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SLE=全身性エリテマトーデスと関節リウマチ、その治療

森本毅郎 スタンバイ!

今回はラジオをお聴きの方からメールを頂きました。

群馬県前橋市の57歳女性
「病院で、膠原病の全身性エリテマトーデス、もしくは、リウマチの疑いといわれ、検査の結果を待ちながら不安な日々を過ごしています。どのような病気なのか、治療方法・治療開始の時期などについて教えてください。」

質問いただいた女性の病気が全身性エリテマトーデスなのか、リウマチなのかは、お医者さんの診断を待つ必要がありますが、そもそもこの病気はどんな病気なのか?山王メディカルセンターリウマチ・痛風・膠原病センター長の山中寿先生に取材をしてきたので、9月2日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、病気の基本情報と治療について、取材内容を報告しました。

★全身性エリテマトーデスとは

全身性エリテマトーデスというのは耳慣れませんが、日本で10~12万人と推定されます。単純計算で千人に1人くらいですが、男女比では、1対9で女性に多いと言われています。そうすると、女性では、500人に1人くらいには関係してくる病気です。

英語で言うと「systemic lupus erythematosus」と言って、英語の名前の頭文字をとって「SLE」とも言われる病気です。

「systemic システミック」は全身性、つまり全身の皮膚や臓器に様々な症状を引き起こす病気という意味です。さらに、「lupus ループス」は狼、そして「erythematosus エリテマトーデス」は紅い斑点、発疹、つまり、皮膚に狼に噛まれたような紅い発疹ができるという事で、この名前になりました。

見た目は狼に噛まれたような赤い発疹ですが、ただ症状はその他、全身に出てしまうんです。

全身性エリテマトーデスは、自分の免疫が暴走して、体を攻撃してしまうことで起きる病気です。

発疹としては、全身に紅い発疹が広がり、悪化すると、鼻を中心に、左右の頬に、蝶が羽を広げたように広がったり、レコード盤のような丸い円のように集まったりするのが特徴とされています。

その他の症状としては、まず関節痛で、手や指が腫れて痛い関節炎を起こします。肘、膝などの大きな関節や手の指など、日によって場所が変わる移動性の関節炎もあります。

さらに、腎臓や肺など、全身の内臓が侵され、特に腎臓が悪いと生命に関わるので危険です。

★リウマチとは?

もう一つの「リウマチ」ですが、山王メディカルセンターの山中先生によれば、全身性エリテマトーデスと比較されるのは、「関節リウマチ」ではないかということでした。

こちらも、自分の免疫が暴走して、体を攻撃してしまうことで起きる病気で、「関節が腫れて痛み」、放置すると関節が破壊されて変形してしまう病気です。

発症から2年程度で、関節の軟骨や骨の破壊が急速に進行するため、放置しておくと、日常の動きができなくなり、寝たきりになる病気とされています。

どちらも怖い病気ですが、関節にとどまらず、内臓から命に関わるという点では、全身性エリテマトーデスの方が、より怖い病気です。

★検査とは?

どの病気かの判断は、問診に加え「血液の検査」で、だいたいどちらの可能性が高いかがわかります。どちらも免疫が暴走する病気なので、免疫に関連する物質である「抗体」がカギとなります。

大まかに言うと、関節破壊の進行を早めてしまう抗体が出ると、関節リウマチです。

一方、そして、細胞の核と反応する抗体が出ると、全身性エリテマトーデスとみられます。全身性エリテマトーデスの場合、この抗体が細胞の核と反応することで、病気の原因となる物質を作って、それが全身に回って、腎臓などあちこちで症状が出ます。

★全身性エリテマトーデスの治療

治療は、この2つの病気が疑われているのであれば、「リウマチ内科」や「膠原病内科」といった診療科を受診するのが良いと言われます。

その治療ですが、全身性エリテマトーデスの治療は、ステロイドで進行を止める治療になります。免疫が暴走して、自分の体を攻撃してしまう病気なので、免疫を抑えるステロイドを使います。

通常のケースでは、患者さんの症状に合わせて、軽症ならば、1日15ミリグラム、重症の方でしたら、1日60〜80ミリグラムを、2週間から1か月、集中的に飲みます。そこである程度、症状を抑えたら、徐々に減らし、5〜10ミリグラムを長期的に飲みます。

また状況によっては、最初に、点滴で大量に投与する治療もあります。一般的には3日間、点滴で大量に投与して症状を抑え、その後は口からの服用に切り替えます。

全身性エリテマトーデスでは、ステロイドが効かない、あるいは副作用が強い場合もあります。その場合は、別の薬で免疫を抑え、進行を抑える治療になります。様々な薬がありますが、2015年、新たに2つの薬の適用が認められました。

医師の診断で症状に合わせて、病気の進行を止める薬の選択肢が広がっています。

★関節リウマチの治療

一方、関節リウマチの場合は、抗リウマチ薬を中心にした治療になります。

そして、抗リウマチ薬が十分に効かない場合は、バイオテクノロジーで作られた、体の成分と同じ物質を注射や点滴で投与する生物学的製剤というものを使う場合もあります。

また治療は長期にわたるので、日常的に自分で注射できる薬も出ています。

放置しておくと、日常生活が困難になり、寝たきりになる関節リウマチですが、現在では、関節の軟骨や骨の破壊が始まる前に治療を始めれば、現状で止めて、関節が変形するのを防ぐことができるようになりました。

また、破壊が始まっていても、適切な治療で、ある程度進行を抑えることができるようになっています。

★治療開始は早いほうがいい

ご質問にもあった「治療開始の時期」ですが、ある程度症状が出てきているなら、即効的に治療を始めた方がいいということです。

両方の病気とも、完治はしないものの進行を止め、寛解状態をコントロールできる病気となりました。

そうしたことを知らないでか、今でも、本格的な治療を避けて、効果が怪しい民間療法などに走る人もいます。ですが、それは危険です。専門家に治療方針を決めてもらうことが何より大事です。繰り返しますが、リウマチ内科、膠原病内科の専門医に診断してもらいましょう。

なお、全身性エリテマトーデスの場合は、日光が引き金になることもあります。日焼けで病状が悪化することもあるので、外出時には日傘、日焼け止めが必要です。

一方、関節リウマチは、原因不明ですが、タバコが悪いと言われます。喫煙者なら禁煙、また家族の方にも禁煙に協力してもらうといいでしょう。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190902080130

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