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おすすめラジオクラウド 荻上チキ「ブラック校則改善要望署名を提出」

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こんにちは。文字起こし職人のみやーんです。僕が選んだラジオクラウドのおすすめコンテンツを紹介するコーナーの第53回目。
今回は『荻上チキ Session-22』の中から「ブラック校則改善要望署名を文部科学省に提出」です。

番組内で何度も取り上げてきた学校内の理不尽な校則、通称「ブラック校則」について調査を行ったブラック校則をなくそう!プロジェクト。荻上チキさんも関わっているこのプロジェクトがその調査結果を元にその状況の改善を求める署名を集めたところ、6万筆以上の署名が集まり、それを文部科学省に提出したということについて話していました。


荻上チキ:今日はそんなに暑くなかったんですけれども、昼過ぎぐらいに雨が降ってまして。地域によっては午前も降ってましたかね? その分ちょっと蒸すなという感じがあったりしましたね。そんな雨の中、今日は私、お出かけをしてきたんですけれども。霞ヶ関にある文部科学省の方にお邪魔をしてきまして、署名を提出してきたんです。その署名というのは「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」というプロジェクトが行った校則問題についての不適切指導に関しての要望書を文部科学省の大臣に届けて。そのことによって「理不尽な校則を改善してください」ということを訴えるという、そうした署名なんですね。

で、この署名が1年ちょっとの収集期間……ちょっと長めに取ってたんですけれども、6万筆以上の署名が集まりまして。その署名をもとに今日は文科省の担当の方。児童生徒課の生徒指導室長という肩書きの方とお会いしてきて、「ちょっとこれ、署名を集めたので大臣に渡してください」と。それからこういった問題意識を持っているということを要望書にまとめて。「これをなんとか改善してください」ということを訴えてきたんですよ。

そもそもこの校則問題って一体何を訴えてるのかというと、2年前の2017年に髪の毛の生まれつきの色が茶色だということを理由に学校側から「髪の毛を黒く染めてこい」ということを要求された。強要された当時、高校生の女子生徒が裁判で学校が訴えるという事件があったんですね。その案件はまだまだ係争中ですけれどもでも。でも考えてみればこういった校則の問題の理不尽さってまだ各地で続いてるんだなということを痛感しまして。ちょっとこれは裁判がどうなるかということと別立てで、そもそも制度を変えていくことが必要じゃないかということで、プロジェクトチームを立ち上げたんですね。

でも私はの中心メンバーにならず、あくまでもバイザーという形でリサーチとか記者会見とか、いろんなのメディアへのセッティングとか、そうしたものをお手伝いしますという立場で今回は関わったんですよ。で、校則についての調査というのを昨年、行いまして。その調査の結果、学校の校則というのはここ30年で全国的により厳しくなっているということがまず、わかったんですね。

それからの生徒指導の在り方も厳しくなってるものと緩和されているものがそれぞれがあったけれども、僕の印象だと全然いまの学校の校則とか学校指導の在り方が思ったよりも真っ当になっていないという印象を受けたんです。僕のリサーチをする時のひとつの仮説は「80年代の管理教育とかが叫ばれていたあの時代。丸刈り校則とかが当たり前だったあの時代と比べて、いまはまだマシになったけれども、とはいえ黒染め強要などの問題がたとえば数%残ってる。だからその数%もやっぱり0%にしなきゃいけないよね」っていうことを申し立てるために今回、調査をしたんですね。

で、調査を段階で今回のプロジェクトチームの他のメンバーに「もしかしたらそんなにインパクトのある数字が出ないかもしれないけれど、でもそれも含めて『まだこれだけあるよ』っていうことを訴えていくためにも事実の掘り起こしというのは重要ですよ」っていう風に言ったんですよ。そうしたらフタを開けてみたら、よりひどくなってるんですよ。

南部広美:うんうん。

荻上チキ:たとえばですね、前もこの番組で言いましたけれども「校則」という点で言うと……たとえば「髪の毛の長さが決められている」という点。いまの30代の方が中学生時代だった時は13.74%がその校則を経験していたんですよ。でもいまの10代は26.58%が経験している。ほぼ倍増してるんですね。それから「スカートの長さ決められている」。いまの30代は23%が経験してるんですが、いまの10代が56%が経験してるんです。倍増以上ですね。

南部広美:ええっ?

