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急速冷凍で「新しい価値」を創り「食品ロス」も削減! 急速冷凍技術のスペシャリスト・木下昌之さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
9月14日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、急速冷凍で食材に新しい価値を創ることにチャレンジしているベンチャー企業「デイブレイク株式会社」の代表・木下昌之さんをお迎えしました。

急速冷凍に特化した専門商社として急成長、食品・流通業界にイノベーションを起こしています。急速冷凍の技術は「食品ロス」を減らし、飢えに苦しんでいる人たちを救うことができると木下さんは言います。

3代続く「冷凍一家」


木下さんは1978年、神奈川県出身。横須賀の氷屋から始まった創業70年の老舗冷凍会社の3代目に生まれ、高校卒業後その会社に入社。官公庁や給食センター、物流倉庫、コンビニなどに冷凍・空調設備を設置したりメンテナンスを行う仕事に15年間、携わりました。役員にもなり、将来は3代目社長になっていたかもしれません。でも木下さんはキャリアを重ねるにつれ、「今の仕事は自分でなくてもできるんじゃないか。自分にしかできない仕事って何だろう…」と考えるようになっていたのです。31歳の頃でした。

2010年、木下さんは東南アジアのタイを訪れました。ベンチャー企業の社長となっていた友人に「海外視察に行くから一緒に来ないか。今、勢いのある国だから、何か気づくことがあるかもしれない」と誘われたのです。そこで目にとまったのは、フルーツを山積みした移動屋台。どれもおいしそうな南国のフルーツですが、奥地の町では買う人もあまりいません。結局そのフルーツは廃棄されていたのです。町では今にも飢え死にしそうな子供たちの姿もたくさん見かけるのに、その一方で大量のフルーツが、まだ食べられるのに捨てられている…。その光景を目撃したことが、木下さんのターニングポイントとなりました。

タイから帰国した木下さんは、「急速冷凍」の技術を使えば食品ロスを減らすことができると考えました。食品を冷凍するとおいしくなくなると言われます。それは、通常の冷凍では凍り始めてから中まで完全に凍結するまでに時間がかかり、食品の細胞膜が傷ついてしまうことが原因です。でも急速冷凍なら、凍結が始まってから完全凍結までの温度帯に達するまでの時間が短いので、細胞膜をあまり傷つけずに冷凍することができるのです。

「急速冷凍のメリットは、凍結スピードが速いので食品処理が早くできる。処理が早いと大量生産ができます。それと、高品質に食材を戻せる。解凍してもおいしいということです」(木下さん)。

急速冷凍のニーズを掘り起こす


当時すでに急速冷凍機は製造されていましたが、あまり売れていませんでした。通常の冷凍機の価格の10倍以上と、かなり高価なので、飲食店や小売店で導入が進まなかったのです。メーカーのほうでも、1年に1台売れればいいという考えだったそうです。そこで木下さんは急速冷凍機メーカーを突撃訪問し、「販売代理店業務をやらせてください、メーカー同士の性能比較テストをやらせてください」と頼んで回りました。

急速冷凍機のメーカーは複数あって、それぞれの製品には特性があります。食材との相性も違います。導入が進まないのは、どの食品ならどのメーカーの機械がいいかということが飲食店側に判断できなかったから。デイブレイクが性能テストや導入の相談についてインターネットで知らせたところ、続々と問い合わせが来たそうです。今では性能テストはほぼ毎日、導入の相談は月に100件近くあるそうです。

「結局、急速冷凍機器が売れなかったのは、メーカーも、食品業界も、急速冷凍技術を使って世の中をどういうふうにしていきたいということがなかったからだと思います。だから、ぼくは、急速冷凍を使えば、それまで無駄に廃棄していた食材が『商品』に変えられて、新しい仕事や雇用を作り出すことができて、飢えに苦しむ人たちを救うこともできるということをお話して回りました。そうしたら1ヵ月で100台、急速冷凍機器が売れたんです。ニーズはあったんです。ニーズはあったけど、それに飲食店側が気づいていなかった。そこに訴求したんです」(木下さん)

自社加工にも乗り出した


デイブレイクでは、自社でフルーツの急速冷凍加工も手がけるようになりました。これまでは、性能試験やコンサルティングなどで食品ロスの削減の方法論を広めるという形で間接的に関わってきましたが、いよいよ自社で直接、ロス削減に関わるようになったのです。

「フルーツは肉や魚と違って完全解凍できないため、冷凍することを諦めていたところがあるんです。でも、解凍しないで冷凍しままおいしいものが作れれば、それは新しい価値になります」(木下さん)


デイブレイクが作っているのは、新食感のフローズンフルーツ「HenoHeno(ヘノヘノ)」。「HenoHeno」とはハワイ語で「愛らしい」という意味。少しでも傷ついたり、規格から外れてしまったフルーツは、おいしく食べられるにもかかわらず、市場に出されることなく大量に廃棄されてしまいます。そんな「キズモノ」を、急速冷凍によって「愛らしい」フルーツに変えたのです。マンゴー、梨、デコポン…。スタジオで試食した久米
さんと堀井さんは、そのおいしさに大感激でした。

世の中の「新しい仕組み」を創る


木下さんは、現在、自社でやっているフルーツの冷凍加工を、将来的には生産地に移したいと考えています。各地に急速冷凍加工所を作って、今まで廃棄処分していたフルーツを生産者たちに加工してもらう。生産者が加工業者にもなれば、フルーツのロスは減り、新たな収入源にもなります。加工所が大きくなれば新たな雇用も生まれ、地方の活性化にもつながります。つまり、デイブレイクがやっていることは、社会の「新しい仕組み」づくりというわけです。単なる保存のための冷蔵から、新しい価値を創るための冷蔵へ。

「今、日本の食品ロスは年に600万トン以上といわれていて、そのうちフルーツのロスは100万トンです。でもそれは、流通に乗っているもので、産地ではそれとは別に、さらに多くのロスがあるんです。ぼくたちの目標は、5年間でその100万トンのロスの1%、1万トンの食品ロスをなくすことです」(木下さん)

木下昌之さんのご感想


久米さんのイメージって、かたい人かなあ…というのがあったんですけど、全然そんなことはなくて、話しやすい場を作っていただいて、すごく楽しかったです。

久米さんに食べていただいた冷凍マンゴー(「HenoHeno GoGoGoマンゴー」5パックセット、5,000円)は、実は自信作なんですよ。ただ、ちょっと高いのでそんなには売れていないんですね。でも、久米さんにおいしいと言っていただいたので、売れたって連絡が入りました(笑)。ありがとうございました。

「今週のスポットライト」ゲスト:木下昌之さん(急速冷凍専門商社「デイブレイク」)を聴く

次回のゲストは、映画監督・大森立嗣さん

9月21日の「今週のスポットライト」には、映画監督の大森立嗣(おおもり・たつし)さんをお迎えします。『日日是好日』、『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った』など数多くの話題作を手がけ、現在、最新作『タロウのバカ』が公開中です。父は舞踏家・俳優の麿赤児さん、弟は俳優の大森南朋(なお)さん。

2019年9月21日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190921140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)