダのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件。そして、被害に遭った高校の生徒が主催した3月24日の「March for Our Lives」(私たちの命のための行進)。この抗議運動は全米800ヶ所で行われてポール・マッカートニーからアリアナ・グランデまで人気アーティストも多数参加したことでも大きな注目を集めましたが、この一件を契機として銃規制に関する曲が急増した印象があります。

よく知られているところでは、今年のグラミー賞で最優秀レコード賞など4部門を受賞したチャイルディッシュ・ガンビーノの「This Is America」。あの曲も銃規制のメッセージを含んだ曲のひとつですね。

今日は、そんなこの一年ほどで発表になった銃規制を題材とする曲のなかから特に目立ったものを紹介したいと思います。

まずはマドンナの「God Control」。これは6月14日にリリースされたニューアルバム『Madame X』の収録曲です。銃規制のことを英語で「Gun Control」と言いますが、タイトルの「God Control」はそれにかけたものになります。

ここでマドンナはこんなことをリスナーに呼びかけています。「私たちは神のコントロールを失ってしまった。みんな目を覚まして。新しい民主主義を立ち上げよう」。

今日紹介する曲は基本的にすべてそうなんですが、この曲はミュージックビデオを併せて見ることによってより深くマドンナのメッセージを理解できるんじゃないかと思います。ここでは2016年6月にフロリダ州オーランドのゲイのナイトクラブで起きた銃乱射事件をモチーフにしていて。これがかなりショッキングなシーンも含まれています。

【ジェーン・スー】
そうですね。このビデオは閲覧注意ぐらいでちょうどいいと思います。

【高橋芳朗】
実際、ビデオの冒頭では「生々しい表現があるのでご注意ください」というメッセージが出るんですよ。そして、ビデオの最後にはマドンナからのこんな訴えが映し出されます。「毎年3万6000人以上のアメリカ人が銃犯罪によって亡くなり、約10万人が銃で撃たれて負傷している。誰にも安全は保障されていない。いまこそ銃規制を」と。

M1 God Control / Madonna

【高橋芳朗】
続いてはセイジの「Safe」。これは去年10月、アメリカの中間選挙に合わせてリリースされたシングルになります。このセイジ、全米チャートで1位を取ったこともある女性シンガーのケシャの弟なんですよ。

【ジェーンスー】
ああ、そうなんだ。

【高橋芳朗】
この曲にはそのケシャとナイジェリア系アメリカ人ラッパーのチカがゲストとして参加しています。これは先ほども触れた昨年フロリダの高校で起きた銃乱射事件を受けて作られた曲で、セイジが高校を卒業した直後に制作されたこともあって非常に説得力のあるメッセージソングになっています。歌詞は「僕たちは別に勇敢になりたいわけじゃない。ただ安全でいたいだけなんだ」という内容。「もう高校ですら安全な場所とはいえないんだ」と切々と訴えかけています。

この曲もまたミュージックビデオが強烈で。たぶん実際の高校で撮影されていると思うのですが、冒頭に「The Most VICIOUS CYCLE」とタイトルが出るんですね。これは「悪の連鎖」みたいな意味で、要は銃乱射事件が起きて大勢の人が亡くなってもなぜ銃規制が一向に進まないのか、その流れを学校で使う文房具やスポーツ用具を使ったドミノ倒しのようなからくり装置、いわゆるピタゴラ装置的な仕掛けで見せていくという。それによって銃乱射事件の悪の連鎖、負の連鎖を表現しているわけです。

このビデオの最後にも、マドンナの「God Control」のビデオと同じようにメッセージが映し出されるます。「11月6日(中間選挙投票日)は僕たちの命のために投票をしてください。そうしなければ、この負のサイクルは止められないのです」と。

M2 Safe feat. Kesha, Chika / Sage

【高橋芳朗】
最後はニール・ヤングの「Ohio」。こちらも去年の10月。アメリカの中間選挙に合わせてYouTubeで公開されたライブ映像になります。

この「Ohio」はニール・ヤングが書いた曲ですが、もともとは1970年にクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングとして発表された曲になります。同じ1970年に起きたケント州立大学銃撃事件をもとに作られた曲ですね。アメリカ軍のカンボジア爆撃に抗議する学生に対して州兵が発砲、4人が亡くなった有名な事件です。

ニール・ヤングはこういう背景を持つ「Ohio」を、現代の銃規制を訴えるメッセージソングとして改めて提示したというわけです。歌詞は「オハイオで4人も撃たれたんだ。立ち上がろう。銃撃された彼女が君の知っているコだったら黙っていられるか?」という内容。皮肉なのは、先週の銃乱射事件がまさにオハイオ州で起こっているということですよね。

このライブ映像は、フロリダの高校生の主催による「March for Our Lives」の模様をバックにニール・ヤングがギターの弾き語りで「Ohio」を歌うという、至ってシンプルな構成になっていて。でもそれだけに非常にずっしりとした、ヘビーな後味が残るビデオになっています。また、ニール・ヤングはこの映像の公開に併せて「学校、礼拝所、職場など、街中で人々を守ってくれる常識的な銃規制法が必要だ。投票しよう」というメッセージを発表しました。

このライブ音源は権利の都合でかけられないため、今回はクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングによるスタジオレコーディング版の「Ohio」を聴いてください。

M3 Ohio / Crosby, Stills, Nash & Young

【高橋芳朗】
以上、銃規制を訴えるメッセージソングを3曲紹介しました。銃規制は来年の大統領選の大きな争点になると思うので、きっとこれから先こうした曲がさらに増えてくるのではないかと。また大きな動きがあったら紹介しようと思います。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

8/5(月)

(11:06) Jamaica Song / Booker T. Jones
(11:25) I Just Can’t Help Myself I Don’t Want Nobody Else /Terry Callier
(11:36) Strawberry Letter 23 / Shuggie Otis
(12:14) My Grandaddy Could Reggae / Linda Lewis
(12:22) The Best You Can / Bill Withers
(12:48) Devil Woman / ブレッド&バター

8/6(火)

(11:10) Long Hot Summer / The Style Council
(12:10) Love Plus One / Haircut 100
(12:21) When the Piper Calls / China Crisis
(12:48) Drip Dry Eyes / 高橋幸宏

8/7(水)

(11:05) So Nice (Summer Samba) / Astrud Gilberto & Walter Wanderley
(11:24) One Note Samba/Spanish Flea / Sergio Mendes & Brasil ’66
(11:36) Surfin’ in Rio / Quarteto Em Cy
(12:22) Pepino Beach / Marcos Valle
(12:50) Bonita / Antonio Carlos Jobim

8/8(木)

(11:05) Sunny Afternoon / The Kinks
(11:23) Summertime / The Zombies
(11:36) You’ve Got to Hide Your Love Away / The Silkie
(12:22) Summer Song / Chad & Jeremy
(12:50) Don’t Think Twice, It’s Alright / The Ivy League

8/9(金)

(11:11) Do I Do / Stevie Wonder
(11:30) Automatic / The Pointer Sisters
(12:16) 1999 / Prince
(12:21) Young Love / Janet Jackson