荻上チキ:で、この10代の経験率というのは、他の20代、30代、40代、50代と比べても最も高い数字になってるんですよ。それから「下着の色が決められている」。

南部広美:下着……。

荻上チキ:これ、30代の経験率は1.9%だったんですけど、いまの10代は15.82%ということになっているんですね。あと「眉毛を剃ってはいけない」。30代は8%だったのが、いまの10代44%。「整髪料を使ってはいけない」。現在の30代が10%、現在の10代が38%ということで80年代、90年代に中高生として学生生活を送った人たちよりもはるかに高い経験率が見て取れるということになったんですね。あと「チャイムの前に着席する」。30代が16%。10代は51%とかですね。高いですね。

南部広美:どれもこれもですね。

荻上チキ:うん。で、いろいろとある中で唯一マシになってるのが「体育や部活の時に水を飲んではいけない」というものなんですけども。これは30代では4.7%だったのが、10代で3.1%に減っている。

南部広美:まだあるんだ……。

荻上チキ:そう。「えっ、まだあるの?」って思った。というような状況がいろいろとわかったんです。あとは「日焼け止めを持ってきてはいけない」。30代は3%だったのが、いまの10代は8%とかですね。「リップクリームを持ってきてはいけない」。30代が2.3%、10代が6.3%。いろいろと、僕からすると「悪化している」という風に捉えられるような状況になってたんですね。で、こういった校則だけではなくて、でも昔は校則だけじゃなくてゲンコツとか、竹刀で殴るとか、指導の仕方が問題だったのでいろいろと厳しくなってるとはいえ、指導自体は柔らかくなってるんじゃないか? そういったような疑問も、今日も記者会見で出てきたんですね。「そこはどうなんですか?」っていうようなことも聞かれたんです。

そこについても実はもうリサーチをしていまして。たしかに改善されている指導もいくつかあるんですね。たとえば、いまの30代は指導で中学生の時に「先生から軽く叩かれた」というのが15%。それから「強く叩かれた」が12%、いるんです。ちなみに40代だと「軽く叩かれた」が26%。「強く叩かれた」が31%ということで、やっぱり80年、90年代は暴力を経験してる生徒が多いんですね。40代だと「強く叩かれた」が3人に1人ですよ。「軽く叩かれた」は4人に1人。それがいまの10代になると「軽く叩かれた」は14%。「強く叩かれた」は2.5%に減ってるんです。確実に減ったんですね。

でも、「ええっ? もう『体罰禁止』っていう風になってるのに、まだいるの?」っていうこと自体が問題なんですよ。これはもう、1人でもいること自体が問題のケースなんですけど、これだけ蔓延してるということがわかったんですね。でも、そういうような「体罰」という点だけは減ってるんですけど、他の点が軒並み増えてるんですよ。たとえば「連帯責任で叱られた」。いまの30代は中学時代に17%が経験したんですが、いまの10代の27%が経験していて増えてるんですね。

南部広美:ええっ!?

荻上チキ:あるいは「人前で強く叱責された」。30代は11.37%。いまの10代は11.39%。ほぼ横ばいということになってるんですね。「人前で成績を非難された」。30代は2.3%なのが10代は5.7%と倍増以上してるんですよ。「みんなの前で謝らされた」。30代が3%なのが10代は6%。だから80年代、90年代までにさすがに戦後のあの教育の在り方っていうのが改善してきたなっていう数字の表れが見える一方で、そこからまたリバウンド現象みたいなものがいま、起きていたりするんですね。「反省文を書かされた」。30代は4.2%なのが10代が9.4%とか。「髪の毛の長さを測られた」。30代は1.4%。いまの10代は5%。「スカートの長さを測られた」。いまの30代は4%。いまの10代は7.5%。などなど、いろいろと悪化してるというか、より厳しくなってるということが指導の面でもルールの設定の面でも言えたんですね。

こうしたような実態調査をもとにいろいろと世の中に喚起をして、集まった署名が6万筆。この6万筆をもって何を訴えたかというと、別に「法改正」とか、あるいは「校則を規制してくれ」とか、そういったことを言ってるわけではないんですよ。非常に慎ましいお願いです。「文科省、あるいは文科大臣として通達、あるいは声明を出してください」「実態調査をしてください」という、この2つなんですね。簡単にまとめると。

で、実態調査をしてどんな校則の普及状態にあるのかということを把握しつつ、その中には人権侵害に当たるような……たとえば髪の黒染め強要とか、あるいは下着の色チェックであるとか。最近だと「生理中でもプールに入れ」と強制的に指導される。それどころか、いま生理の何日目なんだということを申告させる。しかも、職員室でみんなの前で言わせるとかね。

そうしたような様々な問題について、改善をする。そういった改善についてはたとえば体罰。日本だと「体罰禁止法」っていうものが先生たちにあるわけではなくて、「体罰の禁止」というのは省令。省の通達がなされてるんですよね。何が体罰にあたるのかということを書き記していく。その中で、たとえば「殴る、蹴る」はもちろん体罰だけれども、「教室で正座をさせながら授業を受けさせる」とか、あるいは「授業中に廊下に立たせる」とか、こういったものも体罰にあたるんだという風に文科省がもう見解を示してるんですよ。

で、この見解を示してくれてるおかげで現場で生徒とか保護者とかが先生と交渉していく際にいろいろと、「こういった方針なのでそれは問題じゃないですか?」と言うこともできるし。学校現場でも違和感を抱いている方がたくさんいるので。「もうこういった方針になったのでちょっと変えていきましょう。いまはより科学的、合理的な教育方法というのはいろいろ提案されている時代なのでちょっとじゃあ、あれを導入してみましょうか」みたいな風の置き換えていくっていうことができるようになるわけですね。

そのためにも国が一定のメッセージを出すということをお願いしてるんです。基本的な国の方針としては、とはいえ各学校にはその指導の自治というものがあってね、どういった指導をするのかというものは地域や学校の自治というものを認めてるんです。あるいは先生の裁量というものを認めてるんです。それをある程度以上縛ってしまうと、学校風土の自治権というものを奪ってしまうので、それはやはり問題も生まれうるんですよ。

ただ一方で、学校の自治を続けていった結果、いまこのように校則とか問題指導が増えてしまってるという実情を考えると、ただ放置しているだけでもちょっとマズいなとも思ったんですね。だから私たちのアイデアとしては、これはあくまで声明として省、あるいは大臣の方が出して。あるいは通達を出して、その方針や見解を示す。なおかつ、そうしたことをメディアなどと報じつつ、校則について議論することで、社会風土を変えて、学校風土を変えるということを両方で行っていくような機運を高めてほしいという風に思ってるんですよ。

「問題指導とか問題校則というようなものは体罰と同じく尊厳を傷つけるものであると同時に科学的根拠も疑わしいものが多くあるので、そうしたものを改善してください」ということを言ってるんですね。もちろん、たとえば「差別を生む校則をなくしてください」とか、そうしたものも併せて訴えてます。「日常の当たり前のように見える校則でも、人によって差別になる」ということも知ってほしいんですよ。どういうことかというと、たとえば「5分前行動」。これが増えてるっていう話をしましたよね? 5分前行動によって差別は生まれるかどうか? どうでしょうか。

南部広美:生まれるんじゃないですか?

荻上チキ:生まれるんですよ。差別が生まれるひとつのルールの温床になりうるんですね。たとえば、車椅子の生徒が普通学級にいたとして、その子にも同じく5分前行動と言った場合に、他の生徒であればその階にあるいちばん近くのトイレに行けるかもしれないが、車椅子用トイレは職員室にしかないみたいな場合、トイレに行くだけで、つまり移動をするだけで一苦労ということ当然あるわけですよね。そうすると、5分前行動というルールが誰にも平等に与えられるということになれば、それによってトイレに行けなくなってしまうということもありえたりしますよね。

あるいは、その発達特性によって「授業中に落ち着いている」ということにすごくストレスを感じる児童が休み時間の間、廊下をウロウロするとか。ちょっとあることで発散をするというような子供がいたとしましょう。その子がやっぱり5分休憩、5分前行動ということによって、授業を集中するわけでもなく。でもガヤガヤしている教室で座り続けなくてはいけないということがやっぱりかなりのストレスになるということも当然あるわけですね。

というように、実は合理的とされているようなルール……多くの人たちにとっては「まあ、それはいいんじゃないか」と思われるような校則であったとしても、それをきっかけとして差別が生まれるとか、差別を助長するということもあるので。

南部広美:「ルールが守れて当たり前」みたいな空気が発生しますからね。

荻上チキ:そう。あと同調圧力も出てきますもんね。だからそういったような校則の実態というものを変えていく。それが誰にとってどういった効果ももたらすのかを議論する。そうした空気をより作っていきたいという風に思うんです。私たちは校則を全否定するものではないんですよ。すごく極端なケースを言うと、たとえば工業高校とか、あるいは理系の実験とかをするような高校があったとして。その実験室に入る時に完全にそこはのホコリとかを吸着してから中に入らないと実験に支障が出るからということでルールが決められていたとしましょう。「そこに入る際には防護服を着ること」「その5分前にそこに到着をして体中のホコリを取ること」みたいなルールがあったとしましょう。これ、必要でしょう? たとえば。

だから、そういったものについてはたしかに厳しい校則だけど、これは合理的な校則だから、そんなものまでなくせとは言ってないんです。「厳しくて不合理なもの、あるいは厳しくないように見えたとしても、人々に不合理をもたらしうるようなルールについては、ちょっと考え直しませんか?」いうようなことを言ってるんですね。で、これは国だけがなんとかするという問題ではないので、こうやっていろいろ言論活動でもやってるんですけど。でも、国の役割もあるんですよ。だから今回は署名をそのような形で提出することでひとつの問題提起というものをしている。そのことによって議会とか省庁とかが動いてほしいなという期待も持っている。

で、今回幸いなことに署名を受け取ってくださった担当の方は、校則についての問題意識は共有していたんですよ。そういった理不尽な校則というものがある。そうしたことについていろんな現場を歩いている中で、そのいろいろな校則について意見交換をしていて。いろいろと時代も変わってるし、人権意識も変わってるし。人々のいろんな問題もわかってきてるんだから……ということで訴えてはいる。だから声明を出すかどうかっていうその方法論についてはちょっと検討させてほしいっていう話はしてたんだけど、でも校則の中で行き過ぎた問題があって、それが学校に行くきづらさを助長してるようなこともあるよねというところまでは共有しているということが分かったので。

であれば今後の省庁の対応は見守りつつ、私たちのような大人たちは校則の理不尽なところ、必要のないところ。必要だから説得をしなくてはいけない、説明をしなくてはいけないようなところ。そういったようなことをちゃんとこを分けていくということは必要なななという風に考えております。なのでこのブラック校則をなくそう!プロジェクトの署名活動は今回のことで一旦クローズということになるんですけど、私個人のライフワークとして様々な生きづらさ……学校での生きづらさ、息苦しさというものを改善するというのことは引き続きできればなと思っております。またいずれ、学校についての様々な改善のための特集もセッションでできればなという風に思っております。


元号が変わって令和の時代になっても昭和、平成の時代の校則や指導方法を引きずっている、もしくはより厳しくなっているというのは個人的には非常にナンセンスな気がします。企業や団体にもコンプライアンス遵守が求められる時代なのだから、学校内でも考え方のアップデートが必要なんじゃないでしょうか? これからの動きにも引き続き、注目していきたいですね!

荻上チキ「ブラック校則改善要望署名を提出」

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